コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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「危機に立ち向かうヨーロッパの生協に学ぶ」

[大友弘巳] 

 1月28日、生協総研主催で、表記のタイトルの公開研究会を開催されたことは、2月1日付の岡本さんからの寄稿でも紹介されている通りです。
 この研究会は、11月に刊行された同じタイトルの本「危機に立ち向かうヨーロッパの生協に学ぶ」の出版を記念して企画されたもので、61ページに及ぶ当日資料も用意されて以下の三つの報告がされました。
① 欧州3生協(CG、KF、MIGROS)の経営動向:2009年決算が示すもの
② 北欧3カ国の生協概況
③ イタリア生協の新たな構造改革
 日本の生協も危機に立っている中で、ヨーロッパの生協から学ぶことの重要さは高まっていますが、09年11月に出かけた視察団の報告は、イギリスやイタリアから学んだこととして、全国的な合併推進や他のスーパーチェーンの買収が成功の要因として強調されているように感じられて気にかかっており、その後の更なる研究に注目していました。
 当日聞いた話だけではなく、配布された資料及び当日購入した本も読んでみて、今回の報告では、コープノルデンの解散の教訓も含めて、1年余前の報告よりは慎重に深く学ぶことの必要性が読み取れる内容になっていると感じました。
以下、いくつか感じたこと、気がついたことなど、述べてみたいと思います。

①イギリスのCGによるチェーンストア買収についての見詰め方
 2000年にCWSとCRSが合併してCGとなり、会員生協の統合合併を進めてきた中でも、2006年度の小売業の中でのシェアは3%だったのが、07年にユナイテッド生協と合併して4%にアップし、09年にはCGより規模が大きかったチェーンストア「サマーフィールド」を買収してシェアを8%台に高めたことは、規模の拡大という点では大きな飛躍であることは確かと思われます。
 しかし、この買収が成功したと言えるかどうかは、もう少し時間をかけて見詰めなければならないようです。
 08年、サマーフィールドとCGをあわせてみればシェアは9%台に及んでいたのに、買収が実現した09年のシェアが8%強に終わっているのはなぜなのか。しかも、その後も少しずつシェアがダウンしていると報告されていますので、懸念される状況と思われます。
 また、CGのフリーキャッシュフローが09年度マイナスに落ち込んでいることも、買収のための巨大投資による純借入金が増えている中での不安要因になっていると報告されています。
 さらには、小売業チェーンの中でシェア28.1%を確保し断然1位のテスコグループが、CGが主力と決めたコンビニ業態にも進出しようとしているようですので、もしそれが強力に進められた場合には影響が大きくなることが予想されます。
 ユナイテッド生協との合併は、同じ生協同士の合併であったこと、CGとユナイテッド生協とでは規模が3対1ということでCGのリーダーシップが発揮しやすかったと思われますが、CGとサマーフィールドでは企業体質も違い、しかもサマーフィールドの方が大きかった関係の中で、買収したとはいっても事業の統合・一体化を成功させ、業績を高めることは容易ではないことが推測されます。
 これまでの報告では、シェアがアップしたことばかりが強調されて、大変な困難を抱え込んだ側面については十分に報告されていなかったと感じていましたが、今回の報告では、より総合的な捉え方がされています。

②イタリアの9大生協の合併の検討についての報告
 09年11月の視察の報告では、「イタリアの9つの拠点生協が、更なる合併へと動き始めていた」ことに驚いたとし、第2の規模の生協コープアドリアティカ(ボローニャ)の方々が口々に「これからの競争に勝ち抜くには9人の意思決定では遅すぎる。3人での迅速な意思決定を目指さなければいけない」と言っていたとし、イタリアではここ数年のうちに、9つの拠点生協が3つの生協の統合される見込みです。」とされていました。
 今回の報告でも、2009年3月にミラノ市で開催されたイタリア生協連(ANCC)第2回代議員大会で検討された内容として、広域事業連合会で論議が開始されている生協の「統合・合併」について、イタリア生協連指導部としても、「市場においてより効率的な存在となり、組合員・消費者のニーズに答えるための課題である」と捉えていることを紹介していますが、同時に、「この決定は、単位生協の主権にかかわるものであり、行程は長く、連合会はこれを支援する」としていることにも触れています。
 「単位生協の主権にかかわるものであり、行程は長く」という表現には、生協間で意見の違いが大きくあることが感じ取られ、「ここ数年のうちに9つの生協が3つの生協に統合される見込み」という報告とはいささか違ったニュアンスを感じます。
 2008年のリーマンショック以来の大不況の影響はイタリアの生協も受けており、全体としては危機を乗り越えつつあるものの、これまでのように9大生協の足並みが揃っての回復ではなくなっており、「とりわけ、ロンバルディア生協はミラノという大手競合企業のひしめく商業激戦地の中で苦しい経営状況がつづいており、地域事業連合によるコスト削減程度では追いつけない状況となっている。このためノバコープ(トリノ)、及びリグリア生協(ジェノバ)との合併協議が開始された。」ことが報告されています。
 現実の合併協議は、経営の危機に瀕しているロンバルディア生協の地盤を生協陣営として守るためにどうするかという切実な問題として検討され始まったということであり、9人の意思決定では遅すぎるから3人にするといったことではないように思えます。
 コープアドリアティカと一緒の事業連合チェントラーレアドレアティカに参加しているコープノルドエストも経営状況は厳しくなっているようですが、そこでは3生協の合併の協議が始まったとはまだ報告されていません。
 経営合理主義一辺倒の見解だけで合併が進んでいくわけではないし、生協が発展していくわけでもない現実を踏まえ、イタリアの生協活動の実践に引き続き注目して、深く学ぶことが大事ではないかと感じるものです。
 統合が必要な理由としてよく挙げられるクリティカルマスについて、イタリアの生協はコープイタリア(全国事業連合)に結集して小売業グループとしてナンバーワンのシェアを保有しているだけではなく、小型店チェーンのスパーイタリアと提携して共同仕入れ組織チェントラーレイタリアーナを設立し、共同仕入れ組織としてナンバーワンの地位を堅持してマスメリットを確保できるようにしています。合併だけが効果をあげるものではなく、価値ある連携について広く可能性を追求することの重要性も学ぶべきと思われます。

