コラボ・コープOB

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「アークスグループ」の「八ヶ岳連峰経営」に思う

[大友弘巳]

 北海道のアークスと東北(青森県)のユニバースの経営統合について
 昨年秋、朝日新聞に、「地場スーパー再編 進む―北海道のアークスと東北のユニバース統合」という記事が大きく報道されました。
 また、12月に発売された雑誌「食品商業」の2012年1月号に、「リージョナルのポテンシャル」という特集が組まれ、その冒頭に「アークス」が紹介され、そこでもユニバースとの経営統合が主要な話題となっています。
 アークスとユニバースの場合は同じ食品スーパー同士の統合ですが、朝日新聞で、他の事例として挙げられている、「四国のマルナカが、イオンの傘下に入って役員の派遣を受け、子会社となる」や、「大阪の近商ストアは、セブン&アイ・ホールディングスの資本参加を受け、物流や調達の共通化を図る」などは、二つの巨大流通グループの子会社またはグループ会社となる形での再編でした。
 こうした再編が進む背景として、高齢化や人口減が進み「市場の縮小」が進んでいること、大手スーパーとの競合に加え、コンビニや薬品チェーン、百円ショップなど「異業種との競争激化」、デフレ傾向が続き値下げ競争を強いられる、店舗の改装、IT化投資にも多額の金が必要、創業者が引退する年齢にさしかかって「後継者難」に悩んでいること、などが挙げられており、それらはほとんど日本の各地の生協にとっても共通している問題です。

 アークスとユニバースは、「統合により、グループは計248店舗、売上高4,000億円となり、食品スーパーとして第2位の規模に浮上する」ことになりました。
 ところで、では具体的にどんな統合が進められるのかについて、朝日新聞の記事では、「共同仕入れ機構『CGCグループ』を利用する両社だが、お互いの商品を一部共通化し、メーカーや生産者から買い付ける際の交渉力をさらに増すという。IT(情報技術)への投資も効率化できる利点がある」などしか伝えられておらず、両社とも事業運営や本部の諸機能などが変化する様子はあまり窺えないのはなぜなのかと疑問を感じました。
 また、「食品商業」では、アークスグループの「八ヶ岳連峰経営」という考えが紹介され、ユニバースとの経営統合は吸収合併ではなく、ユニバースにも連峰の中の一つの峰として参加してもらう「マインド&アグリーメント(納得と合意)」の経営統合である、と説明されていることに注目しました。
 そこで、両社が共通に利用している「CGCグループ」との関係はどうなっているのか、アークスグループ傘下の他の企業の本部機能はどうなっているのか、などに関心を深め、いろいろと調べてみました。

 第3の流通グループとなったCGCグループ
 CGCとは、コーペラティブ グロッサー チェーン(共同で食料品を扱うチェーン)の略称であり、加盟企業数は228社、その店舗数の合計は3,722店、会員企業の年間売上高合計は4兆2,476兆円に及び、セブン&ホールディングス・グループの約5.1兆円、イオン・グループの約5兆円に次ぐ第3のグループとして、巨大な存在となっています。そして、CGCグループの本部機能を担うCGCジャパン株式会社の取扱高も7,720億円と巨大事業に発展しています。
 日本の地域生協139生協、総事業高約2.7兆円、日本生協連の事業高3,935億円と比べてみると、CGCグループの巨大さと、その本部の役割の大きさが分かります。
 食品スーパーマーケットの協業体としては、他にニチリウグループ(会員企業18社+3生協、合計約2,000店舗、売上総額約3兆円、共同仕入れ本部企業=日本流通産業KKの取扱高約2,500億円)や、 オール日本スーパーマーケット(AJS)協会(会員企業57社、合計約1,150店舗、売上総額1兆5,200億円、PB商品の取扱高456億円)がありますが、CGCグループが抜きん出た存在になっています。
 いまや、CGCグループは、食品スーパーマーケット業界では、国内最大、かつ最強のコーペラティブチェーンとなっており、食品スーパーマーケット(地場スーパー)の再編の主要な推進力となっていると言えそうです。
 1会員企業あたり平均店舗数を比較してみると、ニチリウは約95店、AJSグループは約20店なのに対し、CGCグループは約16店となっており、CGCグループでは店舗ニチリウグループ数が少ない中小規模会員が多く、本部機能の協業化に対する会員企業からの期待が強いものと考えられます。逆にいえば、CGCグループが本部機能の強化に努めてきたからこそ多数の中小の会員企業が急速に増えて、こうした成長を遂げてきたと考えられます。
 アークスグループは、CGCグループの会員企業の中で最大手のリージョナルチェーン企業となっていますが、その本部「株式会社アークス」の機能は、子会社の管理、グループとしての経営戦略決定など、極めて限定した範囲にとどめています。
 CGCグループ本部との機能の重複を避け、スーパーマーケットの事業運営を担う、アークスグループの各地区の子会社それぞれの本部は、CGC本部と直接結びつく関係にしているものと推測されます。
 ユニバースがアークスグループの子会社として一員となっても、その点では変わりなく、ユニバースの本部は、これまで通りCGCグループ本部と直接つながってCGCの機能を利用する関係は変わらないことが分かり、新聞記事を読んだ時の疑問が少し解けました。

