コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

「東日本大震災」による被災状況と取り組み報告

[加藤善正]
今度の震災にあたり、皆様から多くのご支援やお見舞い、励ましの言葉を賜り有り難う御座いました。日本生協連からの依頼もあり、被災状況や復興へ向けての取り組みの報告書をまとめました。それを添付的に記事にしますのでご覧ください。

「東日本大震災」による被災状況と復興へ向けての取り組み(報告書)
(緊急支援に対するお礼と今後のご支援のお願いを兼ねて)

4月30日  岩手県生協連合会 会長理事 加藤善正

1. はじめに
①  3月11日の「東日本大震災」は岩手県では地震による直接的な被害はあまり大きくなく、三陸海岸の6市町村を中心とした未曾有の「大津波」による被災が中心であった。この点では宮城県は地震と津波、福島県は津波と原発および地震の被災が中心であり、三県の被災状況には相違がある。
 いわて生協は14時46分の地震発生直後15時20分には「災害対策本部」を立ち上げ、マニュアルに基づく対策に入り、県連も会員生協の被害などの状況調査を開始しつつ、いわて生協の対策本部に参加して日本生協連や岩手県との窓口機能を果たした。

②  日本生協連は15日には会員支援本部長をはじめ、組織本部災害担当などが駆けつけ、緊急支援物資の手配や全国の支援生協との連携に積極的な役割を果たされた。岩手県と県生協連との「緊急災害物資協定」、一関市といわて生協との協定に基づく「緊急支援物資」の納品・配送が急がれ、日本生協連の有償・無償の支援物資が次々到着した。また、全国の25生協・県連などからの多額の支援物資が寄せられ、応援の人々や車が駆けつけてくれて、いわて生協対策本部の大きな戦力になったことは特筆しなければならない。
 この報告書の冒頭でこうした支援を頂いた皆様に会員生協の組合員・役職員を代表して、衷心より感謝しお礼を申し上げる。
③  盛岡市は震度6弱による停電と商品落下・余震などがあったが、各生協店舗は最大限組合員の要望に応えて営業された。いわて生協は11日は停電(非常電源ある店は営業)・商品落下・余震により店頭で臨時売り場を作り、12・13日も同様な供給を続け14日からは通常営業に戻った(商品入荷はサンネットシステムの障害で揃わず)。盛岡では地震直後の停電が復旧した13日夕刻、テレビ放映で陸前高田市、大槌町、山田町、宮古市などの市街地が津波により根こそぎ破壊された状況を知り、これからの災害支援体制の確立に全力をあげることを誓い合った。岩手県における被災状況、生協の事業経営への影響、また、この災害に対するこれまでの支援活動、これからのボランティア活動や生協の復興計画などの概略を記す。

