コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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脱原発・持続可能エネルギー活用への転換のための議論を

[大友弘巳]

世界では、大きく転換が進もうとしている
 ドイツ政府が6月6日に原発撤退法案を国会に提出することを閣議決定したというニュースは、世界的に注目され、大きな反響を呼び起こしました。
 続いて、スイス政府も2032年までにすべての原発を廃止することを決めました。
 次いで、今度はイタリアで6月12日~13日に国民投票が行われ、投票率が50%を上回って有効となったこと、「原発凍結法」から「安全性に関する科学的見解が得られるまで」という前提条件を削除することに賛成に投票した人が94.6%に及んだことが今朝発表されました。これは無条件に原発を凍結することを国民が決めたことになります。
原発廃止かどうかでは廃止の意見が圧倒的に多いことから、国民投票の投票率が50%に達しないことによって無効となるようにと棄権を呼びかけていたベルルスコーニ首相は、「イタリアは原発にさよならを言わなければならない」と敗北を認めました。これまた大きなインパクトを世界に及ぼすものと思われます。

 アメリカでも、カリフォルニア州の州都サクラメント市では、公社で運営していた原発を廃炉することを決定しており、アメリカにも大きな変化がおきています。
 ドイツでもイタリアでも、日本の福島原発の重大事故によって、国民のなかに脱原発の世論が盛り上がったことがこうした動きにつながっていると言われています。
 しかし、福島原発事故の地元日本では、浜岡原発の稼動再開は地震対策が進むまでストップがかかったとは言うものの、菅内閣は浜岡だけと強調しており、基本的には原発を推進する立場を崩していませんし、政権奪取を狙う最大野党の自民党も、これまで原発を推進してきた政策を転換するとは表明しておらず、福島原発事故を招いた責任を感じているとも思えない状態です。こうした態度は、これまで原発を推進してきた政財官学グループの意向を優先し、国民を侮っているとしか言いようがありません。
 
日本でも世論は急速に変化している
 4月に行われた世論調査と、5月、6月のそれとでは大きな変化が表れています。
 読売新聞の調査では、「原発を増やす」、及び「現状維持」の合計が、4月には56%だったのが5月には38%へと激減しており、逆に、「減らす」及び「止める」の合計は4月に41%だったのが5月には59%へと急増しています。
 朝日新聞も、4月の調査では、「増やす」「現状維持」の合計は56%、「減らす」「止める」の合計は41%と、読売とほぼ同じでした。朝日の07年の調査の時には「増やす」「現状維持」の合計が66%、「減らす」「止める」の合計が28%だったのと比べると大きく変化していますが、4月時点ではまだ「増やす」+「現状維持」合計では過半数を超えていたので、誠に残念に思い、その後に注目してきました。
 そして今朝、原発事故発生から3ヶ月目の6月11日、12日に行った調査の結果が発表されました。質問の仕方が4月までとは違っていますが、「原子力発電を段階的に減らし、将来はやめることに賛成ですか、反対ですか」という質問に対し、賛成が74%となっており、4月の結果に比べれば大逆転ですし、読売の5月の結果と比べても大きな変化です。
 NHKが調査結果も今朝発表されましたが、「増やす」=1%、「現状維持」=27%、計28%に対し、「減らす」=47%、「廃止」=18%、計65%となっています。
 4月の段階では、まだ「計画停電」が行われていた時期であり、「現状維持」もやむをえないと考える国民が多かったと思われますが、その後火力発電の復旧や稼動アップが進むと、節電で「計画停電」をしなくても済む現実が分かり、他方原発の放射能の拡散の危険が深まってきたなかで、読売の5月のような変化が進んだものと推測されます。
 その上、その後ドイツやイタリアなど世界の動きが伝わってきたのですから、これまで自然エネルギーは頼りにならないとか高コストとか信じ込まされてきた国民が、世界は自然エネルギーへの転換を着々と進めていることを知り、自然エネルギーには大きな可能性があることを広く認識するに至ったわけで、6月のこの時期で既に、国民の3分の2はもう原発を「減らす」「止める」という意見になってわけで、急速に変化が進み、国民の意向としては大きく転換が進んでいると言えますし、今後さらに自然エネルギーの活用が具体的に進むならば、この世論の転換はさらに勢いを増し、「減らす」から「止める」へのシフトが進んでいくことになるだろうと思われます。
 今度は、日本でも、こうした世論の変化に沿った政治の変化、政策の転換を求め、実現していくことが課題となっています。

