コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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「現代社会と協同組合についての研究会報告」

「寄稿」

[岡本好廣」

1.「現代社会」についての問題提起と報告

① 現代社会問題研究会-「日本の現状と打開策を考える」
 これは大学の学生運動仲間でやっている少人数の研究会です。ここで主題に沿った問題提起を求められたので、1982年に出版された韓国梨花女子大学の李御寧(イ・オリヨン)教授の『「縮み」志向の日本人』を引用して、経済、政治、外交、産業分野、大学と全ての面で「内向き」になってしまっている日本の現状を変えるためにはという話をしました。  
 この本が出されたのは日本が1978年のオイルショックを乗り越え、再び高度成長に向かった時期です。こうした時代背景で日本人の中に潜む「縮み」志向を指摘した李教授の慧眼は驚くべきことです。一方韓国は1997年の経済危機で国際的な金融支援を受けざるを得なくなり、IMFの監視下で経済再建に乗り出しました。しかし金大中大統領の指揮の下に大胆な経済改革を推し進め、2年後には成長率を10%台まで回復させ、「韓江ハンガン」の奇跡」「IMFの優等生」と称されました。今に至る韓国経済の発展はこの時期の困難を内向きでなく、危機を逆手にとって長年の膿を出し切るという思い切った政策によって実現したものです。

 現在の日本を被っているのは20年以上に亘って続くデフレが原因で、デフレスパイバルが社会全体を「内向き」の「縮み志向」にさせています。このままで推移すると次代を担う若者が元気を失い、日本の将来は一層暗いものになってしまいます。今こそデフレ脱却に全力を挙げる時で、「リフレーション」政策を取り入れてデフレをストップさせ、「所得」「雇用」「地域再生」を進めるべきだという主張です。
要求と運動のないところに前進はないので、そのためにはわれわれも「お任せ民主主義」「傍観者民主主義」から脱却すべきだというのが論旨です。

② 三水会例会-「私流ドラッカーの読み方と学び方」
  三水会は30年来続けている異業種交流の研究会です。1月19日今年初めての例会でこのテーマで報告しました。 
 ドラッカー生誕100年、没後5年に当たる昨年は空前のドラッカーブームを巻き起こしました。異常現象とも云っていいドラッカーブームが起きた背景には、時代の閉塞感が影響していると思います。ドラッカーは常に時代の先を見据えて社会の変化を予測し、どうすべきかを伝え続けてきました。ドラッカーが健在だったら現状をどう判断するだろうか、という思いがドラッカーの再評価に繋がっているようです。ブームとは別に私は40年近くドラッカーを読み続け、来日の折には講演も聴き謦咳に触れているので、その立場で報告したわけです。
 ドラッカーを有名にしたのは1939年29歳の時に刊行した『「経済人」の終わり』-全体主義はなぜ生まれたか です。ヒトラーにインタービューしたこともあるドラッカーは、この本でファシズムの本質を明らかにしました。チャーチルがこの本を激賞し、後に首相になるとこれを従軍する兵士に官給品として携帯させました。長時間の報告なので、ここでは要点を述べるに留めます。報告は既に<花の雑学 三水会便り>というホームページに掲載されていますので、関心のある方はそれをお読み下さい。
 私は同時代の経済学者でドラッカーが父を通して親交のあったシュンペーターも尊敬しており、報告でも触れています。2人は「人間を中心にして社会を語り、そのなかに経済があり、経営がある」ということで共通しています。ドラッカーは博士号をもった国際法学者、歴史家、社会学者、未来分析学者、経営学者、美術評論家、コンサルタント等、多彩な分野で優れた業績を残しています。なかでも経営学の分野では『現代の経営』を著し、自らもGM、GE、シアーズのコンサルタントを務めるなど、“マネジメント”の概念と手法を確立した点での功績は計り知れないものがあります。「目標に基づく管理」は生協でも取り入れられて成果を上げました。
  私がドラッカーから学んだことは多々ありますが、要約すると次の5点になります。
・ナチズム反対の原点に立った“人間信頼”の揺るぎない生き方
・幅広い教養に裏付けられた時代を視る確かな目
・誠実な人柄に基づく汲めど尽きない人間的な魅力
・企業に倫理と革新性を求め続けた真摯な態度
・美術の面を含めた日本への深い理解と愛情
 ドラッカーは70年代以降著書の中でこれからの社会は“知識の時代”に入り、“知識”が資本や資源を越える重要な生産要素になると主張しました。今まさにその時期がきているように思われます。1996年に一橋大学の野中郁次郎名誉教授と竹内弘高教授が『知識創造企業』という本をオックスフォード大学出版部から出して、全米最優秀ビジネス書に選ばれました。後で日本語に翻訳され、ビジネス書のベストセラーになりました。
 これを英文で読んだICAの前会長故イヴァノ・バルベリーニさん(当時イタリアのレガ会長)が野中先生を招聘して、イタリアの2箇所で協同組合トップ対象のセミナーを開きました。1973年に逆に生協総研がバルベリーニさんをお招きして野中先生と共にトップセミナーを開催したことがあります。ドラッカーは野中先生の業績をよく知っていてこの本が出るときには表紙の帯に推薦の言葉を寄せています。
 現在野中先生はドラッカーが創設したクレアモント大学大学院「ドラッカー&マサトシ・イトウ マネジメント・スクール」(セブン&アイ・ホールディングス名誉会長伊藤雅俊氏の多額の寄付に報いるために命名された)の名誉教授です。また竹内弘高先生は昨年からハーバード大学大学院に開設された「知識経営コース」で教えています。アメリカで研究を深め、広げようとしているドラッカーと野中、竹内両先生の「知識創造経営」はデフレに悩む日本でこそ本格的に取り組まなければならない分野だと思います。

