コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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大学生協の2011年チャレンジ

寄稿
 
[西村一郎]

 1月14日に大学生協連の新春懇談会があり、当面する大学生協の諸課題について報告があった。全国で展開する大学生協は、すでに組合員数は150万人をこえ、年間の供給高は2000億円にも達し、組合員や大学からの支持を広げつつある。しかし、国際的な金融危機などは、日本の大学生協の経営も悪化させている。こうした中で大学生協は、どのような道筋を描いているのだろうか。

・ 大学生協は地球市民育成の場
 庄司興吉会長理事より、「地球市民社会と大学生協の役割」と題して大学生協の社会的役割のマクロ的な話があった。9.11から始まったテロとの戦争や、2008年のリーマンショックなどにより、アメリカだけでなく国際社会は大きく揺れ動いている。そうした中でG8からG20に代表されるような新興国の台頭が進み、政治経済主体の対等化と同時に、市民民主主義の普及が著しい。そこでは市民が国家を通じて金融資本を規制しつつ、自らの事業を広げていくことが重要になり、そのもっとも有力な形態が協同組合である

 大学生協は日本における協同組合の源流の1つであり、国際的な感覚を持って21世紀を背負って立つ地球市民の育成の場となっていく。こうした大学生協で学んだことを基礎として、たくさんの社会的協同組合が各地に広がり、日本を協同・協力・自立・参加の社会にしていく、という夢を語っていた。
 国際化がますます進む中で、世界を視野に入れた地球市民の存在がますます大切な時代となり、そのための学びの場が大学生協の役割であるとの指摘は深い意味がある。

・大学生協連の2011年テーマ
 次に、大学生協連和田寿昭専務理事から、「2011年のテーマ」と題して事業課題の報告があった。昨年12月の総会には全国から950名が参加し、「大学と協力し学生支援の輪を広げ、組合員の参加と協同で学生の成長を育もう」とのテーマを確認し、それに基づく2011年の取り組みである。まず高等教育における大学生協の役割として、学生支援と当面する大学の課題を見極めつつ、生協として責任をもって対応できる事業領域を設定している。
 学生支援では、勉学や研究の支援・キャリア形成・奨学金・住まいの斡旋・教科書や教材の提供・心身の健康管理・購買・食堂・留学生支援がある。他方で大学の課題では、勉学研究の高次化・学生の就職・外部資金の獲得・地域社会との連携・入学定員の充足・退学者の削減・留学生の受け入れや派遣などがある。
 こうした大学の中で生協としては、学生の成長支援・学びやキャリア支援・仲間づくり・勉学研究用品の提供・食生活応援・大学業務の受託・留学生支援で役割を発揮し、大学の魅力づくりに貢献するとしている。激変する大学において、生協の役割を多面的にとらえて発揮することは大切なことである。 

・共済の取り組み
 生協法の改正によって、2010年に共済部を独立させて大学生協共済連を発足させている。その濱田康行会長理事の挨拶と小野寺正純専務理事からの報告があった。
 全国で64万人が加入し、1年間の支払いは30,545件で23億6000万円にもおよぶ。件数で多いのは、事故通院、病気入院、手術、事故入院、父母死亡見舞金などである。
 学生共済には、3つの助け合いがあることを強調している。1つ目は「もしも」のときで、病気や事故になったとき共済を通して多くの仲間が助けてくれる。2つ目は「もしもにならないため」で、病気や事故に合わないために健康維持や身の回りの安全について学びあうことである。3つ目は、「もしもにならなくても」困った仲間を助け合うことにつながる。
 この2つ目と3つ目が、保険にはない共済だけの特徴である。「健康安全&事故防止」活動の具体的な取り組みとしては、第一に健康安全を呼びかけるものとして、健康チェック企画・メンタルヘルス・イッキ飲みやアルコールハラスメント防止・防災対策・食生活相談会・スポーツ企画・自転車やバイク点検などがある。第二に健康で安全な学生生活について考えるために、給付事例の学習会や報告をおこなっている。第三には共済活動について学びあうことで、全国や各地で共済セミナーを開催している。
 思いがけない病気や事故による出費を学生共済によってカバーするため、協同組合の原点に立って助け合いの輪を広げている。

・ 学生の参加
 組合員の大半をしめるのは学生であり、その代表として全国大学生協連の北橋達也学生委員長から、「大学生協を通じた学生の参加」のテーマで報告があった。そこでのキャッチフレーズは、「つながる元気、ときめきキャンバス」である。組合員の願いに基づく店舗や活動にするため、組合員の声による店づくりや商品開発もあれば、組合員の生活に基づく学習や交流などもある。
 こうして自分たちの大学生活をもっと盛り上げようと、自主的に活動している学生委員は全国に8900名もいる。
 具体的な活動は、①健康安全・食育、②キャリア形成支援、③環境活動、④平和・国際交流活動である。健康安全では、食生活診断サイトや自炊の冊子を作るとか、栄養士と協力して食生活相談などがある。キャリア形成支援では、友達と一緒に楽しく英語を学ぶTOEIC勉強会や、先輩による体験談とアドバイスをする就職活動サポートもあれば、増える留学生との交流を通して異文化に触れるTea Partyも開催している。環境問題では、不用品を再利用するリユース市や、ペットボトルのフタを利用するエコキャップ活動などがある。また平和・国際交流活動では、広島や長崎や沖縄を訪問して学びあう「Peace Now!」や、平和の折鶴作りなどがある。
学生の組合員が仲間と協力して実践し、自らの力を育んでいることは素晴らしい。

・ さらなる大学生協の役割を発揮するために
 厳しい経営環境の中でいくつもの創意工夫をし、事業や運動の領域を広げている。生協や組合員の数が増えていることは、社会からの期待に大学生協が応えている証拠として評価してよいだろう。それを前提にしつつも、しかし私には、大学生協や事業連合の現状をみるといくつか気になることがある。
 第一が、PDCAのマネジメントサイクルが不充分でないかとの危惧である。将来の在りたい姿を示すビジョンを示し、そこに向かうための具体的な進め方であるアクションプランや中期計画があり、さらに年度の方針を策定している。それらにはいくつものマネジメントサイクルが存在するが、毎年のように減少し続ける共済加入者や、東京事業連合の2年連続赤字経営などは、マネジメントサイクルの特にC(点検)とA(対策)が、充分でないことを示しているのではないだろうか。
 第二に、経営責任の所在にかかわる組織のあり方である。店の事業には、大学生協連の1部署である地域センターと、事業連合と各生協が協力しつつ関わっている。地域生協よりも早く事業連合の組織を各地に作った大学生協では、2010年に東日本の4事業連合を東京に集中させるなどその機能をさらに強めつつある。事業連合の機能強化によるメリットは大きいが、反面で事業連合に権限を集中し続けると、参加する会員生協の空洞化につながり、独自の課題を自らの意志と力で切り開くことが弱くなりやすいので注意がいる。
 第三に現在の経営上の問題を、職員や労組と理事会がどこまで共有化できているかである。いくら素晴らしいビジョンや年度方針を作っても、一人ひとりの組合員に商品やサービスを通じて触れるのは、パートを含めた全ての職員であり、職員が「その気」にならなければ絵に描いた餅となりかねない。そうならないためには、全ての職員が経営の実態を共有化し、ビジョンや中計における自らの役割を認識することは何より大切である。
 大学生協連の掲げた崇高なビジョンに進むため、こうした点での議論もぜひ深めていただき、全国の大学生協のさらなる発展を今後も期待したい。

 (「コープソリューション2月1日号」に掲載されたものを転載しています。)

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