自然エネルギーの活用は、エネルギーの自給率を高める
 日本では現在、大型水力発電を含めても自然エネルギーによる発電量は、全発電量の僅か10%足らずでしかなく、それはとりもなおさず、電力の自給率が10%足らずしかないということでもあり、穀物の自給率28%に比べても極端に低いわけで、その視点からも自然エネルギーの活用による発電の急速な拡大を目指すことが国民的課題となっています。
 70年代に2度の石油ショックを経験し、灯油を確保するために寒い中を駆け回ったこと、その後灯油は出回ってきたものの価格は大幅に値上がりしたことが苦い思い出となっていますし、この間、中東の国々での政治の激動の下で、また原油が高騰し、ガソリンや灯油が大幅に値上がりしています。
 08年度、日本は年間23兆円もの化石燃料代金を支払って輸入していますが、これから世界的に原発の廃止が進むと、自然エネルギーの活用が広がるだけではなく、火力発電のための石油や天然ガスの需要が増えるとも言われており、それらの価格の高騰が懸念され、国民生活にさらに重大な負担増をもたらすことが予想されます。
 こうした事態からの脱却を目指すためにも、自然エネルギーの活用を真剣に追及すべきときを迎えています。
 先日、埼玉県消団連主催の学習会で、元デンマーク日本大使館参事官だったベンツ・リンドブラッドさんからのお話を聞く機会がありました。
 デンマークは、70年代までは発電のエネルギー源の99%を石油輸入に頼っていたそうですが、石油ショックを契機に原発も検討したものの国民からの反対が強かったので断念し、風力を主に自然エネルギーの活用を積極的に進め、今では発電の約30%は再生可能エネルギーで賄っており、長期ビジョンでは、化石燃料への依存から100%脱却することを目指していると言い、また、風力発電設備の技術の進歩、企業の成長によって、世界に向けた輸出産業としてのポジションを得るに至っているということを誇らしく語ってくれました。
 また ベンツさんは、「技術はあるが、それを使う勇気を持った政治家が、世界でもまだ少ない」とも語られ、デンマークの政治家がそれをできたことにも誇りを持っておられましたし、また、デンマークが小さい国だったからできたとも考えておられるようでした。
 デンマークのこの成功が、隣国ドイツの国民の世論に影響を与えていることは当然のことで、ドイツ政府の原発からの撤退の判断にも影響が及んでいるものと思われます。
 そしてドイツが動いたことによって世界に大きな影響を広げることになっているわけで、人口540万人の小国デンマークの世界への貢献に敬意と感謝を表しなければならないと感じます。
 日本も、自然エネルギー活用の技術力ではかつて世界でトップの素晴らしいものがありながら、国のバックアップが少なかったことにより、発展が押しとどめられてきた残念な経過がありましたが、政策が変われば技術が発展する潜在力は十分にあるわけで、閉塞状態の日本の未来を切り開くためにも、自然エネルギーの活用の急展開によって、エネルギー自給率の向上を進めることが期待されます。

協同組合の役割発揮の議論をさらに
 当ブログの6月4日付けの記事、協同総研岡安氏からの「寄稿」によれば、国連はかねてから2012年を「国際協同組合年」と定めていたことに加えて、昨年12月の国連総会では、2012年を「持続エネルギーのための国際年」とすることを決議したと報告されています。
 このことは、世界の協同組合にとって単なる偶然として済まされるとは思われません。
 このブログでも以前に紹介した通り、2009年11月に開催されたICA総会では、ジェレミー・リフキン氏が記念講演を行い、世界の三つの危機「経済、気候変動、エネルギー」のうち、特にエネルギー危機について以下のように語られており、世界の協同組合人が感銘を持って受け止めたものと思われるからです
  「21世紀に求められているのは、脱炭素社会の構築する第三次産業革命です。その基本的な考え方は、エネルギーを地域社会に取り戻すこと。すなわちコミュニティ単位で考える分散的エネルギーの創出と供給です。そして、そのコミュニティを実現させるためには、地球の危機のために取り組むという共感と共鳴が重要です。生協はまさに、協同組合の理念への共感と共鳴に基づいて集まった人々の組織であるから、この第三次産業革命を担うにふさわしい組織であります」と。
 恐らく世界の多くの国々の協同組合で、2012年に向けて協同組合の発展と持続可能なエネルギーのための取り組みを結びつけたビジョンが語られ、実践が始められるものと予測されます。新しいタイプの協同組合の設立支援だとか、協同組合間の協同によって、あるいは自治体との協力によってなど、様々な広がりを検討しながら可能性が検討されるのではないかと思われます。
 当然、福島原発で悲惨な経験をしている日本、そして放射能への恐怖を日々深めている日本国民の大きな意識の変化を受け止めて、日本の生協がどのようなビジョンを描き、どのような実践を踏み出すかにも世界から注目が集まるものと考えられます。
 しかし、残念ながら「2020年ビジョン」は大震災前に固まった案のままで総会に提案されています。
大震災のことも、原発事故のことも一言も触れられていません。「持続可能エネルギーのための国際年」のことも全く触れられておらず、これではICAの場でどのように説明するのか困ることになるのではないかと思われます。
 また、それ以上に、全国の生協組合員、生協で働く役職員からの注目にも十分応えられるとは思えません。むしろ、このままで具体化・実践のための討議を進めることは、失望や不信を招くもとになりかねないのではないかと、老婆心ながら危惧されます。
 被災地に対応する実践では、この3ヶ月の中ですでに様々な経験をしているのですから、それらも集約しながら、震災後の復旧・復興への対応、持続可能エネルギーの活用に向けての生協の社会的役割発揮などについて、未来を見据えた議論をもう1年かけて大いに深められることを期待する次第です。

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