2.「協同」についての最近の研究動向

① 協同組合懇話会での「モンドラゴン協同組合」
 昨年12月6日に新橋の共栄火災本社会議室で協同組合懇話会の研究会が開催され、「モンドラゴン協同組合」についての2本のDVD上映と講演が行われました。協同組合懇話会は、主に農協の中央機関のOBが会員になっている研究団体で、180人程が参加しています。 この企画は当初私が持っている「モンドラゴン2008」「モンドラゴン協同組合への道のり」の2本のDVDを上映して、私が解説するという企画でしたが、折角の機会なので専門の研究者による講演も加えようということになりました。そこで私が生協総研の専務時代に客員研究員として協力して貰った石塚秀雄氏を招聘して講演して貰いました。
 石塚氏はスペイン語とフランス語が堪能なので他の研究者と異なり、英語からでなく直にモンドラゴン協同組合と交流できるのが強みです。それとDVDの映像で実体が観られたという利点から大変好評でした。農協関係者はモンドラゴン協同組合は名前だけ知っていた、名前も知らなかったという人たちが大半でしたので、最先端の技術をもった工場が協同組合によって運営されていることやモンドラゴン大学、日本では見ることの出来ない大規模なハイパーマーケット等、驚きの連続で質問が相継ぎました。
 終わって忘年会が行われましたが、ここでも未だ質問と意見が続いていました。農協系統には「愛友会」という60年以上の歴史をもつOBの親睦団体があって、毎年大手町のアーバンネット21階の東京會舘経営の会場で、全中の専務や農林中金の理事長も参加して盛大な新年会が行われますが、協同組合懇話会の関連で私も毎年招待されて農協の人たちとの交流を深めています。

② 協同金融研究会での「国際協同組合年シンポ」
  協同金融研究会は私が生協総研の専務時代に関係者に頼まれて事務所を総研内に置き、昨年手狭になったので外へ出ましたが、隔月の研究会には引き続き会議室を使わせて貰っています。この研究会は「国際会計基準と協同組織金融機関」など重要な研究を進めています。
  1月21日には「国際協同組合年の意義と協同組織金融機関の役割」をテーマにシンポジュウムが開かれ、聖学院大学の富沢賢治教授が講演されました。他の協同組合組織や研究団体に先駆けて協同金融研究会が、国際協同組合年の研究の場を設けたことは高く評価すべきです。しかし私は直前に農林中金総研の2人の女性研究員が執筆した『欧州の協同組合銀行』(日本経済評論社刊)を読んで、欧州の協同組合が理念、経営、連帯の面で成果を上げているのを確認したので敢えて次のような意見を述べました。
 「欧州の協同組合銀行はイギリスを始めとして倫理綱領を徹底し、その結果2008年にこの綱領に反するとして日本円で6億円の融資を断っている。しかしこのことを預金者の84%が支持している。またオランダのラボバンク・ネーダーランドは自行のステークホルダー協議会に、アムネスティ・インターナショナル、自然と環境財団、消費者連盟、持続可能性研究所、高齢者市民連合等の代表に参加を求めて意見を聴いている。欧州の協同組合銀行は各国の協同組合の倫理性向上のための活動の先頭に立っている。またEACB(欧州協同組合銀行協会)やICBA(国際協同組合銀行協会)を通じて各国間の連帯活動も活発である。日本はせめて国内で農協、信金、信組、労金の協力と連帯が進まないものか?」これはここで云うのは筋違いだったかと思います。何故なら協同金融研究会の会員は私と同じような問題意識をもっており、こうしたことを考え実行に移すのはそれぞれの全国連合会の役員だからです。
  なお、協同金融研究会は3月5日(土)12:30から17:00まで水道橋の日本大学経済学部7号館講堂で第100回記念シンポジュームを「協同組織金融機関への期待と国際協同組合年」のテーマで開催します。記念講演に東大名誉教授宇沢弘文先生が予定されていますので、参加ご希望の方は事務局(03-3262-2260)にお問い合わせ下さい。

③ 生協総研公開研究会「危機に立ち向かうヨーロッパの生協に学ぶ」
 1月28日夜コーププラザで開催されました。日生協の国際部長と生協総研の2人の研究員からイギリスCG、スウェーデンKF、スイスMIGROS、北欧3カ国の生協概況、イタリア生協の新たな構造改革について報告がありました。研究会は日生協理事会修了後に開催されたので理事の方々も多数参加していました。今回の報告は昨年日生協から出版された生協総研編の同名の本がもとになっています。既に同書をお読みの方が多いと思いますので、詳細な報告は省いてヨーロッパの生協の危機への挑戦から何を学ぶかについて私見を述べます。
 第1はこれらの挑戦が全ての国で成功したとは云えませんが、その国の生協が一丸となって取り組んだことが重要で、成功しなかったところはこれで終わるのでなく、必ず再挑戦するだろうということが想定されます。
 第2は成功した国もこれで終わるのでなく、また新たな挑戦を開始するだろうということです。改革は生協という組織がある限り、継続しなければならないからです。
 第3はイタリアの改革から学んだことですが、組合員消費者の暮らしがどうなっているかということに目を逸らさず、それをもとにして政策を立て実行していることです。その結果生協の政策対象が組合員だけでなく、市民全体に及んでいるように思われます。イタリアの挑戦が成果を上げているのはここに要因があると感じました。

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