コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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大震災による二つの重大事故に思う

[大友弘巳]

1、 福島第一原発の重大事故
<事故の収束の工程表を見て> 
福島第一原発の重大事故が発生から5週間余が過ぎた4月17日、東京電力は事故収束に向けての工程表を発表しました。ステップ1に3ヵ月、ステップ2に3~6ヵ月、合計6~9ヵ月かかるとされており、やはり最低でもそのくらいはかかるのかと思うと共に、ぜひそのくらいの期間内に収束してほしいとも切に願うものですが、大きな余震が続いているもとで本当にその通りできるのだろうかとの疑問は打ち消せません。
 既に、4月4日には放射能汚染水を大量に海へ放出して世界の人々から批判を受け、12日にはついに、事故評価尺度をチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」へと引き上げることを発表するに至りました。
 原発から30km以上離れている飯舘村などでも、放射能汚染が高濃度化しているため避難しなければならなくなってきており、収束の見通しが立つまでの間に、今後もさらに広がっていくことが懸念されます。
 夏場の電力不足が予測されていること、自粛ムードが日本経済の不況・低迷をさらに深めるといわれていること、被災地の復興のための財源として消費税率アップが検討されていること、食料品の放射能汚染や風評被害にどう対処すればよいか、などなど、国民一人ひとりが情報を正確に理解して、的確に判断し、行動していくことが大事になっていることを感じますが、そのことの難しさも痛感しています。

<「想定外のこと」> 
 今回の大震災は明治以降では最大規模の地震だったということから、「想定外のことだった」いう言葉が多く使われていますが、こと福島第一原発の事故については、「想定外のことだった」では済まされないことが明らかになりました。
 「想定外」とは、普通はこれまでに経験したことがない、前例がないレベルのことに遭遇したときに使ってしかるべきです。ましてや、事故が起きた場合の危険性は十分分かっている原発の安全対策を立てるに当たっては、前例以上に余裕のある安全レベルを想定することが当然のこととして求められると思います。
 マグニチュード9クラスの大地震は、20世紀後半以後だけでも世界では5度も起きているそうですし、大津波も、福島第一原発の津波対策の想定5mをはるかに上回る高さの津波が明治維新以後の日本でも宮古市田老などで経験していたことが報道されています。
 福島第一原発の安全対策は、自然の猛威を侮り、不都合な現実に目をつぶって、あまりにも想定が甘すぎただけ、と言うことでしかなく、もう「想定外のことだった」という言葉で言い訳をするのは止めてほしいものです。
 少しの懸念はしていても、自分が生きているうちにこのような体験をすることになるとは思い至らず、脱原発のための努力をすることなく、原発で発電した電気の恩恵を受け続けてきた自分も、想定が甘かったと反省されます。
 現代の巨大システム社会では、いやおう無しに全員が同じジェット機に乗っているようなもので、恩恵も受けるかもしれませんが、万一の事故の場合には、誰も逃れることは難しいことが多々あり、原発はその際たるもののように思います。
 4月16日付けの朝日新聞朝刊1面に、「原発大半、安全策に難点」という見出しの記事が掲載されました。朝日新聞社が全国の10電力会社の調査を実施した結果、福島第一原発の事故が起きる前は18箇所の原発のうち、非常用電源の設置場所が原子炉建屋内にあり合格水準なのは6箇所、海水ポンプの防水対策が済んでいるのは7箇所だけに過ぎないという状態であり、福島の事故以後対策を検討しているものの、容易なことではないようです。
 専門家からは「安全システム全体の再構築が必要だ」と指摘されているにも関わらず、電力会社の関係者からは、コストとの兼ね合いなどから「どこまで見直せばよいのだろうか」という声が広がっていると報道されています。
 原発のリスクを減らすためには、途方もなくお金がかかることがはっきりしたわけで、営利事業としての電力会社が、原発を作り、維持していくこと自体を根本から見直すべきときではないのかと思われます。

<自然エネルギーの活用に向かって>
 石油や天然ガス、石炭だけではなく、ウランも有限であり、いずれ将来は、再生可能な自然エネルギーの活用が必要なわけで、これを機会にそれへの切り替えを急ぐことがいよいよ重要になってきたように思います。
 この切り換えは、最終的には日本号という巨大ジェット機に乗っている国民みんなで取り組まなければ実現は困難ですが、自然エネルギーを活用した発電と蓄電と配電という事業は、コミュニティー単位でも始めることができる可能性がありそうです。アメリカには、電力事業を営む協同組合が700もできていると聞いています。
 日生協の芳賀専務の報告(生協運営資料No252参照)によれば、昨年のICA総会に招かれて記念講演をしたアメリカのジェレミー・リフキン教授は、21世紀に求められているのは「エネルギーを地域社会に取り戻すこと」「コミュニティー単位で考える分散型エネルギーの創出と供給です。」と語り、協同組合の理念への共感と共鳴に基づいて集まった人びとの組織である生協こそ、その担い手としてふさわしいと述べたとされています。
 日本の生協の現状から考えると発想の飛躍が必要ですが、これから日本の社会が真剣に自然エネルギーを活用する事業に取り組む方向に進めるに当たっては、それを願う市民が率先して取り組みに参画することが必須の要件と思われ、日本の生協が自らの事業として取り組むかどうかは別としても、最大の市民組織として、それを支援する活動を進めていくことは大事な課題になると思われます。