③スウェーデンの生協連KFの再構築
 KFは、1995年、国がEUへの加盟する中でドイツなど近隣の大国からの巨大小売業が進出してくる競合に備えてクリティカルマスを確保するため、デンマーク、ノルウェーの生協と協同して一体的な組織コープノルデンを設立し、2002年1月に事業を開始したのですが、それぞれの事業の到達点の違いや競合条件の違いが大きく、店舗開発や店舗運営の一体化などが巧く進まず、運営の非効率、コストアップなどの問題が重なり、2007年末まで約6年間の悪戦苦闘を経て、コープノルデンは解消に至ったことが報告されています。
 生協が低迷している間に生協のシェアも奪い取って成長発展し、シェア50%を超えるに至ったのは、ライバルの小売業のコーペラティブチェーンICAだったということです。
 KFは、07年に有力SMのDaglivsを買収、2009年にはコープノルデンの下にあった小売事業組織コープスウェーデンを解散し、KFの子会社として、マーケティング、共同仕入れ、店舗運営の機能別子会社に再編し、売り上げ増加に努めると共に、経費削減による利益の改善の強力に取り組んでいます。2009年度は4%増収(スェーデン全体の小売業の売上高伸び率は2.4%)を達成していますが、利益は資産売却益を含めての増益であり、まだ道半ばとされており、コープノルデンの失敗の負荷は重いようです。
 それにしても、ずるずるとコープノルデンを続けずに、引き返す勇気を持っていたこと、そして再構築にチャレンジする力を持っていることはすごいことだと思われます。
 最大手ICAとの規模の差は埋めがたいほど大きい現実を踏まえ、KFのCEOのラース・イデマルク氏は「他の企業が“良い例として引き合いに出す企業(生協)になる“ことがKFの目標である。最大の事業規模を持つことは追求しない。成長の最前線に立つことを希求する」と語っており、組織として大切にする価値として、「協同組合の際立った個性に自信を持つ、社会に影響を与える、人々と環境に関心を持つ、正直である、改革的志向を持つ」を挙げていることも注目されます。
 スウェーデンの人口は930万人と、埼玉県より3割ほど多いだけですが、国土の広さは日本より少し広い中で、スウェーデンには、今も47の生協が活動しています。
 ストックホルムなど首都圏と南部の合わせて5生協は、合計379店舗の事業をKFに委託していますが、組合員組織までKFに統合することはせず、組織運営と活動はそれぞれが進めていますし、その他の42生協は連合会としてのKFで共同仕入れをはじめ事業連帯を進めながら、合計413店舗の事業はそれぞれの生協の責任で運営しています。
 一見複雑な組織構造と見えますが、どの生協の店舗でも共通ブランドの名称で展開していて、宣伝やコマーシャルなどはKFメディア部門が担当しており、組合員は加入生協が違っていても同じ組合員カードを利用でき、利用ポイントも共通であり、どこで生協を利用しても、普段と同じ生協を利用する感覚でいるということです。
 「KFは正確な意味でのチェーン本部ではなく、事業判断は単位生協が主体的な判断を行うものであり、KFは会員生協の事業を成功させる役割を果たす」とされています。
 自立と協同の精神が強いスウェーデンの国民性に合った生協運営のように感じられ、自立した市民の協同を理念として掲げている日本の生協としても学ぶべき点が多いように思います。

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