2.「東日本大震災」による被災状況
 ① 4月25日現在の「岩手県災害対策本部」発表の被災状況は次の通りである。
・死者4,216名 行方不明者(警察へ届けている方のみ、家族が全滅し届けられない不明者も多い)3,478名
・家屋倒壊数(住家の全壊・半壊)18,811件 
・避難所363ヶ所、避難者41,521名(在避難所18,664名、在宅通所-在宅で給食・物資支援を受けている人22,857名)
・岩手県の被害総額(日本政策投資銀行東北支店推計)インフラ関係2兆4,000億円、住宅6,290億円、製造業2,550億円、その他(農漁業など)9,920億円  合計4兆2,760億円 
② いわて生協の被災状況と経営再建計画
・ こ~ぷ委員 死者5名、安否不明1名、家族死亡5名、自宅被災47名
・ 職員(アルバイター)死亡1名、行方不明1名 家族死亡15名、行方不明19名、
 住宅全壊41名、半壊11名、一部損壊34名、通勤用自家用車廃車46名
・ 施設損害 共同購入部けせん支部(床上浸水・冷設損壊)釜石支部(床上浸水・冷設・什器損壊、事務所移転)、本部北棟庇損壊、営業車流出10台など、修繕・新規購入など見積書総額 1億3,000万円
・ 2010年度損益見通しは、3月11~20日の営業損害、商品廃棄処分などの逸失利益▲1億円、修繕費用▲1.3億円、 税効果会計の繰延税金試算戻入▲2.2億円などが決算に与える影響を考慮し、最終的に▲2億円程度の赤字決算になる見通し。(但し減損会計積立金があり法定積立金20億円には手をつけない)
・ 2011年度損益見通し(第1次修正予算)は、沿岸被災地の組合員の住宅流出や死亡・行方不明など、約7,200名の共同購入使用者の減少見込み。4~5月度のサンネット事業連合の機能喪失による商品未入荷、共同購入システム停止などによる供給高・GPの減少などの被害が大きく、消費減退ムード・節約志向などの影響もあり、税引き後当期剰余は▲4.5億円が試算されている。従って、法定積立金の取り崩しが確実になろう。
・ 第6次中期計画(2009~2011年度)は10年度で終了させ、11~12年度を「震災復興2ヵ年計画」とし、「震災影響を払拭し、2013年度からの発展基盤を確立する」ことに集中する。13~15年度の「第7次中期計画」中に、震災前のNET水準を実現する、としている。
③  県連加入の各生協では釜石市役所生協(売店)、宮古市職員生協(売店・食堂)が水没し、完全に営業不能になり決算書類も流出した。これからの再建について理事会を開いて検討を始めた。県連では見舞い金を支給し、2011年度の会費を免除することを決めた。信用生協釜石相談センターが被災し、場所を移設して被災者の生活資金などの相談を始めた。沿岸地域の組合員のうち600名ぐらいの貸付金の回収が困難になる予想をしている。岩手労済生協一関支所が地震で崩壊し、本部・北上支所で対応している。目下、被災者への給付事務に全力を挙げている。
  岩手県学校生協は久慈市・宮古市の営業所は被災したが復旧し、いわて生協の共同購入システムと同じなので、5月第2週から復旧する。自動車などの被害があったが、2010年度決算は若干の赤字程度で終わる。2011年度も、学校職場への共同購入供給は順調に進む計画であり、経営的な損害はあまり大きくない見通しである。その他の生協は目立った被害や損害は無く、2011年度の事業が開始した。みやこ映画生協はいわて生協店舗DORAの2階にあり、建物強度調査のために2週間ほど閉館していたが再開し、避難所の子供たちへのDVD上映会などを計画している。

3.緊急支援物資などこれまでの支援活動
 ① 岩手県並びに市町村からの要請による災害支援物資は、総額1億3,442万円になった。有償供与はいわて生協1,136万円、日生協1,501万円、秋田県連81万円、岩手県農民連378万円、計3,096万円である。無償供与はいわて生協53万円、日生協5,943万円、全国の23生協・県連3,975万円、産直先など友誼団体375万円、総計1億344万円である。
 これらの物資は県や市町村の要請に基づく配送と同時に、16日~18日組合員ボランティアによる一日3,000個のおにぎり提供、3月20日~4月1日の間にいわて生協の12ヶ所、応援16生協(76名)の15ヶ所の炊き出しが被災者から喜ばれた。また、全国牛肉事業協同組合からの原料提供を得て、4月2~3日の15ヶ所、9~10日の14ヶ所での「牛丼1万食炊き出しプロジェクト」も好評であった。さらに、3月19日~4月2日には全国の応援生協のトラック(延べ72台)と延べ160名の支援を受けて、110ヶ所で引き売りを行い、3,255名の被災地の皆さんに利用された。
②  今回の災害の特徴はガソリン・軽油・灯油などの燃油の欠乏が災害救援活動の極めて大きな障害であった。1996年の特石法(特定石油製品輸入暫定措置法)廃止以来、「規制緩和・市場原理・元売企業の利益極大化」の石油政策が背景にあった。95年に44ヶ所あった製油所は27ヶ所になり(東北ではJXエネ社1ヶ所のみ)、油槽所も600ヶ所が190ヶ所、タンクローリー車もこの4年間で3割も減少していた。小泉改革の下で進められた石油行政の規制緩和、元売企業の合併・合理化(13社から4グループへ)による在庫削減とそれをテコにした価格支配構造が出来あがっており、今回の燃油の逼迫はこうした政策の必然でもあった。被災者支援や情報取得のための移動がガソリン不足で不可能になり、緊急支援物資輸送以外のトラックも動けず、避難所の暖房も出来ず寒さに震える被災者が続出した。さらに、仙台圏を中心とした流通業界の合理化・集中化した物流システム下で、道路事情も有ったとはいえ燃油不足が商品輸送を著しく阻害した。また、重油不足は中小零細の食品製造工場の稼動を困難にし、石油化学製品のパッケージ素材の不足が際立った。
③  こうした中で、ガソリン・軽油・灯油・BDFなどの現物での支援をされた全国生協の熱い思いは、岩手県下の災害支援活動に大きな元気を与えてくれた。全国の生協運動は「灯油裁判」や灯油運動に取り組み、国民・消費者不在の石油行政の変質を批判する運動を展開してきたが、現在ではこうした運動が大きく後退しているが、今度の石油製品の不足とその被害を体験する中で、こうした運動の再構築を検討することが求められよう。

