コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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コーペラティブチェーンについて       実りある議論を

[大友弘巳]

「店舗方針と事業連帯戦略」についての日生協矢野専務の見解に注目
 日生協の部内報「虹流」3月号の巻頭言で、「店舗事業と事業連帯戦略」と題して、矢野専務が、店舗の事業連帯戦略の眼目としてチェーンストア論について見解を述べています。
 冒頭の岩手県連の加藤さんからの意見に対する見解や、中段での原理主義的なチェーンストア理論には感心できませんでしたが、最後のほうに述べている「チェーンストア理論を生かした事業連帯すなわち事業連合ベクトルが不十分なことが問題なの」だという捉え方や、「本部側が上から目線になる傾向も否めません」という認識を率直に語っている点、そして特にコーペラティブチェーンについて述べている以下の部分に注目しました。
 「チェーンストアといってもレギュラーチェーンだけでなく、様々な組織形態があり、コーポラティブ=協同組合に相応しい組織の作り方の一様ではありませんが、現場や会員の主体性を発揮できる組織運営の努力が重要なのです」(矢野専務はコーポラティブとしていますが、コーペラティブの誤記と思われます)

コーペラティブチェーン形成を志向してから約20年の節目
  日本の生協は各地方ごとに事業連合を作って約20年経ち、県域の制約のもとでローカルチェーン、あるいはインディペンデント(10店舗以下の店舗を持つ独立小売業者)としてでは規模のメリットを生かすことが難しいという考えに立って、協同してリージョナルチェーンを形成することによって店舗事業を成功させようと努力してきました。
いくつかの生協同士が共同し合うためにつくるチェーンですから当然コーペラティブチェーンですが、日本ではコーペラティブチェーンの成功事例から学ぶ機会が少なかった中で、それはどうすれば成功させることができるかと、各事業連合が試行錯誤を重ねてきた20年でもありました。
  コープラティブチェーンとしての常識的枠組みを超えて事業連合への機能統合を進めて、実質合併に近い運営を採りながらなお問題を抱えているとして、生協法が改定されたことを機に合併を検討するに至っているところもあるのに対して、ゆるやかな共同事業のレベルにとどまっているところもあり、中には、一部の会員生協から商品部機能を会員生協へ戻すとの申し出を受けているところもあると聞いていますので、矢野専務が述べている通り、「チェーンストア理論を生かした事業連帯が(問題を抱えていて)不十分なことが問題なの」であり、さらにいえば、(私の数年来の問題意識ですが)コーペラティブチェーンとしての事業連帯組織の成功モデルを作れていないことが今の日本の生協にとっての大きな問題,と捉えるのが妥当ではないかと思っています。
 20年も経った今、2020年を展望するためにも、あらためて事業連帯のあり方、コーペラティブチェーン形成のあり方について、真摯な議論を深め、一致点を見出して「実り」を作りだしていく努力が必要な時ではないかと考えますし、日生協にはその立場で指導性を発揮してほしいと期待するものです。

