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生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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学生を守って  -大学生協の震災復旧・復興対応― 

「寄稿」

[西村一郎]

大学生協の被害状況
 文部科学省の発表によれば、5月10日現在の学生の人的被害は死者22名を含めて139名にもなっている。また施設や地盤沈下などの被害は、4月18日現在で北海道から京都府にまで及び、国立大60校、公立大18校、私立大学189校、高専13校で計280校にもなっている。東北大学は、総額770億円の損害と同時に、入学予定を含めて3名の学生が亡くなり、学生の被災世帯は約1割になると推定されている。
 また震災は入試や卒業式や入学式などの学事に影響を与え、いくつもの大学では新学期が5月連休明けとなった。
 これらは大学生協の新学期の供給に大きく影響し、同時にガスや電気などのライフラインが止まったことにより、食堂や購買の営業もしばらく中止した店が少なくないし、「新生活用品」の倉庫も被災し、家具や家電商品などの供給が一時ストップした。6県の東北ブロックでは、施設の損壊を含む直接の被害は約3000万円で、事業関連は食堂などの供給減少・新学期の利用者の減少・旅行や教習所のキャンセル・住まい事業の減少などにより約2億6000万円となり、損害の合計は約2億9000万円となっている。
 また東京ブロックでも震災の影響があり、新学期の延期による供給減や卒業式の中止によるレンタル袴のキャンセルなどで、約8億円の損失となっている。


写真1

全国大学生協連の取り組み
 全国大学生協連では、大学生協共済連・大学生協東京事業連合・NPO樹恩ネットワーク(樹恩)が合同し、3月11日に震災対策本部を立ち上げ、翌週月曜日の14日より、「被災者救援募金」を提起し、多くの大学生協で募金活動が始まった。
 京都や東京の組合員から、「卒業時に返還される生協の出資金の一部を被災者の募金に当てるようにして欲しい」との意見があり、生協の出資金返還時での募金の訴えや、店舗や食堂で募金箱を設置することを決めて実施した。さらには各地で創意工夫し、駅頭での募金活動、保護者説明会や新入生ガイダンスなどでの訴えなども取り組んだ。この結果、出資金返還時に募金の訴えをし、5千円や1万円を募金した卒業生もいれば、駅頭で連日立った埼玉大生協では、百万円を超える募金を集めた。また、食堂のメニューや商品を通じて、募金をすすめた事業連合や会員生協もいくつかあった。
  このような結果、5月20日現在で全国大学生協連には、143の大学生協と個人や取引先からの振込みを合わせると約3300万円もの募金が寄せられている。なお募金活動では9会員生協が大学と共同し、約350万円を集めている。

生命共済などでの保障
 大学生協の扱っている共済では、地震や津波における被害でも「生命共済」は共済金支払いの対象となり、また保険の「学生賠償責任保険」では、学生本人が亡くなると保障の対象となり、「学業継続費用保険」でも、扶養者が入院または自宅療養し5日以上就業不能となった場合も保障される。
 そこで大学生協連及び共済連では、被災した学生や保護者にこの情報を伝えるため、ポスターの作成やホームページへアップし、また報道関係者へリリースした。その結果、5月13日現在で本人死亡8件、扶養者死亡28件、父死亡3件、母死亡18件と死亡の合計件数が57件にも及んでいた。扶養者事故死亡へは毎月10万円の共済金を届け、1人でも多くの学生が、学業を継続できるように応援している。
 また「父母等を亡くされた学生・院生へのお見舞金」は、4月初旬より受付を開始し、5月13日までに43名へ3万円を贈ることができた。以下は受けとった方からのメッセージである。
 「父の勤務先の病院が20mを超える津波の直撃を受け、父を亡くしました。安否が分かるまで、言いようのない辛さを経験しました。父は、最後まで患者さんと見舞いに訪れていた方々を、避難させようと必死だったということです。悲しい春です。皆様有難うございました」(大学院2年 男子)

