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こうした中で「ちばコープ」は、2011年3月20日現在で648,994人の組合員と、コープネット事業連合への出向を含め正規1,005人にパート・アルバイト2,718人が在籍し、みんなが協力して県の内外で、震災からの復興に協同を大切にして取り組んでいる。
県内の被災者へ
県内でも津波の被害が大きかった旭市では、市内の2カ所に200戸の仮設住宅があり、被災者は不便な暮らしをしている。
そこで「ちばコープ」では、組合員が中心となって仮設住宅の集会所で「ふれあい喫茶」を開催し、地域の人々の交流の場として、高齢者や子育て中の方などが、気軽に参加しておしゃべりを楽しむことができるように工夫している。
2011年12月14日は、3区エリアのサポーターが中心となって、「スマイルカフェ」として笑顔のあふれる楽しい場を設けた。会場の仮設住宅内にある集会所入口には、スマイルカフェと書いた看板を出し、黄色の広いテーブルクロスをかけて明るい雰囲気にした。この仮設住宅は150戸のうち50戸が高齢者と多く、会場には12名の高齢者と1名の子どもが参加し、サポーターと生協職員9名で3つのテーブルはほぼ満席になった。
「昔は生協をやっていたので、チラシを見たいわ」
「移動販売車のように、ここで商品を見て買いたい」
「家族が津波で亡くなったの」
「炊き出しはいつあるの?お餅をもらうためには早く並ばないといけないの?」
他にも「おせち料理」の話などが飛び交った。
12月21日は地域ネット「ABクラブ」と一緒に、「ふれあい喫茶&プチマフラー手芸教室」が開催となった。首に軽く巻くほどの小さめで無地の毛糸による手編みマフラーに、各自は好きな色の毛糸を選び、針を使ってマフラーに通してオリジナルの柄を着け好みのマフラーに仕上げていた。
また12月25日には、職員のボランティアによる炊きだしで、肉や野菜をたくさん入れた豚汁を作った。あわせて1世帯ごとに「のし餅」とマスクなども手渡し、つかの間のクリスマスを楽しんでもらった。集会室ではコーヒーやお茶を飲み、または具だくさんの豚汁を口にしつつおしゃべりを楽しむ姿もあり、にぎやかな雰囲気に包まれた。
福島から避難してきた障がい者の支援
ちばコープがユニセフの県の窓口をしていることもあり、2011年7月に『ユニセフちっちゃな図書館』のプログラムとして、絵本38セットを千葉県内の被災者や避難者へ寄贈していた。
そんな取り組みをしているときに、鴨川青年の家へ原発事故のため障がい者自立支援施設である社会福祉法人福島県福祉事業協会の、障がい者約300名とスタッフ100名が避難していることを偶然知った。生協の職員が話を聞くと、それまでに各地の避難所を廻わり、知的障がいを持っているため夜中に奇声を出したりするので、どこも長く居ることができなかったとのことであった。またトイレットペーパーを、そのまま水洗トイレに流すため、すぐに故障してバキュームカーを10回も呼んでいた。そこでロールの芯なしのトイレットペーパーを探しているが、近くになくて困っていることも聞き、コープ商品のワンタッチコアノンを8月に届けて喜んでもらった。
また障がい者の中には、環境が変わると緊張して失禁する人もいて、紙おむつにも困っているとのことで、それも合わせて「ちばコープ」から寄贈した。
障がい者を介護している人から感謝の声があった。
「突然の原発事故による避難指示で、着の身着のまま避難しました。何度も避難先を移らざるをえなかった中で、亀田病院や鴨川市教育委員会などの支援で現在ここにお世話になっています。トイレットペーパーやオムツなど、毎日使う消耗品の支援は大変助かります」
さらに寒くなると、「冬服の不足が心配」との声がケアをしているスタッフから出て、さっそく「ちばコープ」の安房センターで組合員へ呼びかけた。その結果、冬服はカゴ車4台分が集まり、センターのパートさんの手で種類ごとに箱詰めされ、2011年12月に届けることができた。
受け取った施設長からは、「こんなに千葉県の方々に、いろいろ良くしていただいて、本当にありがたい思いでいっぱいです」と、感謝のお礼があった。
被災地NGO恊働センターと協力し
ちばコープは、被災地NGO恊働センターと協力して、東日本大震災の被災者支援に取り組んでいる。阪神・淡路大震災からの復興中にできた市民団体で、震災で築いた支えあい・学びあい・寄り添いの原点を大切に、1995年以降国内外で災害救援活動を行っている。
その活動の1つが「まけないぞうタオル」で、被災地NGO恊働センターが材料となるタオルを支援者から寄付してもらい、作り方を被災者へ講習してできたタオルを販売する。こうしてタオルの寄付や、「まけないぞうタオル」を購入することで支援につながり、利益は作った被災者の収入と、被災地NGO恊働センターの支援活動費になる。
その取り組みとして11月1日に釜石市の仮設住宅を訪問し、被災地NGO恊働センターの「まけないぞうタオル」作りに参加した被災者に、ちばコープは裁縫道具を贈った。集会所では15人ほどの被災者へ、遠野市から来たボランティアが、「まけないぞうタオル」の縫い方を指導した。参加者は、「ここはどうやるの?」「これでいいのよ」と、自然に会話が弾んだ。手仕事の好きな方には気分転換にもなるし、できあがった「まけないぞうタオル」を売ることで1本100円の収入にもなる。
宮城での「ふれあい喫茶」
仮設住宅に住む「みやぎ生協」の組合員から、仮設住宅内に交流の場ができないかとの提案がボランティアセンターにあり、コープネットグループの復興支援活動の一つとして、現地に職員や組合員ボランティアを派遣し開催することにした。こうしてみやぎ生協の石巻ボランティアセンターと、コープネットグループが共同で、宮城県東松島市にある仮設住宅「グリーンタウンやもと」(総戸数274戸)内の集会室で、2011年10月から「ふれあい喫茶」を定期開催し、2012年3月まで予定している。
すでに常連の方もでき、各々テーブルに着くと飲み物を注文して、楽しいおしゃべりをしていた。
ある年配の女性は、「あまりしゃべらない主人と1日テレビを見ているより、ここに来たほうが気持ちがいい」と話していた。また自治会長は、「昔千葉の船橋で、アサリ捕りを手伝っていたんだよ」などと、懐かしそうに話していた。
徐々に被災者も変化し、写真に写ることを最初は遠慮していても、津波で自分の写真をすべて無くしていることもあり、写真を撮って欲しいという方も増えている。
集会室に軽食や茶菓子を用意して、ほっとできる時間の中でゆっくり話ができる場を提供し、仮設住宅でのコミュニティーづくりを支援している。
*写真 東松島市の仮設住宅での「ふれあい喫茶」
これらの他にも、ちばコープの9つの店舗で、千葉の農産物生産者の応援イベントとしての農産物直売会の開催や、売上の減少した県内産の花を利用したフラワーアレンジメントの企画、石巻の水産会社の支援、手作りのキャンドルを被災地へプレゼントなど、ちばコープの組合員と職員の協力で、創意工夫した支援が今も続いている。
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