岩手県連加藤さんからの意見はチェーンストア路線の否定か?
 そうした期待からすると、巻頭言の冒頭での、岩手県連加藤さんからの意見に対する批判の展開で、「生鮮強化や地域密着の必要性から事業連合に否定的評価を下すのは、論理の飛躍と混乱であり、何より事実に反しています」「事業連合ベクトル批判はチェーンストア路線の否定に繋がっています」としていることは、いかがなものかといわざるを得ません。
  「2020年ビジョン」案に対する意見の中で、加藤さんが、店舗事業の共同化(商品やシステム統合)の進行(「事業連合ベクトル」と表現)のなかで、問題点が生れていることを指摘する意見を述べていることに対して、上記のように批判しているのですが、指摘されている内容(店舗の縮小再生産、職員モチベーションの低下、競争力の低下、自立と連帯の原則が後退、事業連合頼みなど)が事実無根のこととも思えず、いささかぶっきらぼうな批判と感じられます。共同化が進んだことによって値入率が上がって損益改善につながったこと、拠点生協の業務システムを導入したことにより、マニュアルを生かしてパートさんたちが参加意識を持った仕事をできるようになりモチベーションが高まったなどの事例を挙げて 批判の根拠としていますが、まだ話がかみ合っていない感じは否めません。
 そのすぐ後では「事業連合の店舗生鮮分野における役割について様々な考え方があるのも事実です。チェーンストア理論の正しい理解と事業連合の場での具体化について、あらためて考えることも必要でしょう」とも述べているのですから、加藤さんからの意見についてもその一つとして受け止めて考えていけば良いのではないかと思います。
 私には、加藤さんがチェーンストア反対論者だとは思えません。いわて生協のトップとして店舗作りを進め、ローカルチェーンとしての運営を自ら進めてきた人であることは多くの人が良く知っていることです。また、東北サンネットの設立の先頭に立って、初代理事長を務め、みやぎ生協や共立社と共同して東北サンネットグループとしてリージョナルチェーンとしての共同事業の可能性を模索してこられたことも確かなことです。
 問題は、SMあるいはSSMとしてどういう店舗づくりを目指すか、生鮮・惣菜などの強化、地域密着、本部と店舗の役割分担のあり方、事業連合(チェーン本部としての)で共同事業として商品、物流・加工、システム、教育訓練・人材育成など何をどこまで進めるか、組合員組織との関係・地域との関係のあり方、などについて、加藤さんと矢野専務の間にイメージや意見の違いがあり、一致点を見出す努力もされていないことにあるのではないかと思われます。
 ことさらに「異論」「異見」とか「チェーンストア路線の否定」と言い立てるのではなく、コーペラティブチェーンとして、「現場や会員の主体性を正しく発揮できる組織運営」のあり方について一致点が広がっていくような実りある議論を深めてほしいと願う次第です。

矢野専務のウエークファン視察研修レポートより
 1999年10月、コープネット事業連合ではアメリカのコーペラティブチェーンの成功事例ウエークファングループへの視察研修を実施しました。 当時コープとうきょうはコープネットへ加入して間もない頃で、コープとうきょうからコープネットへ出向してきていた矢野さんはコープネット常務理事(翌年から専務理事)としてこの視察に参加し、「視察セミナー報告集」にレポートを寄せています。
 私としては今でも優れたレポートと感じており、日本の生協の事業連合によるコーペラティブチェーン形成のあり方の議論に大いに参考になるだろうと思っていますので、以下にその一部を紹介しておきたいと思います。

●「ウエークファンは、単なる共同仕入れ機構ではなく、事業そのものの共同機構であり、SMおよびSSMのフランチャイズチェーン(ただし本部の資本と運営は協同組合)と思われます。「青果配送施設」や「統一クーポン実施」などを契機に、「オーナーへの資金供与」や「大学設置」にまで本部機能を充実した経過は、大いに学ぶ価値がありそうです。
 仕入れの85%以上を結集させられる条件は、強力な本部機能にあるとはいえ、強力な本部機能を協同組合原理の運営の中で作り上げてきた努力、あるいは決断こそ参考にできたらと思います。
● ウエークファンの協同組合運営の実際には大変興味があります。会員オーナー店舗間での競合の調整や資金供与の基準など、苦労が多いと思われますが、ノト氏(注)の話では「将来に向けてのストロングミーティング」とともに、「専門家の協力」「リタイヤーオーナー組織=顧問会?」などもポイントのようです。
  協同組合組織であることが会員オーナーのモラールを高めるとともに、本部組織の官僚化や現場からの遊離を防いで、地域密着型店舗を維持するのに役立っていると想像します。
● ショップライト店(注、ウエークファングループの会員の店舗名及びPB商品のブランド名は「ショップライト」と統一されています)の見学は2店でしたが、レイアウトや品揃え・価格など、とりわけ惣菜コーナーではかなりの違いがありました。オーナーと店長は店の独自性を強調していました。地域密着という事業戦略の一致やインフラが整備されているからこそ、独自性を強調できるし、やる気も出るのでしょう。
● 日本の生協における事業連合組織のあり方について、ウエークファンの経験はおおいに参考になると思いますし、またスウェーデンのICA(イーカ)なども研究してみる価値があります。ただし協同組合の協同組合とオーナーの協同組合ではかなりの違いがあることもたしかです。単協における意思決定のありかたや、広がりを持った組織間の共同意識のもち方、大規模化と民主主義の両立などと合わせて考える必要がありましょう。

(注)ノト氏とは、ウエークファングループ本部のバイスプレジデント(副理事長)で、視察団に対応してくれた方のお名前。

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