学生のボランティアを組織
 被災地の復興支援に向けた学生ボランティアの募集を開始し、4月18日から5月8日にかけて受け入れ、4泊5日で1ターム50人定員とし、ゴールデンウィーク中は定員を超え70名以上の参加となった。活動内容は、宮城県ボランティアセンターからの依頼を受け、宮城県七ヶ浜町や東松島市を中心に、ボランティアセンターや避難所での支援や、一般家庭や道路の泥出しとか家財の整理などで、その後も継続している。
 このボランティア活動では単に支援の作業だけに終わらせず、参加した学生の成長も位置づけ、仙台市青葉区の宿泊場所では、活動終了後の夜に毎日グループ交流や報告会を行ない、ボランティア体験での気付きや被災地でのニーズを把握し、また活動上の反省点などを出し合った。
 以下は、ある男子学生の感想文である。
 「復旧が確実に前に進んでいると感じると同時に、ボランティアにできることの限界にぶち当たり、無力だとも感じた。そんな中、ボランティアセンターの存在を知らない何軒かのお宅に、存在と役割を伝えることができた。また、親族を亡くされ家の片付けに追われていた夫婦からは、『若い人と話すと力になる』と聞き、次第に心の距離が縮まっていくのを感じた。現地の方の精神的な負担は、家が片付いても残る。自分の目で東松島を見て、自分がこの事態にどう関わっていけるか考える上で、大変貴重な機会となった。大学生協の方々には、心から感謝申し上げたい」
 参加した学生は、被災地の現場と被災者の方を目の前にし、マスコミ等からの報道では伺い知れない現実を知り、悩みつつも貴重な体験を通して成長の糧にしている。

NPO樹恩ネットワークの取り組み
 大学生協を母体として誕生した樹恩は、都市と農山村の循環と、世代をこえた人々のつながりを目的にし、大学生協連や全国の災害支援関係396団体が参加する「東日本大震災支援全国ネットワーク」と連携して支援活動しつつ、独自の取り組みもしている。
 ①割り箸の提供:被災地における炊き出しで使うため、4月末までに13万膳をこえる独自の割り箸を提供し、不良品は薪ストーブの焚き付け用として10ケース(1ケースは3000本)を送った。また「震災からの復興には時間がかかります。あなたにできる“はし”渡しはこちらから↓」とのメッセージ入りの箸袋を50ケース作成し、大学生協での募金を呼びかけてきた。
 ②薪かまど「薪ボイラー車」の支援:移動式薪ボイラー車プロジェクトが、小さな規模の避難所や孤立集落を廻っており、それを資金面で支援している。
 樹恩の事務局長をしている鹿住貴之さんの話である。
 「都市部を中心に無縁社会といった問題が起き、農山漁村では過疎高齢化が進み、それぞれの村と都市が顔の見える関係をつくって循環する中で、日本全体の復興を考える必要があると思いますので、将来を見据えて息の長い活動をしていきたいものです」
 1995年の阪神淡路大震災のときに、徳島の森林組合の協力で間伐材による仮設住宅の設置から出発した樹恩は、原点を忘れず活動を続けている。
 
東北の大学生協では
 大学生協東北事業連合の専務で、かつ東北ブロック震災対策本部長の三浦貴司さん(**歳)に、仙台で今後の復旧・復興の方向性について話してもらった。
  「第一に全ての事業を、学生の学びと成長の視点で組み立てることです。第二に激甚災害を想定し、一極集中だけでない物流や商品の調達を考えておくこと。第三に、大学生協にしかないインターネット事業の構築です。第四は職員の育成で、組合員同士のコトの提案を通じてニーズを顕在化し、商品利用と活用に結びつける力をつけることです。そして第五には、組合員や大学の期待に応える経営力を持つことです。
 こうした視点で事業を強化し、この震災での大きな損害を、ぜひ来年度中には解消させたいものです」
 東北事業連合の会員の1つである大学生協みやぎインターカレッジコープでは、大学と災害時の相互協力に関する協定書を結ぶ準備をしている。
 震災をきっかけにして、学生組合員の学びと成長を守る大学生協の役割を、さらに発揮しつつある。

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