4.今後の災害支援活動の計画と考え方
  岩手県生協連理事会は、今回の津波災害支援・復興の活動について、次の3点を重点課題にする。
・第1は、「相互扶助」「地域社会への役立ち」「組合員の協同」という生協運動の理念を遺憾なく発揮し、あくまで被災者・社会的弱者の視座で、長期的視野で粘り強い取り組みを展開する。そのために各生協の理事会機能を十分発揮し、被災者された組合員と県民に対する支援活動を計画的に展開する。各生協の組合員に対する支援活動は各生協が中心になり、県民対象の支援活動は「県連対策本部」(県連理事会メンバー)が中心になって、全国生協の引き続きの支援とりわけ長期的なボランティア活動の応援を受けながら取り組む。生協元役員・職員OBによる「岩手COOPボランティアチーム」を立ち上げ、各生協の枠を超えて県連支援活動を援助してもらう。
 ・第2は、各生協の事業経営における損害(消費不況や地域社会の衰退なども含めて)に対する、「復旧・復興計画」を作成し、組合員に対して大胆に呼びかけ、組合員の自主的・主体的取り組みを推奨し、仲間づくり・利用結集・COOP商品や産直品の普及や愛用など、経営状況もさらに公開し「困ったことは組合員に相談する」体質をより強固にする。こうした力と常勤者の協同組合人としての意識を涵養して、組合員と常勤者の団結・信用・協同の力を最大の武器にする。こうした取り組みを県連の中で交流し励ましあう教育活動を一層推進する。
 ・第3は、「地域に根ざし役立ち・地域から信用され・地域からサポートされる生協」のスローガンをさらに際立たせて、2012年「国際協同組合年」の準備やTPP参加反対運動などと、「津波災害支援活動」を結合させ、生協運動の社会的価値や役割をクローズアップする。また、「福島第1原子力発電所事故」に対する学習を深め、自然エネルギーへの転換をはじめ、これからの私たちのくらしの価値観、日本の生協の社会的ミッション、日本の新しい国のあり方、などに対する生協としてのコンセンサスをめざす。
 
 今後「東日本大震災」に対する復旧・復興策が政治的にも議論されていくであろう。その中では震災前の岩手県や東北地方、被災地の状況、一極集中する都市と衰退する地方との実態・関係を解明していく必要があろう。その上で「自然エネルギーと食糧増産」の主産地としての東北、被災地を描き、地方に若者の働く場をつくることを最大課題とする「新しい第3の列島改造」を構想することを願う。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

生協らしい協同のある復興に期待

 引き続き困難な中で、岩手の皆さんが前進しようとしている姿が良く伝わってきます。生協らしい協同のある復興を目指し、第一の課題に「相互扶助」「地域社会への役立ち」「組合員の協同」という生協運動の理念を掲げていることはさすがです。地域社会になくてはならない生協として、ぜひこのスタンスでのさらなる展開を期待しています。東北のためにも、また全国の生協のためにも。

西村一郎 | URL | 2011年05月07日(Sat)19:57 [EDIT]


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。