コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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住田型木造仮設住宅の先見性

[加藤善正]
東日本大震災・津波の発災から4ヶ月と3週間が過ぎた。被災地の復旧はまだまだ見えない状況で、復興の槌音も未だ聞こえてこない。岩手県では仮設住宅は何とか計画の1万4千戸が建設されたというが、雨漏りや床の歪み、結露や騒音などの苦情が800件以上も出され、交通の便や買い物の不便さなど未だ入居できないままの住宅もあるという。
こうした中で、被災地陸前高田市・大船渡市から20kmほどの内陸にある住田町の木造仮設住宅の素晴らしさや先見性ある取り組みが、全国的に注目を浴びている。
7月7日、千葉の高橋晴雄氏、埼玉の大友弘己氏、佐川氏を案内して400kmの被災地見舞いを行なったが、この際も住田町の木造仮設住宅を視察してきた。そこは全部で110戸の町単独事業のうち10戸ほどの仮設住宅であったが、他の仮設住宅とは異なり戸建てであり、一目で木のぬくもりを感じる佇まいであった。

住田町は90%が森林という町で「森林・林業日本一のまちづくり」をめざし、30年ほど前に森林組合、農協、製材業協同組合、建設業協同組合、住田町の5者で「住田住宅産業」という第3セクターをつくり、地元木材を使った住宅建設やプレカット工場、ペレット工場などに取り組んできた。多田欣一町長は今年1月13日、この住宅産業社長に「災害が起こったら必要になる仮設住宅を住田の木材を使った1戸建てのものををつくれないか」という話があったという。この図面を作り3月22日に町長が国の窓口へ出かけるという矢先に、3・11の地震が発生した。
仮設住宅は災害協定に基づき県が建設することになっており、県は7,500戸をプレハブリース会社へ、残りを大手住宅会社へ一括発注しているので、住田町のこの仮設住宅を断り事業の対象とはせず、町長は「気仙は一つ」であり、町の単独事業での建設となった(その後坂本龍一氏が代表を務めるモア・トリ-ズが建設資金支援をし、今は全国からの支援・応援がある)。
この木造仮設住宅は戸建てであり木造のために防音上極めて優れており、断熱性にも優れ杉の香りがして木のぬくもりが高齢者や妊婦への精神的安心感を与えるという。しかも、建設費は350万円ぐらいで、プレハブの500万円(解体費含み)より安く建設期間も1ヶ月程度とプレハブと大差ない。プレハブは2年で解体し産業廃棄物にしかならないが、木造は屋根の鋼板以外は再利用でき(倉庫などの利用や劣化が進めば木質ペレット燃料)、すでに2年後に自費でこの程度の機能(増築もできる)でも住宅にしたいという声が出ているという。
しかも、この仮設住宅のコンセプトそのものが、木材は町産材100%、業者・職人も地元で、費用の3分の2は地元に資金が還流することになっている。木材の自由化、南洋材の乱伐輸入、林業政策の失敗などで日本の森林は荒れ果て、治山治水の機能が低下した災害が後をたたない。農山村は過疎化し若者の雇用喪失が「少子化」による人口激減を生んでいる。
こうした全国の山村の現実から、住田町の実践は大いに注目しなければならない。
この会社は、この住宅の図面を誰にでもオープンにして、全国からの問い合わせや視察者が多いという。この会社の社長佐々木一彦さんや多田町長は、「林業が盛んな全国の市町村があらかじめ木造の仮設住宅キットをつくり、閉校した小中校校舎などに備蓄しておけば、どこで災害が起きてもいち早く被災者に快適な住宅を提供できる」という。

何万戸もの仮設住宅をプレハブ協会・会社や大手住宅企業に一括して丸投げ(多くは随意契約)してつくり、入居者の苦情が後を絶たない状況から脱して、住田町の優れた実践からまじめに学ぶことが、政治や行政に携わる人びとの責任ではないか。思いがけない災害で苦しむ人々に「安心とせめてもの安らぎ」を配慮することこそ「災害対策」の第1歩ではないか。

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