コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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「2020年ビジョン(第1次案)」への意見

[大友弘巳]

1、一人ひとりが主体的に参加し、組合員発、現場発での議論を 
 日本の地域購買生協は、70年代から急速に発展してきて世界の生協からも注目されるようになり、1992年にはICA総会が東京で開催され、協同組合の価値や定義、原則の確立の議論にも積極的な役割を果たしました。
 しかしその頃をピークに、以後は、組合員は増え続けているものの、事業高は横ばい状態を続け(08年度からは前年割れに)、多くの生協で経常剰余率が1%を下回り、赤字寸前に陥る事態となっています。
 さらに今後、生協をとりまく環境が根底から変わっていくことが予想されている中で、これまでの20年の延長線上では存続は困難と感じ、日本の生協はこれからどう進むべきか、抜本的に見直す検討が必要になっていると思います。
 本当に大事な時に「日本の生協の2020年ビジョン」が検討されているわけで、生協に関わるすべての人々一人ひとりが考え、議論に参加することが必要だと痛感します。

 第1次案の「はじめに」の中でも、「全国の生協の役職員と、活動の中心を担っている組合員一人ひとりが、自ら主体的に参加し、意見を交わし、『日本の生協の2020年ビジョン』を語れるようなビジョンの論議を呼びかけます」としていますが、参加と言っても、策定検討委員会がまとめた第1次案についての議論をということでは、学習が中心の受身の参加に終わることが懸念されます。
 その範囲に止まらず、組合員発、現場発の検討で、生協の現状を打開するために何が必要かの意見を交わすような、真に「主体的」な議論への参加が広がることを期待したいものです。

2、これまでの「ビジョン」を振り返る議論を
 第1次案の「今なぜビジョンなのか」の①では、ビジョンの視点、基本姿勢として「新たな時代の要請に応え、協同組合の役割を発揮すべきとき」と題しています。
 21世紀の最初の10年を振り返り、世界と日本の諸問題を分析して、日本の生協の21世紀理念、「自立した市民の協同の力で 人間らしいくらしの創造と 持続可能な社会の実現を」が、ますます大事な時代になっているとしています。
 そして、「新しい社会づくりには、協同組合の価値や仕組みが有効であり、社会の中で協同組合が積極的な役割を果たしていくことが期待されています」とし、2012年に「国際協同組合年」を迎えることを生かして、「協同組合間提携を進め、今後数十年の協同組合の発展につなげていく契機にしていかなければなりません」と述べています。
 そうした認識の下、「私たちは、ICA協同組合原則と21世紀理念を基礎としながら、協同組合として積極的な役割を果たしていきます。」と結んでいます。 その結論には大いに賛同し、それが今後の活動のなかで具体的に貫かれることを期待するものです。
 問題は、これまで掲げてきた「90年代構想」や「2010年ビジョン」を振り返っての総括や、現状の問題、反省などが何ら触れられていないことです。
 これまでのビジョンをどう具体化し、実践してきたのか、何が問題や弱点なのか、反省点、などを明らかにした上で、転換すべき方向や課題を提起するのでなければ、新しいビジョンは具体性が乏しく、納得感・共感も深まりにくいのではないでしょうか。
 1月7日付の当ブログで加藤さんも危惧しているように、第1次案のままでは、誰からもさしたる異論も出ないが、理解も、実践の意思統一も深まらないままに終わってしまうのではないかと懸念されます。

