コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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放射能汚染から逃げない福島の生協   

「寄稿」

[西村 一郎]

いわき市へ
 上野駅から仙台へ向かう常磐線に乗って北上し、茨城県から福島県に入って3つ目の泉駅で下車したのは11時過ぎであった。真夏の太陽が照りつける駅前の広場で、持参した折りたたみの自転車を組み立て、放射能汚染防止のためにマスクを付け、リュックを背負って小名浜港をめざした。
東日本大震災による福島県の被害は、死者1755人で行方不明が202人、そのうち「いわき市」では、死者308人と行方不明者42人にもなっていた。走っていた途中の公園には、地震や津波によって破壊されたおびただしいガレキ類が高く積み上げてあった。環境省の発表によれば6月28日の段階で、福島県のガレキの推計量は228万tで仮設置き場への搬入率は23%で、いわき市のそれは88万tで30%とのことである。
30分ほどで小名浜の漁港に着く。港に何隻もの漁船は停泊しているが、まったく以前の活気がない。魚市場や近くの物産店などの建物は、土台だけで形がないか、もしくは外形が残っていても1階は大破し、壁や柱などがゆがんで痛々しかった。

港から100mほど離れた場所で営業中の小さな食堂を見つけて入り、定食をとりながら白衣の年配の女性から話を聞いた。当日は1mの津波がこの店を襲い冷蔵庫などを壊したが、下ろしたシャッターで壁や家具などの被害は小さく、比較的早く営業を再開できた。
地域の様子を聞くと、津波の被害を免れた船で遠く他県の沖に出かけて漁をしても、小名浜に揚げると福島産となって、放射能の汚染を心配する仲買人は買い付けを控えるので、やむなく近県に魚を降ろしている。このため地元の製氷工場や水産加工会社などの仕事ができず、地域の産業が冷え切ったままになっている。原発事故の影響が、かなりの広範囲に及んでいることを知って私は驚いた。

NPOとも連携し、復興を進めるパルシステム福島
自転車で50分ほど北上し、パルシステム福島の本部事務所を訪ねた。6月20日に開催となったパルシステム連合会の第29回通常総会では、東日本大震災に関してのアピールの前文で、復興のために「私たちの想像を超える自然の大きな力に敬意を払い、原発の安全神話に見られる科学万能と能力主義への反省をこめ、原発とは対極にあるとも言える、持続可能で循環を意識した助け合いが息づく協同の地域社会づくりへと、行動することが必要とされています」を採択した。
そのパルシステム連合会に参加しているパルシステム福島では、3つの共同購入のセンターで1ヵ所は作業ができなくなっている。その中で産地やメーカーの協力で避難所への食料支援や、小中学校へは給食用のパンや牛乳などの支援をしてきた。そうした復旧・復興の先頭に立っている安齋雄司専務理事から話を聞いた。
「取り組みの特徴の一つが、市民団体との連携です。静岡で環境をキーワードにして活動しているNPOホールアース研究所は、『いわき市』へボランティアで入ってきた最初のNPOで、4月20日までは炊き出しをし、それにパルシステムも協力しました。また市民による海外協力の会である東京のシャプラニールは、避難所から一時提供住宅へ入居する方に、鍋やフライパンなどの調理器具7点を提供することになり、それにパルシステムでは調味料を添えることにしました」
その調味料とは、砂糖・しょう油・和風だしの素・味噌・塩・油であり、砂糖であれば鹿児島産のサトウキビであり、味噌は国産大豆の使用といったパルシステムのこだわり商品であった。生協だけではできないことがいくつもあり、同じ志を持った団体などとの連携を大切にしている。安齋専務の話は続く。
「特徴の2つ目は組合員さんの協力で、支援物資を食べやすい状態にして被災者へ提供したことです。20kgのもち米が支援物資として届きましたが、そのまま避難所に運んでも、蒸し器がないので食べることは困難です。そこで組合員理事の提案があり、組合員集会室のキッチンを使って『おはぎ』にし、受け取った悲災者がすぐに食べることができるようにしました。また支援の卵は出し巻きにし、300食分の『おはぎ』と出し巻きと味噌汁のセットにして避難所に運びました。甘い物の少ないときでしたので、皆さんに喜んでもらいましたね」
パルシステム福島の昨年の供給高25億円に対して、今期は19億円の厳しい予算となっている。原発の事故により浪江町など住居を離れた組合員が3133人もいて、その落ち込みが大きい。安齋専務に当面の課題を語ってもらった。
「いわき市社会福祉協議会とも連携して、在宅介護の高齢者宅や保育所への支援物資の提供もし、これまでにないつながりができましたので、これからは仲間づくりをより強化する予定です。
原発事故による放射能の汚染は、誰も経験したことのない深刻な事態ですが、ぜひ組合員が分断されないようにすることと、非科学的に楽観したり逆に悲観するのでなく、放射線量に応じた怖がり方をすべきと私は考えています。そのため放射能についての学習会などを開き、正しい知識を持って判断できる人の養成を進めているところです」
「共生の社会」を理念でかかげているパルシステムは、原発事故の収束がまだ見えない福島において、新しい共生の社会づくりを進めつつある。
写真 パルシステム福島による学校給食支援
パルシステム福島による学校給食支援1