 注目される「アークス」グループの「八ヶ岳連峰経営」
 アークスグループは、純粋持株会社としての「株式会社アークス」の下に、9の子会社(新たに加わったユニバースと網走の篠原商店を加えて)が各地区でそれぞれスーパーマーケットを営む「連峰制」をとっており、グループ運営方針として「『八ヶ岳連峰経営』による運営」を掲げています。「八ヶ岳連峰経営」の趣旨は以下の通りとされています。
 「お客様との距離を短く保ちながら、スピーディな経営判断をするため、アークスグループは富士山のような大きな一つの企業体でなく、八ヶ岳連峰のように同じ高さの山々が連なる企業連合を目指しています」と。
 この方針は、アサヒビールの元会長樋口廣太郎氏が2000年に日本経済新聞に寄せた論説「新・日本型経営の確立を急げ」の中で述べられた以下の言葉に由来しています。
 「富士山のような会社は見栄えはいいが、どうしても顧客との距離が遠くなり、その要求に細かく対応できない。これからは八ヶ岳連峰のように、ほぼ同じ大きさの会社が並ぶグループ経営が求められる」
 当時北海道では、「ラルズ」と「福原」が強力な食品スーパーマーケットでしたが、イトーヨーカドー、サティ(イオングループ)、西友などの大手チェーンやコープさっぽろと競合する一方で、お互いに競合することが起きはじめていました。ラルズの横山社長(現アークス社長)と福原の福原社長(現アークス副会長)は、道内のスーパーマーケット同士が競合するのではなく、協同して大手に立ち向かえるようにしようと話し合い、この樋口氏の「八ヶ岳連峰経営」の考えを取り入れることにしたのではないかと推察されます。
 その具体化として、「株式会社アークス」は、2002年、ラルズと福原が経営統合して、純粋持株会社として発足。これによって、ラルズと福原はともにアークスの子会社として横並びの関係となり、旧ラルズの子会社だった「道東ラルズ」「道北ラルズ」なども加えて「連峰制経営」の一歩を踏み出しました。
 以後、「株式会社ふじ」「道南ラルズ」「東光ストア」が加わって、7つの峰の連峰となり、2011年秋に、ユニバースと網走市の篠原商店を迎えることになりました。
 子会社とはいえ、まず各会社の商号は、子会社になる前の商号をそのまま継承していることが多いことにまず驚かされます。
 会社の商号だけでなく、店舗の名称も、「ラルズストア」、「フクハラ」、「スーパーチェーンふじ」など、元の名称がそのまま継承されています。
 つまり、地域の中で消費者に長く親しまれてきた名称は、企業名も店名もそのまま続けるほうが良いという考え方に立っていること、また、そのようにそれぞれの会社のブランド力や個性を尊重することにしていることが窺えます。
 店舗の業態も、各子会社によって重点が違い、トータルでは、大型店、中型店、小型店、オーソドックスタイプ、ディスカウントタイプ、地域密着型、24時間営業コンビニタイプなど多様ですが、あえて標準化や同一パターン化を急ぐ様子はなく、新たに「スーパーアークス」と呼ぶ新業態店舗(売り場面積1,000坪~1,400坪の大型店)の開発をグループとして進めることには力を入れています。子会社それぞれが置かれている地域特性や競合関係を重視し、それぞれが得意とすることを大事にしつつ、協同の力で新たなチャレンジをしているものと思われます。
 CGCでの共同仕入れに参加しつつも、商品部はすべてそれぞれの子会社にあり、物流ではCGCや卸業者の機能を利用する部分もあるのでしょうが、物流もシステムも、販促や店舗運営指導などなど、それぞれの子会社が担っており、各社とも自立した事業と経営を営んでいます。これからCGCでは足りない商品の開発や調達、共通のシステム開発などに共同で取り組むには、どのような体制が作られるのかが注目されます。

 「提携・統合」と「連峰・分権」について思うこと
 「資本提携、経営統合」と聞くと、事業運営や商品、物流、システムなど全般的に統合が進められるというイメージを持ちますが、「アークスグループ」においては、まさに「連峰制」らしく、それぞれの自立を大事にし、地域に密着して作り上げてきたものを尊重しています。
 資本関係の一本化、グループとしての経営意思の一元化を進める一方、各子会社の自立の責任を明確にすることで、それぞれの経営者の頑張り、組織の活力を大切にしていることが窺えます。
 反面、福原の本部がある帯広市から遠い北見市に出店していた3店舗のフクハラは、店舗名はそのままで、「道東ラルズ」が運営しているというように、グループとして経営の合理性の追求がしっかりなされていることも確かです。
 全国的にスーパーマーケットの売上が落ち込んでいるなかで、アークスグループ全体の売上高は、2010年度前年比100.4%(既存店99.4%)、2011年度3月から11月度累計前年比101.6%(既存店100.2%)と健闘しており、勝ち組のグループとして注目されています。
 「事業連帯」の中で、事業連合に機能を集中してきたコープネットグループのほうが、チェーンとしての業務システムトータルの統合が先行していますが、そこにムリやムダやムラがなかったか、大事なことを損なってこなかったかなど、検証してみることが必要ではないかと考えさせられます。
 合併を目指している首都圏3生協にとっても、アークスグループから学ぶべきことが大いにあるように思います。
 山形県の生協が県内合併を進めたとき、連邦制を唱え、法人としては「生活協同組合共立社」として1本化しつつも、地区毎に、(共立社)鶴岡生協とか、(共立社)山形生協などとそれまで組合員や地域住民に親しまれてきた名称を使うことにするとともに、分権的な組織運営を大切にすることを表明し、そのことによって組合員からの賛同を広く得ることができた、と聞いたことが思い出されます。
 私は3生協が合併するのではなく、コープネットグループとして連峰経営を強固に作り上げてほしいと願うものですが、資金や人材の一元的活用などのためにどうしても合併を目指したいというのなら、せめて、連峰・分権を大切にすることを裏付ける制度や方策を、アークスグループや生協共立社から学んで、もっとしっかり検討してほしいものと思っています。

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| | 2012年01月08日(Sun)12:05 [EDIT]


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