コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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「福井発の挑戦」の読後感想―福祉事業の視点から

「寄稿」

 「『福井発の挑戦』を読んで」の記事に対するご感想だけでなく、「福井発の挑戦」そのものを読んでご感想をお寄せくださる方も出てきました。
 日生協勤務時代、福祉事業を通して福井県民生協と触れ合った経験をお持ちの佐川まことさんからお寄せいただいたご感想を、「寄稿」として掲載させていただきます。  管理人[少老朋友]

[佐川まこと]

 私が福井県民生協の福祉事業の取組に注目し、是非、全国に紹介しょうと考えたのは、私が日生協の福祉事業推進部にいた2005~06年当時であった。当時、日生協としても「日本の生協の2010年ビジョン」で「第3の事業として福祉事業を確立する」と05年の総会で決定し、それをもとに福祉ビジョンと中期計画作成のためいろいろ論議をしている時であった。福祉事業の取組の意義や理念は生協本来の在り方からの論理的帰結として説明がつくのであるが、それを実際に生協の事業として本格的に展開している生協は、当時は全国で1割にも満たない状況であった。
 そうした中で、福井県民生協の福祉事業は、組合員の要求に基づき、地域のニーズの調査・分析を踏まえて、原則的な取組を行っていた。残念ながらまだ福祉事業だけで見ると当時は赤字であったが、それはまだ福祉事業を展開して間もない時期なので、やむ追えないことであった。
 私が第1に注目したのは福祉事業を、既存の生協の店舗や共同の購入事業や組織活動としての組合員活動と組み合わせながら、全体の事業・活動の中に位置づけて取り組んでいることであった。店舗に隣接して、子育てやデイサービス事業が展開されており、当時としてはまだ多くの生協で福祉事業自体の位置付けを巡って論議している状況で、そうした取組は、全国的には先進的な取組であった。 本書の中で「事業ネットワーク」という言葉で表現されているものである。

 もうひとつ感心したのは、生協の地域における社会的役割という視点についてである。生協が一定の地域シェアを形成すると必然的に出てくる問題であるが、組合員のニーズを真摯に受け止め、それを地域で生活する人々の暮らしの問題として捉えていくと、それは同時にまた地域のニーズでもあることが分かる。その点、福井県民生協は福祉事業の分野で、組合員のニーズでもある、地域のニーズにどう応えるかということについて、それを正面から受け止め、調査・分析、論議を行った上で、事業に取組んでいたと思う(本書では地域のくらしへのお役立ちと表現している)。
 当たり前のことであるが、その当たり前のことを、基本に徹して、確実に実行していたのが福井県民生協であった。福祉のこうした優れた取組が、なぜ北陸のある地方の生協で出現したのか、私も実際、福井県民生協に何度か見学し、勉強させていただくまでは確信を得ることが出来なかった。見学の中で、CRM(5つの事業の利用状況をリアルタイムで把握できる組合員データベース)が導入されていることを知った。客観的なデータに基づき、組合員も職員も、年間の活動方針や事業方針を多少時間が掛っても、検討、論議していると聞き、これほどまで基本に徹して実行している生協があるのだろうかと驚いたのを覚えている。
 このシステムは本書で、パート職員の声に「気付き」、店舗と宅配のデータ突き合わせ作業を開始する中で生まれてきたとことを知った。そうした経過を踏まえて、私は福井県民生協の福祉事業を生協の福祉事業のモデルの1つとして、全国の生協に紹介した。
 私なりに福井県民生協から学ぶ点を整理すると、第一点は福井県民生協が地域における生協の時代の社会的役割を常に明確にしてきたこと。第2点は「顧客満足」つまり、「組合員満足」に意識して徹し、またそうした「組合員満足」を知るための基礎となる利用状況をデータで捉えるシステム(CRM等)を作ったこと。第3点は事業ネットワークで、組合員から見れば生協は1つであり、組合員のくらしの視点から生協を見て、事業を組み立てていること。第4点は職員の満足度とやりがいを高め、そのための環境整備、組織風土改革。そして第5点は最も重要なことだがこれらを引き出す、トップのリーダーシップだと思う。
 今回、本書を読ませていただき、福井県民生協の改革のための内部での喜びとご苦労を知ることが出来た。改革のスタートは2001年の「経営品質」の取組から始まり、紆余曲折ありながらも今日を築いたと思うが、現在の福井県民生協が今の日本の少子高齢社会の中で、地域における生協のあるべき姿の1つのヒントを提供していることは間違いないと思う。                                      

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