原発問題から逃げないコープふくしま「いわき支部」
 パルシステム福島の事務所から再び自転車に乗って次は南下し、コープふくしま「いわき支部」を50分後に訪ねた。支部は海岸に近いが、すぐ横を流れる藤原川で津波は止まり建物の被害はなかった。
 しかし、多くの組合員が被災し、津波による自宅の損失や原発避難指示区域の人もいれば、自主的避難や解雇通告をされている方もいる。そうした厳しい環境の中での取り組みについて森重人支部長に話を聞いた。
「震災後のニーズを聞き取り、生活環境の変化を敏感に受け止め、お役立ちの姿勢で活動してきました。併せて生活状況から大型班の提案や、仮設住宅への配達提案を進め避難所にいる希望者への配達も開始しました。
また職場で働く女性の生活環境や買い物の変化を聞き取り、職場班における利便性を訴えつつ商品の継続利用を提案したことで、保育所での職場班結成などに繋がっています」
変化する多様な組合員や地域のニーズに対応するには、常に相手から聞き取りをする柔軟な考え方が大切である。そうした「いわき支部」の取り組みに対して、次のようないくつもの感謝の声が届いている。
・放射能の水質汚染で摂取制限となった時に、仲間作りのパートの一言で始めた子育て優遇利用者への水の無償提供で、組合員から感謝が届いた。
・個配ができるようになった特例老人介護施設から礼状が来た。
・ 北関東の実家に避難していた組合員は、子どもが原発のせいでイジメられ、いわきナンバーの車で買い物に行くと白い目で見られ、耐えられず自宅に戻ってくると生協からの手紙が届いていたので御礼の電話があった。
森支部長の話は続く。
「原発問題から生協が逃げないことを大切にしています。風評被害に負けないためにも、県内産をこれからも扱いますが、他方で心配して県内産を避ける人もいますので、他県の商品も揃えています。
 今後も放射能の汚染がさらに続く中で、放射能を測定する線量計やガラスバッチの普及もあれば、放射能についての科学的で正しい知識を得るための学習会を開催するなどし、必要な情報や知識を持って対応できる組合員づくりを支部としても進めています。あわせてそうした困難な中でも、損益を確保するためのマネジメントを追及しているところです」
 取材したその日から「コープおきなわ」と「コープいしかわ」から2名ずつの支援が市内に入り、仲間づくりを進めていた。そうした全国の仲間の支援にも支えられながら、コープふくしま「いわき支部」の放射能汚染から逃げない復興が進みつつある。

 写真 「コープふくしま」による保育園への物資支援

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