コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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『欧州の協同組合銀行』に学ぶ -協同金融研究会特別委員会での検討から-

「寄稿」

[岡本好廣]

協同金融研究会の国際協同組合年に向けての活動
  1993年に農林中金JAバンク、信用金庫、信用組合、労働金庫の4協同金融組織の役職員、学者・研究者による「協同金融研究会」が発足した。当時私は生協総研の専務をしていたが、設立の趣旨に賛同して総研に事務所を置くことにして職員がその活動を援助した。発足後今年で18年になり、3月5日に定例研究会100回記念シンポジュウムを日大経済学部講堂で開催し、東大名誉教授宇沢弘文先生に「国際協同組合年と協同組織金融機関への期待」と題して記念講演をしていただいた。
 国連の「国際協同組合年」に際して協同金融研究会では、特別委員会を設けて「協同組織金融機関の今後の在り方」を検討し、それに向けての[提言]を準備することを考えている。
 【協同組合に関する2009年国連事務總長報告】は、「世界の食糧・金融危機の観点から農協及び協同組合銀行が食糧の安全保障や包括的な金融システムの維持のために、如何に長期的に貢献しているか」を強調し、2012年を国際協同組合年として各国政府及び関係組織が協同組合発展のために一層強力に取り組むべきことを訴えている。

 2008年のリーマンショック後の世界金融危機に際して、ヨーロッパの協同組合銀行はその影響を受けることなく、健全経営を貫いて金融安定化に大きな役割を果たした。
  昨年12月、(株)農林中金総合研究所は『欧州の協同組合銀行』(斎藤由理子・重頭ユカリ著、日本経済評論社)を刊行した。解説にあるように-世界の経済・金融が揺れ動くなかで、協同組織金融機関の果たすべき役割は何か-を示そうとした本書は、伝統ある欧州の協同組合銀行を取り上げて、各国協同組合銀行の概要、組合員制度、グループ間の相互援助制度、コーポレートガバナンス、CSR等について詳述し、最後に「日本の協同組織金融機関への示唆」を示している。欧州の主な協同組合銀行の特徴は次のようである。
 フランスのクレディ・アグリコル、ドイツの協同組合銀行の総資産額は日本のメガバンクを凌駕する世界有数の大銀行である。名称から想像できるように前者は19世紀末に農業相互信用法によって組織された協同組合銀行であり、後者は日本で云えば信用金庫・信用組合の発展系と考えられる。こちらも長い歴史を有している。日本と異なり欧州では協同組合の利用者が法律で組合員になることを強制されないが、それぞれの協同組合銀行は組合員制度を重視し、多様な組合員の意志決定に参加の道を開いている。
 第3位オランダのラボバンクも農村信用組合から発展したものである。オランダではグループ内で銀行と保険が兼業できるため、国の大きさに比べてラボバンクの巨大さが目を引く。日本でもオーストラリアドル建てやニュージーランドドル建ての世銀債を発行したりして、国連関連機関の資金需要にも協力している。ここも組合員増強運動を積極的に進めて組合員を増やしている。また組合員との関係を強めるために組合員協議会制度を設けている。

地域に密着、相互金融から地域金融へ
 協同金融研究会特別委員会の「提言」策定の検討に向けて、この本は多くの示唆を与えてくれた。会員有志約30人で組織した特別委員会のメンバーはこの本を共同購入して読みこなすと共に、8月27日の第2回委員会には著者の1人農林中金総研調査第1部斎藤由理子部長にお出で頂いて、直接お話を聴く機会を持った。
  最終章「日本の協同組織金融機関への示唆」という話しのなかで、斎藤部長は欧州協同組合銀行の強みとして次の諸点を示された。
① バブルに無縁の経営
他の銀行が短期的な収益を求めて過度なリスクをとる傾向があるのに対して、協同組合 銀行は組合員が出資し経営に参画している結果、資本基盤が強固で長期的視点での経営ができる。これは欧州各国の協同組合銀行に共通しており、この結果金融危機の発生後協同組合銀行の組合員が大きく増えた。
② 地域との密着-相互金融から地域金融へ
協同組合銀行の原点は組合員同士の<相互金融>である。それを重視しつつ地域社会全体を視野に置く<地域金融>へと発展し、組合員との関係深化と地域社会との結びつき強化が進められた。
③ 協同金融機関相互の連帯
欧州では各協同組合銀行グループ毎の連帯はもとより、国別の協同組合の相互援助制度、更には「欧州協同組合銀行協会」(EACB)やそれを実務面でサポートする「ユニコバンキング」という組織があって、重層的に協同組合銀行を支えている。

 これらを日本の協同組織金融機関で今後どう取り入れていくべきか、特別委員会での検討が待たれる。なお、この委員会は毎月1回第四土曜日の午後に開催しているが、議論の深化によっては1年に及ぶ長丁場になるかも知れない。毎回の議論は議事録に詳細を留めているが公開せず、「提言」を出す場合にも個人名は出さず協同金融研究会としての発表にすることを申し合わせている。

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