コラボ・コープOB

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「韓米FTA」の調査報告

[加藤善正]

3月18~21日、「韓米FTAとその反対運動を学ぶTPP反対岩手県民会議調査団」の団長としてソウルへ行ってきた。県内主要8JAの組合長ら農協関係者13名、生協・労連・農民連など消費者市民関係者7名、コーデネーターをやってくれた丸山茂樹氏、農業新聞記者など、22名の調査団であった。
TPPに関する情報が少ない中で、訪米した国会議員などに対して、アメリカ通商代表部(USTE)は、「TPPは韓米FTAがモデルになるがそれ以上の自由化をめざす」と言明している。TPPを推進している政府や財界、中央マスコミは「韓米FTAによりにより日本は韓国との競争に遅れをとる、早く参加してバスに乗り遅れるな!」といいながら、韓米FTAの内容や問題点については全く報道していない。3月15日に発動したといわれるこのFTAの実態を探り、TPP参加の問題点や我が国への影響を探り、これを帰県して報告し県内の反対世論を急速に盛り上げることを目的に企画した。
この報告書は岩手県生協連のHPで全文を掲載しているので、関心がある方はそれをご覧いただきたい。結論的な内容や感想、これからの運動に関して若干述べることにする。
TPP関してはほとんど情報公開がされずにいるが、参加に反対する陣営からの予想される問題点が明らかになっている。また、事前情報として交渉国からのヒアリングとして、21分野にわたる検討事項が25ページにわたり報道されたが、こうした懸念材料が韓米FTA協定の内容にすべてにわたり書き込まれていることが判明した。したがって、usteのいう韓米FTAがモデルである、ということが出来よう。そうした視点で今回の調査で明らかになったことや、教訓的なことを次に列挙する。