3、地方の生協の貴重な経験から学んで、実践的に確信
 「いま、なぜビジョンなのか」の②は「組合員のくらしが、かつてなくきびしさを増す時代」と題し、いわばこれから10年の環境・情勢の変化についての予測と、それへの対応の姿勢が述べられており、予測の内容は妥当と思われますが、どう対応していくかについてはもっともっと具体的な議論が必要と思われます。
 日本社会の構造変化が急速に進むとして、労働力人口の減少と超高齢化社会の進展が生み出す諸問題、困難を中心にいろいろ挙げられ、「くらしの困難に生協がどのように応えていくのかが問われています。私たちは地域の行政や諸団体などと協働しながら、事業や活動を通じて、生協の強みを生かし、くらしに関わる課題に積極的に応えていきます」とされていることは共感できますが、もっと実践的な確信を深め合いたいものです。
 これまでも、地方では長年にわたって労働力(生産年齢)人口の減少と超高齢化が進んできていた中で、地方の生協では、頑張って対応しながら役割を果たし、生協への加入率を高め、利用も高めながら成長してきた貴重な経験の蓄積があることに着目し、それらの実践から学ぶことが大事ではないでしょうか。
 かねてから、福井県民生協やコープみやざき、コープさっぽろ赤平店、いわて生協の宮古地区など、人口減少地域での先進的な実践に注目してきましたが、最新号「co-opNAVI」によると、コープぎふの飛騨支所や、長崎のララコープの五島支所など、山間地や離島の過疎地で、宅配事業を成り立たせるために、組合員と職員が一緒になって仲間を増やし、利用呼びかけを進めている事例が紹介されており、各地でこうした事例が広がってきていることを感じます。
 まだ一部かもしれませんが、地方の生協こそ、今後の人口減少社会日本で持続的に発展できる可能性についての確信を与えてくれる先行モデルになっているように感じます。
 地方の生協の優れた経験から学んで改革を進めていくようなビジョンを提起すれば、実践的に確信を深める議論が活発に広がっていくものと思われます。

4、経営の建て直しと事業連帯のありかたの見直しの議論を
 「いま、なぜビジョンなのか」の③では、「くらしへの役立ちをより一層高めていくことが求められる生協事業」として、事業経営の現状と改革の方向が述べられています。
 70年代~80年代に日本の生協が大きく飛躍した社会的条件はもう失われたこと、競合相手は食品スーパーのリージョナルチェーンがメインになっていること、生協の事業の問題点として、組合員は増えているが一人当たり利用が減少を続けていること、08年度から総事業高の前年割れが続いていることなどが挙げられ、「組合員一人ひとりのくらしニーズに深く結びついた事業を創り上げていくこと」「組合員一人当たり利用高の減少から増加へと転じていく必要がある」「組合員一人ひとりとのつながりを基本視点に据えて、生協事業のくらしへの役立ちをより一層高めていくこと」などが述べられており、損益がいよいよ待った無しのレベルに落ち込んできている中で、一人当たり利用高についてはこれまでの流れからの転換を志向していることがうかがえます。
 しかし、小手先の取り組みでは一人当たり利用高を高めることは実現できるはずがなく、組織のあり方や働き方の問題として改革や転換を進めなければ、実効を上げることは困難と思われます。
 首都圏の生協の宅配事業は、経常剰余率が1%に満たないとか、1%台という生協がほとんどになっており、地方の生協よりも低くなっています。それは、3つの事業連合のそれぞれの会員生協が同じ地域の中で競合しあっていること、複数の生協へ加入して使い分け、利用が分散している組合員が多くなっていることが原因と考えられます。
 また、各地方にある拠点的生協同士でのリージョナル事業連合も、店舗事業を成功させていると言えるところはほとんどなく、会員同士の合併を検討しているところもあれば、逆に一部の会員が脱退もしくは部分利用へなど、分散化に向かっているところもあるようです。
 いまこそ「自立と協同」の理念を具体化する事業連帯のあり方の議論が改めて真剣になされる必要があると思われますが、この項ではそういう問題意識はうかがえません。

 関連して最後にもう一言。
 事業経営の現状と改革の方向の検討の中では、事業連帯の現状の問題には何ら触れられていないのに、後の「アクションプラン」の中で突然、「県域を越えた生協づくりにも挑戦します」という提起がされています。こんなことでよいとは到底思えません。

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