コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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コープみやざきが生み出したイノベーションの一歩

[大友弘巳]

OCR注文書の改善に、コープみやざきの組合員の喜びの声
 「これは最高にいい! 自分のほしいものがすぐ見つかるし、重宝していますよ」
 「すごく便利よね。忙しいときパッと書けるから」
 喜んでくれている組合員さんの顔が浮かんでくるような書き出しです。
 「CO-OPNAVI 2月号」に掲載された「宅配・現場レポート」で取り上げられている、コープみやざきの「お気に入り商品がひと目で分かる~OCR注文用紙の改善」を紹介している記事です。
 もう多くの方が読んでおられると思いますが、コープみやざきのOCR注文書が昨年4月から改善され、各組合員が過去1年間のうちに利用したことのある商品については、その組合員に届けられるOCR注文書の品目名欄に網掛けがされるようになり、それが、組合員から大いに喜ばれ、以後、一人当たり利用点数が増え、前年実績を上回る週が増えていることがグラフ付きで紹介されています。
 コープみやざきでも、それまでは組合員一人当たり利用点数の下落傾向が続いていたとのことで、それが上向きに転じたのですから、画期的なことであり、共同購入(宅配)事業の革新(イノベーション)の始まりの一歩と思えます。

 前回私が投稿した記事「2020年ビジョン(第1次案)への意見」で、「まだ一部かもしれませんが、地方の生協こそ、今後の人口減少社会日本で持続的に発展できる可能性についての確信を与えてくれる先行モデルになっているように感じます。」と書きましたが、コープみやざきのこの実践は、それを裏付ける具体的事例をまた加えてくれました。

一人当たり利用点数の向上こそ事業革新(イノベーション)の眼目
 1980年代に、物流センターでの商品詰め合わせや、常温・冷蔵・冷凍別の品温管理、OCR注文書による多品目化、代金の銀行口座からの引き落としによる支払いなど、事業システムとして確立してから30年近くが経っており、首都圏生協(現パルシステム)グループで戸配が始めてからも約20年(以後順次全国の生協へ波及)が経っています。
 この頃までは組合員一人当たり利用点数が伸び、それに伴って利用高も伸びていましたので、組合員の増加につれて、共同購入の供給高は高い伸び率を続けていました。
 しかし、それ以後は目立った事業革新(イノベーション)の取り組みが進んでおらず、ここ10数年間、不況やデフレ、世帯構成人数の減少の中で、程度の差はあれ、ほとんどの生協で組合員一人当たりの利用が減少し続けてきました。
 供給が落ち込むのを食い止めるために、新規組合員拡大に努力を集中してきた生協が多く、利用を休んでいる組合員へ利用を呼びかけるとか、班を大切にして維持できるように支援するとか、組合員一人ひとりに利用点数を増やしていただけるように事業改革を進める、などにはなかなか本気の取り組みがされないままに過ぎてきました。
 活動地域内の世帯の生協への加入率が低く、未加入の消費者が沢山残っているうちは、新規組合員を増やすことが供給高を高める上で手っ取り早いため、拡大一辺倒の傾向が強かったのは、やむをえない面があったかもしれません。
 しかし近年は、膨大なコストを注ぎ込んで懸命に組合員を拡大しても、一人当たり利用高の落ち込みに追い付かない状況が続き、経費は増え続けているにもかかわらず、共同購入(宅配)事業の供給が横ばいからさらに前年割れに陥り、経常剰余率も1%前後まで落ち込んできているわけで、これ以上さらに一人当たり利用高が低下し続けると、赤字に転落する危険が目前に迫ってきています。
 共同購入(宅配)の事業革新(イノベーション)が何としても必要となっており、その眼目は一人当たり利用高(特に利用点数)の低下を食い止め、反転向上させることができるかどうかにかかっていると思われます。
 そうした中、コープみやざきの皆さんが創り出したこのOCR注文書改善の取り組みは、イノベーションの始まりの一歩と言えると思うのです。
 この成功をきっかけに、組合員一人ひとりに目を向けた対応によって、組合員に喜んで利用を高めていただける共同購入(宅配)へと改善・改革を進め、無駄なコストは減らしながら利用・供給を高めて、経営構造も立て直すことを目指して、様々な取り組みが、コープみやざきはもちろんのこと、これから多くの生協で強まることが予想されます。
 それらを成功させていく中で、共同購入(宅配)事業の持続的発展を可能にする本格的なイノベーションが進んでいくことを期待したいものです。

