コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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首都圏3生協の「新しい生協をめざして 検討報告(案)」 への疑問

[大友弘巳]

社会の変化の方向を捉え直す必要があるのではないでしょうか
    ~合併を進めることが持続可能な生協になれる道なのか、疑問です    

 この10年、コープネットグループの会員生協は、機能統合の範囲を広げ、特に首都圏3生協は「実質合同」と称して、機関運営と組合員活動以外のほとんどの統合を進め、さらに、5年ほど前からは、県域を越える合併を検討するようになりました。合併の枠組みは何度も変わり、現在は3生協合併ですが、将来は8生協すべてを合併してコープネット事業連合を解散する単一化を志向しているようです。
 こうした考えは、合併によって大規模な単一事業体を形成してスーパーマーケットチェーンをリージョナル単位で展開することに成功しなければ競争に勝てないし、生き残れない、というチェーンストア理論を受け止めた戦略発想に基づいています。
 しかし、世の中は大きく変化しつつあり、この戦略発想自体を見直さなければならない現実に直面しているのではないでしょうか。

 人口減少と高齢化が全国に先駆けて先行している福井県では、「福井県民生協の挑戦」の事例(7月5日の記事参照)の通り、五つの事業のネットワークで組合員を広げると共に、暮らしの中でなくてはならない存在として生協への信頼と支持と利用を高めることに成功し、着実に発展を続けています。
 ヤオコーはレギュラーチェーンであるにも拘らず、分権的運営を徹底して進め、現場力の発揮によって一つひとつの店舗を地域一番にしていく理念と戦略で、この10年急速に発展を続けています(8月28日の記事参照)。 3生協はそのヤオコーとの競合がこれからさらに激しくなっていくことが避けられず、どのように立ち向かうのかが難問となっています。
 世界の小売業のランキング第2位の「カルフール」に続いて、第4位の巨大スーパーチェーン「テスコ」が、規模の大きさで安売りを仕掛けても支持されず、日本の市場から撤退することになっています。(9月5日の記事参照) 
 こうした変化は、いずれも、合併を進めて巨大規模の生協を作ることが必ずしも有効とは考えられない事例となっていると思います。
 また、東日本大震災と福島第一原発の重大事故は、地域での組合員同士の共助と、地域に根ざした事業体としての生協の役割への期待を高めることになっていますし、農業・漁業・食糧の安全安心への関心をいっそう深め、身近な信頼できる組織・運動としての生協への役割発揮が求められることになっていると思われ、それは合併を進めることよりも、それぞれの生協の地域毎の着実な発展を目指すことこそが大事になっていると受け止めるべきではないでしょうか。

事業・経営の見通しや事業革新の道筋を示すことこそ必要ではないのか
    ~「ありたい姿」だけでよいとは思えません。

 さる6月に開催された3生協の総代会で、ちばコープ、さいたまコープ、コープとうきょう、コープネットの四者の理事長・専務理事で構成する「組織合同協議会」を設置することが含まれた「2011年度、事業計画および予算設定の件」の議案が承認されました。
 その提案に当たっては、「組織合同に関しては"将来の生協のありたい姿"を決める重要なテーマですので、検討を継続し論議を尽くしていきます」とされていましたので、少なくとも半年や1年くらいは検討されるのかと思っていたところ、わずか1ヶ月後の7月19日に、「新しい生協をめざして 検討報告(案)」が取りまとめられ、報告されました。
 協議会は、7月5日と19日の2回開催されたようですが、それで組織合同協議会としての「論議を尽くした」といえるのか、最初はそのように驚き、疑問を感じました。
 しかし、総代会議案書をもう一度よく読むと「組織統合に関しては“将来のありたい姿”を決める重要なテーマです」と書かれていることに気付きました。実現の可能性をしっかり検討し、誰にでも理解できるように道筋を示すことは抜きに、“将来のありたい姿”の原案を作る検討だけなら1ヶ月でもできることに思い当たった次第です。
 「合併」ということは、もちろん「将来のありたい姿」を決めるだけで進めて良いことではないはずです。
 前回(9月5日)の記事、「事業革新の道筋にもっと光を」の中で、店舗事業の革新の事例を取り上げて、「新しい生協のありたい姿」に沢山並べ立てられていることと、現状の課題(問題)との間にはあまりにも大きなギャップがあり、どうしたら現状を克服して「ありたい姿」を実現できるかの道筋が見えないこと、「ありたい姿」にはリアリズムが欠けているといわざるを得ないこと、などを述べました。
 店舗事業以外の項目でも、「ありたい姿」に書かれていることは素晴らしいこと、ぜひそうあってほしいことばかりが並んでおり、これに不満を感じたり反対したりする人は組合員にも職員にもほとんどいないはずと思われます。
 しかし実現可能性が薄ければそれは単なる「願望」で終わってしまうわけですし、実現の可能性が少ないのに言い立てるとしたら、それは優良誤認を招く所業であり、悪く言えば原発安全神話と同様の「合併万能神話」づくりともなりかねません。
 経営に責任を負う理事長・専務理事の協議体である組織合同協議会の責任ある役割は、「夢」のような「ありたい姿」の検討に留まっていてはならないはずです。
 3生協が合併する場合だけでも多くの問題の検討が必要なことですが、今度の提案は、コープネット事業連合での事業連帯も継続するのですから複雑なわけで、どのような役割分担にするのか、店舗・宅配はじめ各事業の革新の見通しとその道筋、経営構造と財務構造がどう変わるのか、新生協とコープネット事業連合の人員再配分の内容、経費負担はどう変わるかなど、専門家の協力も得て大枠の数値計画をまとめ、その数値には自分たち(8人)が責任を負えると思えるところまで煮詰める役割があるはずです。
 一般企業の合併検討の場合でも、理念や戦略では一致しても、こうした詳細見通しの検証、検討の中でメリット、デメリットが明らかとなり、トータルの判断で合併を中止する結論になることは珍しくないわけで、今出されている3生協の「新しい生協をめざして 検討報告(案)」では、合併の是非の判断のためには極めて不十分と言わざるを得ません。
 ステークホルダー(3生協、3生協以外の5生協、コープネットの関係者)みんなが、なるほどと思えるような検討を、半年でも1年でもかけて、尽くすべき責任があると思います。