2、コープネットグループの宅配事業・冷凍セットセンターの重大事故
<最新の巨大冷凍セットセンターのダウン> 
 福島第一原発の重大事故に比べると被害の深刻さの程度は大きく違いますが、コープネット事業連合グループの宅配事業では、今回の大震災によって、千葉県印西市に所在する冷凍品専用のセットセンターの設備が崩壊してしまったことにより、冷凍食品の供給を全品4週間もストップするという重大事故を引き起こしてしまいました。
 大津波や原発事故があまりにも大きな被害をもたらしたので、それらに耳目が集中してその影になっていますが、そうでなかったらもっと大きな問題として組合員からの批判や不信を招いたものと思われます。
 以前のような設備であれば、人海戦術でセット作業をする余地があったと思われますが、機械化のレベルが高くなったが故に、人海戦術でカバーすることも難しく、ひたすらラックと機械が修復されるのを待つしかない状態だったようです。
 この事故も、「想定外のことだった」では済まされないように思います。
 地震は印西市では震度6弱でしたから、前例のない大地震ではありません。それに耐えられないような施設設備を作ることは許されることではなく、なぜ崩壊したのか徹底的に究明することが必要です。
 また、とりあえず修理して復旧したようですが、震度6程度の地震は将来また発生することは想定しておかなければならず、それ以上の大地震にも耐えられる補強がさらに検討され、実施される必要があると思われます。同じ施設で再び地震によってダウンすることが繰り返されてはならないことはいうまでもありません。

<バックアップできる仕組みの必要性>
 しかしそれだけでは不十分と思われます。
 万一の場合のバックアップ体制ができていなかったという問題です。印西冷凍セットセンターは、いばらき、ちば、さいたまの3生協の分の冷凍品の専用のセンターですので、あまりにも巨大であり、そこがダウンした場合に他のセンターでカバーすることが無理という状態になってしまっているのだろうと思われます。
 コープネットの会員8生協の宅配事業の供給高合計のうち、上記3生協の分で約半分を占めていますので、他のセンターで手分けしてバックアップするには手に余る関係なのだろうと推測され、だとすれば、それは一箇所に集中しすぎてしまったが故にバックアップが難しいという関係を作ってしまっていること自体を見直さなければならないのかもしれません。今更印西の施設を縮小することは難しいとしても、何らかのバックアップの仕組みを作っていかなければ、また同じことの繰り返しを生じることが心配されます。
 今回、小山市のセンターで行っていたOCR読み取り作業も、施設設備の崩壊でできなくなったそうですが、それは桶川のセンターでバックアップができたことでカバーされたと聞いており、機能の内容によってバックアップ体制の組み合わせは一律でなくて良いのだと思われ、ともかくグループ全体では万一の場合にバックアップし合える関係作りを作っておくのでなければ、高度なレベルの事業連帯などとは言えないと思います。
 大規模集中型システムにはリスクも大きいわけで、リスク分散、ネットワークでカバーし合えるシステム構築を大切にすることを教訓としてほしいものです。

<大震災を契機に「2020年ビジョン」の見直しを>
 日本の生協運動は今、日本生協連を創立してから60年、共同購入事業で飛躍的な発展を始めてから40年、各地で事業連合を設立して県域を越えた事業連帯を進めてきてから20年前後と、三つの節目が重なっている時点に立っています。
 この20年間に地域生協の組合員数は倍増しているにも関わらず、供給高は微増の範囲にとどまっており、2008年度以後は、供給高の減少が続いていますが、それをどう克服していくかの道筋がいまだ定かとは思えません。
 今後、生産年齢(稼ぎを上げる)人口の急減と高齢者の急増が続き、総人口(消費者)が減少していくという、日本社会でかつて経験したことのない構造変化が進んでいくことがはっきりしており、成長時代の経験則が通用しない時代に入っています。
 その上さらに今回の大震災が重なったわけで、被災地も広く被害も甚大であり、人びとの価値観を含めて日本社会の大きな変化の要因となるとも考えられますし、被災地の生協の復興を成功させることが大きな課題となってきました。
 こうしたことが重なってきた今、日本の生協のありかた、今後の方向、重点課題を抜本的に見直すべきときと思われます。
 第2次案まで議論を重ねられてきた「2020年ビジョン」ですが、「東日本大震災」という予期せぬ重大事が起きて、まさしく「想定外」の事態に直面しているのですから、そのまま決めてしまうのではなく、真摯な見直し検討が深められることを期待したいものです。

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