なぜ、コープみやざきで一歩を踏み出すことができたのかを考える
 コープみやざきは、店舗も含めた総体では、県民世帯の組合員加入率が約50%近くに達しており、共同購入利用人数の県民世帯数に対する比率では、ならコープに続いて全国第2位の高い水準(18%強)にありますので、人口減少社会に対応している先行モデルの最先端に立っているといえます。
 人口が少なく、生協への加入率が高くなった地方では、新規組合員拡大はなかなか容易でないと思われ、無理に急いで増やそうとするとコストばかり増えることにもなりかねず、利用と信頼が伴ってこそ拡大も着実に進められるという関係になっていると考えられます。
 従って、そうした地方の生協ほど、組合員一人ひとりを大切にし、一人当たり利用高を高めていただけるような進め方に真剣に取り組むことになる蓋然性が高いのではないかと思われます。

 加えて、コープみやざきの理念や、組織体質が、この取り組みを成功させた要因になっていると思われます。
コープみやざきでは、店舗事業でも「売り場」という言葉を使わず「買い場」といい、組合員が主人公という視点で見詰めることを大切にしており、「宅配」事業と呼ぶ生協が多くなった中でも、 個配への対応もしながらも、今も「共同購入」事業と呼んでいます。
 今回のOCR注文書の改善の取り組みのきっかけは、組合員に利用を高めていただけるようになるにはどうしたらよいかを検討してきた中で、商品の利用のことで職員と組合員との会話が弾むようにするために、組合員の利用状況のデータを活用しやすくしようと考えたことだったと紹介されています。 
 その具体策を現場の第一線の職員から理事長までが知恵を寄せ合って議論し、検討した中で、ODR注文書の品名欄に、各組合員が過去に利用したことのある品目には色を付けて識別できるようにすることになったとのことです。 
 現場とトップの距離が短いこと、組合員の目線で一緒に考えることなど、イノベーションを生み出しやすい風土と思われます。

 かねてより、学者や有識者から、生協は組合員組織なのだから、組合員の利用状況のデータを集約しやすいはずだし、それを活用できれば一般の流通業者より優位に立てるはずと言われてきましたが、残念ながら、これまでそのことについて十分に取り組んで来たとは思えません。
 共同購入(宅配)での過去の利用データはもちろん、店舗での利用のデータを共同購入(宅配)で活用することも、大いに検討すべきと思われます。
 コープみやざきでは、今回の取り組みで、情報システム開発を生協の子会社へ委託したのですが、その会社のスタッフが共同購入の職員として働いてきた経験が豊富だったことが、的確かつ迅速に開発を進める上で役に立ったとのことで、情報システムの専門家とコラボを組む上でも恵まれた環境にあることが幸いしたのではないでしょうか。

 これから組合員がさらに利用点数を増やしてくれるかどうかは、OCR注文書の改善をどう生かすか、職員と組合員の間でどんな会話が弾むかによって違ってくることでしょう。
 コープみやざきの職員の皆さんは恐らく、OCR注文書の改善を生かして様々な試みを進めておられることと思われ、引き続き注目し続けたいと思っています。

 末尾になりましたが、昨年の口蹄疫に続き、今年に入って、鳥インフルエンザ、さらに新燃岳の噴火と、宮崎県では大きな災害が続いており、宮崎県民の皆様の恐怖や苦しみの深さはいかばかりかと拝察しております。 
 1日も早く沈静化することを祈念しつつ、心よりお見舞い申し上げます。

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