なぜ、事業連帯のあり方の見直し検討を省略したのか
    ~おおさかパルコープのような見直しはできないのでしょうか

 岩手の加藤さんから、9月6日、「おおさかパルコープを訪ねての新発見」の記事で、おおさかパルコープ生協が、「近畿事業連合」連帯への参画の内容を見直し、生鮮と日配の商品部機能を自生協で自立させていたと紹介され、それによって店舗事業の革新や産直運動の再構築を目指して動きだして成果があがっていることが報告されました。
 かねてから、近畿事業連合では事業連帯のあり方の見直しの議論が起きているようだと薄々聞いてはいましたが、このような内容で結実したことについては初めて知ったので驚くとともに、大変な議論がなされたものと推測しています。
 日本の地域生協におけるリージョナル事業連帯の歴史は、長いところでもまだ20年ほどでしかなく、事業連帯のあり方(事業連合への会員生協の機能の委託(統合)の内容、レベルなど)は各事業連合によって違っており、どのようなあり方がより有効かは、事実に基づいて検証され、より効果的な連帯を模索して、不断に見直しされて然るべきです。
 コープネットの事業連帯も実質的に20年を経て、会員生協が経営の危機に立っているのですから、事業連帯のあり方も全面的な見直し検討が必要になっていることは当然です。
 ところが、「組織合同検討委員会」が設置された当初から、現状では意思決定に時間がかかりすぎて事業構造改革や事業革新がスピーディに進まないとか、事業と組合員活動の「ともに」が進めにくいとか、運営が複雑で組合員から見て分かりにくいことがある、などが「現状の課題」とされたにも関わらず、それらをどう解決していくかについての検討=事業連帯のあり方の見直しの検討はされず、省略されてしまいました。
 そして、生協法も改正されたのだからと、組織合同(合併)を進めることをいったん「仮設として検討する」として組織合同の検討を進め、組織合同(合併)を進めればこれらの問題は解決するのだからとして、組織合同検討委員会での検討を打ち切ってしまったわけで、合併の検討を進めることを自己目的化した強引な進め方だったとしか思えません。
 しかも、3生協の合併を進め、8生協の事業連帯が6生協の事業連帯に変わるとしてもコープネット事業連合は継続するというのですから、二重構造は変わらず、これまでのようにコープネットへの機能集中を続けるとしたら、「現状の課題」の解決は難しいと考えてきていたはずではなかったのかと、疑問は募ります。
 この点については、3生協が合併して作る新生協は、コープネットの事業の中で7割を占めることになるので、新しい生協とコープネット事業連合を実質的にひとつの組織として運営することで解決すると説明されています。
 一人の代表理事が新生協とコープネットの代表理事を兼務してマネジメントを一元化する、新生協とコープネットの執行役員会は同一会議体とする、などとされており、5生協には基本的に新生協の下で同一歩調を取ってもらうことを想定することになり、事業連合の民主的な運営としてそんなことが許されるのかというそもそもの疑問にぶつかります。
 さらに言えば、兼任の代表理事の指示通りに事業を進めてうまく行かなかった時は、コープネットや新生協は5生協に対してどういう責任を負うことになるのか、新生協と5生協との利害が反する場合は誰がどう調整するのかなど、大きな問題が出てくる可能性がありますが、それらの問題はどこまで検討されているのか、3生協以外の生協から合意が得られているのか、なんら説明されていません。
 そんなことで「現状の課題」を本当に解決できるのか、むしろもっと大きな困難な問題(請負ともたれあいの悪循環)を抱えることになるのではないかと懸念されます。
 他方、これまで無理な機能統合を進めてきたことによる問題、運営部機能まで統合してしまい、しかも本部主導型の運営が強まったことによる現場の活力の低下、商品の地域性や競合への対応力の低下などが業績の低迷につながっていると思われるにも拘らず、事業連帯のあり方の見直し検討を省略してしまっていることは、事業革新の検討に遅れを取る原因にもなっていると思われます。
 生協の事業経営の危機を迎えているこの大事な時期に、合併を進めることに膨大なエネルギーを費やすことに明け暮れていて良いとは思えません。
 合併に拘っていることこそが、福井県民生協やヤオコーに学ぶことも妨げ、おおさかパルコールのように自由闊達な発想で事業革新を検討することを妨げているのではないかと考えざるを得ません。
 今からでも、おおさかパルコープと近畿事業連合の経験にも学び、事業連帯のあり方を見直し、事業革新を推進することこそが、「現状の課題」を克服し、閉塞状態から抜け出す確実な1歩となるのではないでしょうか。

