コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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「異端派生協の逆襲」を読んで (その1)「日本の生協は左翼的体質」論について

[大友弘巳]
 斉藤さんのご紹介を受けて、私も「異端派生協の逆襲」を取り寄せて読んでみました。
 個配の取り組みをリードされたこと、産直への突っ込んだ取り組みなど、かねてから下山さんやパルシステムグループの活躍には注目していましたし、この本でも、ギョーザ事故問題での指摘を初め、いろいろ考えさせられる点もありましたが、下山さんとほぼ同じ時期に地域生協づくりや事業連合結成に関ってきた者として、うなずけない点もたくさんありました。
 多岐に渡って問題提起されていますので、何回かに分けて、いくつかの点について感想的私見を述べてみたいと思います。
 今回はまず、「はじめに」の冒頭で問題とされている「日本の生協の左翼的体質」論について検討してみることにします。

 下山さんは、生協に共通した問題として「左翼的体質」があると断じています。
 そして「左翼的体質の良さは、いったん方針を決めたら、目的に向かって一斉に走り出すことだ。反対者を蹴散らしてでも目的を達成しようとする。70年代から80年代にかけて、共同購入というビジネスモデルを掲げた急速成長はその成果である。」と述べており、さらに、「左翼の欠点は違う意見には耳を貸さないことだ。そして間違った時なかなかそれを認めないことだ。90年代以降の停滞はその証である。」としています。
 具体的な根拠として示されているのは下山さんたちが個配を始めたころ日生協や他の生協から批判されたということぐらいで、それ以外にはこうした断定の根拠とする具体的事実はほとんど示されておらず、論理が飛躍しています。
 文脈からすると、下山さんの言う「左翼的体質」とは「共産党的体質」と言いたいところを、言葉を選んで「左翼的」と表現しているように感じます。
 共産党=「1枚岩の組織、唯我独尊、誤謬を認めない」体質という認識の下に、「主流派生協」には共産党員や共産党支持者が多い(はずだ)から共産党と同じ体質なのだ、と断定しているように思われますが、それでは何らの説得力を持たず、単なる誹謗中傷に過ぎないとみなされることになるのではないでしょうか。

 70年代に、共同購入を事業の主力とする生協設立が急速に広がったのは、食品公害の多発の中での消費者運動が高まり、団塊の世代の子育て主婦のエネルギッシュな活動力が生協で発揮されたこと、主力食料品で日生協コープ商品がかなりの品目に増えてきていたこと、共同購入事業は資金が少なくてもできたこと、ノウハウもさしていらず元気で組合員のために頑張れる職員がいれば担える事業・経営であったこと、そして大学生協が全国に発展していて各地で地域生協作りに人材を送り出せる条件があったこと、などがたまたま丁度重なって出揃った稀有な時期であったことによると私は思っています。
 加えて、いくつかの生協で共同購入だけで事業を開始し、急速に発展すると共に経営的にも健全と言う成功モデルが現れたこと、日生協の場で共同購入専門員会が設立されて経験交流がなされ、全国的にその成果が普及されたこと、先行した生協が研修などを受け入れ惜しみなく設立支援のために協力したことなどが大きな役割を果たしたことがあげられます。日生協の研修会などはどこの生協にも公開されていましたから、パルシステムグループの生協の皆さんも参加しておられたのではないでしょうか。
 自分の体験に基づくこうした認識からすると、下山さんの言う「左翼的体質」だったから急速成長ができたとの断定は、何の根拠もない随分一方的なものだと思います。

 90年代初め、個配に徹底して取り組むことに先行したのは下山さんたちであったことはその通りですが、コープかながわでも取り組みを始めていましたし、とちぎコープでも94年には個人別ピッキングの導入に踏み切って個配への対応準備を進めていました。
 私なども班組織が崩れることを懸念していたことは確かですが、それ以上に個配で経営的に成り立つのかを心配して慎重になっていたわけで、そうした慎重論や懸念はパルシステムの生協にもあったことは下山さん自身も述べておられる通りです。
 とすれば、それは程度の差でしかなかったはずであり、「左翼的体質」によるなどということではありません。
 また、個配が成り立つようになったのは、商品案内や、OCR注文書、代金支払いの銀行口座振り替えなどが80年代前半に個人別対応になっていたことに加え、90年代に入ってピッキングの個人別対応のシステムも開発されたことによるものであり、歴史的な積み重ねがあったからこそ可能になったわけで、そこまで至ったのには大手生協での投資や研究の積み重ねがあったからであり、それらはパルシステムの生協でも取り入れ、活用して来たはずです。
 パルシステムグループが個配への切り替えをリードしたことや、個人別対応への深化を試みたことなど、無店舗供給事業としての新たな前進に貢献したことは評価するものですが、上記のような基礎ができていたからこそ個配を成功させることができたのだということは、パルシステムの皆さんもしっかり認識し、評価しておいてほしいものです。

 日本の生協は、さまざまな潮流の生協、理念や方針の違いがありながらも、連帯を大切にしあって発展してきた伝統を持っています。それがここまでの発展をもたらした大きな要因だったと思っています。
 同じ地域の中で競合しあう関係はありますが、敵対的関係に陥ることは避け、生協に対する誤解を招いたり信頼を損ねるような誹謗や中傷はお互いに戒めることが必要だと思います。足を引っ張り合うのでなく、切磋琢磨しながら、お互いに努力し、結果としてお互いが発展できるようにウィンウィンの関係を大切にしたいものです。
 下山さんも心配されているように、日本の生協は今や危機的状況を迎えていると私も思っています。なぜこうなってきたのか、諸条件のせいにするだけでなく主体的な問題を深く検討することが必要ですし、おかしいぞと思うことには率直な批判も含めた議論が必要な時と思います。
 しかしそれは、事実に基づく、建設的な真摯な議論でなければならないはずです。
 下山さんは、刺激的に問題提起をしようとしているだけで、悪意はないのかもしれませんが、「異端派」を自称することもいかがかと思いますし、多くの生協に対し「左翼的体質」などと言い立てるようなことはすべきでないと残念に思っている次第です。

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