コラボ・コープOB

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風力発電の先進地~デンマークのロラン島が何故? 

[大友弘巳]

ロラン島の風力発電の取り組み 
 11月10日夜、NHK総合テレビの番組「地球イチバン」で、「自然エネルギー地球イチバンの島」としてデンマークのロラン島での取り組の様子が放映されました。
 ご覧になった方が多いかもしれませんが、内容を紹介ながら感想を述べたいと思います。
 デンマークは、「世界一幸せな国」としても知られていますが、原発を持たない国、自然エネルギーの活用、特に風力発電の先進国でもあることは、このブログの6月24日のページでも紹介させていただいていました。
 そのデンマークの中で、率先して風力発電を目覚しく推進してきたのがロラン島だったのです。
 ロラン島は、デンマークの南端に位置し、島の面積は沖縄本島とほぼ同じ、人口は65,000人、平坦な島で、一面に畑が続く農村地帯です。
 そんな島に、陸上だけではなく、洋上にも「洋上風力発電パーク」が作られており、合わせると風力発電風車が約600基設置されており、島内で必要な電力の5倍の発電ができる発電拠点になっています。洋上風力発電パークでは波力による発電も組み合わせ、ハイブリッド発電として試みられています。

 驚いたのは、風車の約半分は個人が所有していることで、農家個人が発電事業主となっていることです。
 ある農家の事例では、建設費5700万円は借り入れで賄い、風車で作った電気を電力会社に販売する収入が年間576万円あったので、10年足らずで借金が返済でき、返済後は農家にとっては貴重な安定収入になっているということでした。
 もちろん協同組合を作って共同所有している例も多く、この場合、オーナーはご近所同士に限るという定めがあるとのことでした。風車建設10周年の記念のパーティを開いたグループの例が放映されましたが、建設費の償却が終わって剰余金の割戻しが楽しみになっているようです。
 このように個人であるいは集団で事業として取り組むことが大きなメリットになるように制度が設計され、安定性が保証されていることが、参加を広げる大きなインパクトになっているわけですが、そこに至るまでには島の人々の自覚的な頑張りがあったのでした。

なぜ、ロラン島で先駆的に?
 1973年に石油ショックを受けて、デンマークでも原発の建設が検討されるようになり、ロラン島では造船所が倒産して失業率が高かったこともあり、原発を設置する候補地となりましたが、市民が立ち上がり、市民みんなで考える時間を3年間ほしいと要求したのに対し、原子力委員会が3年間待つことを決め、しかも賛成、反対の意見を公平に対比して市民に知らせる広報活動を進めました。
 当時原子力委員だった一人の元教員の方が、「市民は十分に知ることが必要という信念」に基づき「大事な問題を政府や専門家だけで決めるのではなく、一人ひとりの市民が決めるべき」と主張し頑張ったことによってそうなったのでした。政府は困って、原子力委員会に圧力をかけ、2年後には委員会を解散することにしたそうですが、その間に市民の中での話し合いが徹底して進められ、圧倒的多数の市民が原発建設に反対の声が高まった中で、1985年には計画が中止されることになり、政府は自然エネルギーの活用に全力で取り組むしかなくなりました。
 原発建設に反対したロラン島の人々は、自ら積極的に自然エネルギーの活用に取り組むことに努めることになり、発電された電気を電力会社が定額で買い取る保証(デンマークでは無期限)、償却ができて採算が合う価格の設定、などの要求をするとともに、協同組合方式で出資しあって風車を建設する運動を進めたのです。事業的にうまくいく見通しが立って来ると、広い土地を持つ農家では、個人で借金をして風力発電事業に取り組む例が急速に増えていったものと思われます。
 電力料金は、1kw当り、日本が20円なのに対し、デンマークは32円と高いですが、風力発電が成り立つための負担は必要という理解は市民の中では当然のことと受け止められており、その代わり省エネ、節電のための努力も様々工夫され、すべての電気製品は消費電力量がABCDE順にランクされ性能や価格と総合的に検討して購入できるような制度が整っています。結果として、日本より豊かな国で、大きな家に住んでいるデンマーク人の世帯のほうが、1世帯当り電力消費量が少なくて済んでおり、1ヶ月の電気料金の負担は日本の家庭とさして違わないようです。
 3年間みんなが納得いくまで話し合う時間を取ることを政府が認めたこと、原子力委員会が、賛成、反対の両論、メリットもデメリットも公平・公正に市民に知らせる努力を貫いたことなど、日本ではなかなか考えられないことが行われたことに感心させられます。
 大事なことでは一人ひとりの市民が良く考えること、話し合うことを尊重する、グルントヴィ(6月24日の記事で紹介しています)以来の伝統=「民衆の自覚」を大事にすることが、デンマークでは根付いていることを感じます。

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