合併は、圧倒的多数の組合員から賛同を得られることが必要です
    ~合意形成の進行計画のゴリ押しは、生協の民主的運営に馴染みません

 資料の最後のページに掲載されている「協議スケジュール」を見ると、8月の各生協の理事会から「新しい生協をめざして 検討報告(案)」の合意形成に入らなければならない計画になっています。
 来年秋の臨時総代会で議決を得て、再来年2013年4月度からは合併した新生協としてスタートするというスケジュールを立てており、逆算して進行計画を組むと、今年の秋の地区総代会に「新しい生協をめざして」を提案して合意形成を開始することが予定されていますので、理事会での討議は8月に開始する必要があるということなのでしょう。
 すべては2013年4月合併スタートを前提にしているわけで、手続きとしての検討計画が詳細に決められ、それを守ることが最優先になっているように感じられます。
 本当に検討を深めるべきことについてはまだまだ検討不十分(示されていない)なのに、こうした合意形成の進行計画が優先されている状態は、民主的運営に馴染まないばかりか、組織の健全性を損なう原因になるのではないかと懸念されます。
 自分もまだ良く知らされていない、確信を持ちきれていないことを、総代や組合員に説明する責任を負わされる、組合員理事はじめエリア委員、職員などの心の重荷は大変なものになっていくのではないかと懸念されます。
 合併は本来、さいたまコープで言えば80数万人に及ぶ組合員に理解を深めていただき、賛同を得ることが必要なテーマです。組合員全員が出資者であり主権者だからです。
 生協法が改定されて、合併は総代会で決めることもできるようになりましたが、さいたまコープでは、生協法改定以前と同様に広く組合員に諮り(少なくとも半数以上の組合員から意見を聞き、その3分の2以上の方々から賛同を得るようにする)と聞いていますので、その通り信じたいと思っています。
 しかし、上記「協議スケジュール」を見ると、この12月から年明け2月上旬までに各地で組合員のつどいを開くこと、1月には組合員からアンケートをとることなどが計画されている程度であり、それらで80数万組合員に諮ったといえる中身になるのか大いに疑問です。
 今年1月~2月に「組織合同検討委員会報告書」を説明するために開催された「組合員のつどい」は47会場で合計322人だけの参加だったことを考えると、組合員理事も、エリア委員も職員も大変なエネルギーを発揮して意見集約に取り組む活動を進めることを求められることが予想されますが、それに応えて頑張ったとしても、過半数の組合員から意見を聞き、その3分の2以上の人から賛同を得ることは極めて困難と予想されます。
 もし、そのことに成功し、多くの組合員が賛同しているという状況にならなければ、総代会で3分の2以上の賛成を得ることも難しくなると考えられます。民主主義を尊重するふつうの総代なら、自分が1600人分の組合員の総意に沿って賛否あるいは保留の権限を委ねられていることを考えると、周りの組合員のほとんどが理解し賛同していることを実感できなければ、「賛成」はできないと考える人が多くなると思われるからです。
 これまでの検討の進め方についても、強引過ぎるのではないかと疑問を感じてきましたが、今回またまた輪をかけた感じを受け、民主的な運営を大切な原則としてきた生協として、大規模化が進んできた中での運営がこのようなことでよいのか、疑問は深まるばかりです。





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