①06年のノムヒョン前大統領(民主党・現野党)から始まり07年に調印した韓米FTAも、「先決事項」として、交渉に入るためには「先決すべき事項」として牛肉の輸入自由化、ゼネリック薬のアメリカの特許重視、自動車の排ガス規制撤廃、スクリーンクオーターの枠縮小などが出され、これを韓国側が飲んで交渉に入った。したがって、韓国はもう後には引けずすべてアメリカの戦略に乗って交渉が進められた。しかも、農林部などは排除されて、通商外交部が担当した。反対運動の司令塔的な役割を果たした「韓米FTA阻止汎国民運動本部」(300団体が参加)の代表は、日本への忠告としてこの「先決事項」の段階での闘い、決してこれを甘く見ないこと、を強調された。
この点では4月2日に報道された米国通商代表部(USTE)の「2012年貿易障壁報告書」に触れている内容が、先決事項的なものと見ることができるし、一部報道されている「牛肉の30ヶ月齢への規制緩和、自動車輸入規制緩和、郵政法案の見直し中止など」で、我が国の譲歩を許してはならない。牛肉輸入規制緩和は、食品安全委員会などでの見直し検討でほぼ了解する動きがあり、日本生協連もこれを認めるような動きがあるが、専門学者(原発問題でこうした学者も御用学者と見られている)の「知見」優先ではなく、TPP問題を控えてこうした全体的な文脈の中で判断することが求められていることを痛感した。
②韓国では「毒素条項」といわれている8項目の条約が、韓国の主権を放棄してアメリカの植民地としての韓国の転落が危惧されているが、こうした内容も、単なる損か得かという経済性、金儲けの視点だけでなく、国民主権と国家主権の関係、グローバリゼーションへの追従の中で、国家主権を弱めるならば必ず国民主権も脅かされ、民主主義の後退を招く危険性を大いに警鐘乱打する必要性を感じた。例えば、サービス分野の市場開放におけるネガティブ方式は、どこまで開放が広がるのか不明であるし、ラチェット(一方にしか動かない爪歯車)方式は、開放・自由化・民営化などの弊害をただすことさえ出来ない。ISD条項はアメリカの多国籍大企業・投資金融機関の利益のために、韓国政府が税金から損害を補償するという極めて不条理の内容であるが、我が国の財界はこれからの他国への投資などでの利益を目指して、大いに賛同する動きもある。
③韓国農業への被害も大きく、関税撤廃は即時38%、5年後まで60%、10年後まで87%、15年後まで95%という条約である。コメは除外されたとはいえ、すでにコメ生産額の割合は25%から09年には16%に落ち込み、畜産が首位を占めこの関税撤廃が韓国農業をさらに追い込む。一戸あたりの農業所得は都市労働者に比べて、06年度の78・2%から2010年には66・8%のレベルに落ち込んだ。韓国農業中央会(韓米FTAには反対せず予算獲得の条件闘争に入っている)の話では「我が国の政府は、農業を産業・ビジネスとしては位置付けていないようだ、農業は福祉・社会保障の対象になってきた」といい、「最近の韓国農村のカップル誕生は10組中4組は外国人花嫁になっている、毎年、ベトナムから1万名の花嫁が韓国に来ており、年1回の里帰り帰国に政府も農協も補助金を出している」
④今回の韓国訪問では事前事後の学習も含めて、韓国と日本との対アメリカとの関係性について、多くのことを学んだ。韓国は97年のアジア通貨危機・韓国金融危機の中で、IMF(国際通貨基金)の全面的支援(支配)によって、中小金融機関や中小零細企業の破綻・吸収合併が強行され、財閥も銀行や大企業さえ株式の大半は外資が支配ている。いわば、グローバリゼーションという名のアメリカンスタンダードによる国づくり、金融資本主義・新自由主義の影響がほとんど完成し、これらが貧困と格差を急速に広げ、例えば、非正規労働者は50%を超え、新大卒者の半数が職にありつけない。ソウルをはじめ大都市集中が進み、壮絶な教育競争に負けた若年者は都市にも出れないで、農村や地方に留まらざるを得ない(これが農業の高齢化率が50%以下であるという現象をもたらしている)。
こうしたアメリカ型の社会・国づくりの「総仕上げとしての政治的・経済的措置」が韓米FTAであるというのが私の結論であった。
⑤片や、我が国も93年の宮沢・クリントン会談での「日米包括経済協議」の流れは、01年、小泉・ブッシュ会談での「成長のための日米パートナーシップ」「日米投資イニシアティブ」へと進み、外資による日本企業への投資・買収・合併が進んだ。それらを促進するための日本の法律や制度の改正が次々展開され、その下での日本の多国籍企業の成長と海外進出も進んだ。これらを国民の見えないところで強行した武器が「年次改革要望書」であり、特に、「小泉・竹中改革」という名の規制緩和・構造改革・官から民へ・三位一体と社会保障予算の連続削減、自己責任論などであった。こうして我が国も貧困と格差があらゆるところで拡大し、デフレが益々経済を弱体化させ、地方や第1次産業・中小零細企業の衰退、若者の暮らしや雇用が破壊され、これが少子化の真因であり人口減少に歯止めがかからない状況を生んでいる。こうした社会・経済・政治の歪んだ状況は、今度の3・11でその正体の「断面」を浮き彫りにしている。
しかし、いまこの3・11さえも利用するような形(ショック・ドクトリン)で、TPP参加を強行し、社会保障と税の「一体改悪」を強行しようとしているのが、自民党以上の新自由主義路線を突っ走る野田内閣ということがいえよう。即ち、TPP参加は韓国と同じように、アメリカ型社会・金融資本主義・新自由主義の我が国をつくり上げるための「総仕上」である。
⑥しかし、アメリカ型社会・新自由主義・金融肥大化社会の破綻は、現在のアメリカを深く掘り下げ、直視すれば明らかであるにも関わらず、中央マスコミと御用学者、財界のキャンペーンがその本質を国民が理解することを阻んでいる。「原子力ムラ」の正体、事故対応と情報隠蔽に見られる一連の構造的関係性は、TPP参加問題でも見事に透けて見える。

TPP反対岩手県民会議は四っの協同組合県連会長が呼びかけ人になり、昨年1月に結成された。当時、あまり広がる共闘組織に難色を示す動きもあったが、生協の主張「反対するすべての人びとの参加」が実現し、現在51団体が参加している。
県民会議は、県内のすべての市町村での学習会の開催をめざしているが、4月に入って花巻・二戸・奥州・一関・宮古の5市で開催され、韓米FTA調査団の報告もしている。13日には盛岡で大きな規模での報告会が開かれる。

29・30日の「日本農業経済学会」(九州大)でも、この報告書を十数人の先生方にお渡しし、14日には山形市で開かれるTPP反対のシンポでも、私の報告を30分予定されている。







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