コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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未曾有の試練~生産年齢人口急減と高齢者人口急増が同時に進む時代

[大友弘巳]

<「デフレの正体」を読んで> 
 話題の書「デフレの正体――経済は『人口の波』で動く」(著者、藻谷浩介氏、日本政策投資銀行参事役)は、衝撃的な内容でした。
 日本の人口が減少に転じたことにも、高齢者が急増していることにも関心を持ち、将来に不安を感じてはいましたが、この本を読むまではそれほど差し迫った大きな問題と感じておらず、認識不足だったと思い知らされました。
 総人口の減少は、まだ始まったばかりですし、減少率もわずかなため、私だけでなく多くの国民があまり危機感を持っていないように思われます。 ところが、実は、「生産年齢人口」の減少が、総人口の減少より先行して、はるかに速いペースで進んでいることについては、情報も不足しており、筆者の藻谷氏も指摘している通り、多くの人々が気付いていなかったり、見当違いの対応しか考えきれていないのが現状のように感じます。

<生産年齢(現役世代)人口の急減の状況>
 「デフレの正体」によると、生産年齢(15歳~64歳の現役世代)人口は、ピークだった1995年の8,716万人から、2005年には8,442万人へと、274万人(3.2%)もの減少が既に始まっており、団塊の世代のリタイアが進む2015年には7,681万へと、1995年度よりも1,035万人(11.9%)も減少する見込みとなっています。
 さらに、2025年には7,096万人へと1,620万人も減少(約20%減)することがほぼ確実であり、しかも、その先さらにこの傾向が続けば(出生率の大幅上昇などよほどのことが起きない限り)、40年後の2040年には現役世代人口は4,930万人(1995年の56.6%)にまで落ち込むと予測されています。
 これらの数値は国立社会保障・人口問題研究所が公表している資料に基づいており、根拠の薄いものではありません。
 08年からリーマンショックで100年に1回の世界的大不況の影響が騒がれていますが、日本では、それ以上に、日本の歴史始まって以来初めての(2000年に一度の)生産年齢人口の急速な減少という事態が重なっていたわけで、こちらのほうが、リーマンショック以上に、日本の経済や財政、人々の暮らし全般に与える影響が大きいことが考えられます。
 95年から続いてきた「平成不況」とそれに続いた「実感なき景気回復」の正体(原因)は、この「生産年齢人口の減少に伴う就業者数の減少」だ、とする著者の指摘で、なぜ日本だけが長期に渡って低迷が続いているのかの理由が明らかになったように感じます。
 労働して富を生み出し所得を得る現役世代の人口が減ってきたなかで、当然にも日本経済の成長も困難となり、国民所得総額も伸び悩み、内需の縮小が進んできたという説は、分かりやすく、納得できます。
大企業は輸出や海外での生産の拡大によってカバーして業績を上げてきたわけですが、「内需の低下」の下で、中小企業や国内小売業は売上低下が続き、売れないから価格を下げる競争となり、デフレ傾向が続いてきたのがこの15年間だったということでしょう。

<高齢者人口の急増の状況>
 他方、65歳以上の高齢者は、1995年の約1850万人から、2005年は約2600万人、2015年は約3,400万人、2025年は3,650万人へと(1995年を100とすると、2005年は140、2015年は184、2025年は197)急増し、中でも75歳以上の高齢者は、1995年717万人(100)から、2005年1,164万人(162)、2015年1,645万人(229)、2025年2,167万人(302)へと飛躍的に増加すると予測されています。
 総人口が減っていく中で高齢者数が増加しますので、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は、2005年には20%ほどだったのが、2025年には30%を超え、2050年には40%を超えると予測されています。2050年のことはまだ今後の努力で変化させることができるかもしれませんが、15年後の2025年はほぼ確実にそうなるだろうと思われます。
 このような生産年齢人口の急速な減少と高齢者の急増とが、同時に、しかもこのように急速に進んだ中で、2010年までで既にデフレの長期化という事態を招いているわけですが、これからはさらに影響が大きくなり、日本の経済、社会の構造を根本から変えていく要因になることは間違いないと考えられます。

<この事態への注目の広がり>
 日本でこの「デフレの正体」がベストセラーとなっていることが、イギリスの経済誌「ザ・エコノミスト」の注目するところとなったのではないかと思われ、同誌の11月20日号に「日本特集」が組まれており、「生産年齢人口の減少」の問題を取り上げています。  
 生産年齢人口の減少に関する記事の日本語訳が,以下のURLをクリックすると見ることができますので、お試し下さい。(関連しているこれ以外のページも読むことができます)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/489ge=25?pa
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4907
 この「ザ・エコノミスト」の記事によって触発されたのか、日本の週刊誌「週刊現代」が12月11日号に「人口減少社会」特集を組んでいました。
 遅ればせながら、これから広く国民の関心が高まり、様々な予測や議論がされていくことになるのではないかと思われます。

<「処方箋」はいかに> 
 「デフレの正体」の著者は、生産年齢人口減少に伴う内需の縮小に対して挙げられがちな処方箋、「生産性を挙げろ、経済成長率を上げろ、故郷工事を景気対策として増やせ、インフレを誘導しろ、エコ対応の技術開発でモノづくりのトップランナーとしての立場を守れとかいった話には実効性欠がける」ことを論証したうえで、代わりに以下の三つの目標を掲げています。
 ①生産年齢人口が減るペースを少しでも弱める、②生産年齢人口に該当する世代の個人所得を維持し増やす、③個人消費の総額を維持し増やす、と。
 そして、具体的には誰が何をするべきかとして、以下の3点を提起しています。
 第1は高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進 
 第2が女性就労の促進と女性経営者の増加
 第3に訪日外国人観光客・短期定住者の増加
 これらの処方箋にはなるほどと感じる点が多々ありますが、国の政策や、企業の戦略への提言が主であり、普通の市民がどうしたら良いのかは、一人ひとりが自ら主体的に考えて実践していくことが必要と著者は考えているようですし、実際に地域の中でその動きが始まっていると観ているようです。
 著者は、「おわりに」の中で、「日本というのは常に、現場で汗をかいている人たちが支え、何度でもよみがえらせてきた社会です。その現場力、雑草力を私は信頼します」と希望を託しています。
 そして、「私が深い確信を持って」想像するのは、『多様な個性のコンパクトシティたちと美しい田園が織りなす日本』の登場です。人口減少の中で一人一人の価値が相対的に高まる中、その中で暮らす人々も、それぞれやりがいのあることを見つけて生き生きとしています。そうした未来の実現に向けて自分の地域を良くして行こうと活動する老若男女はどんどん増えていくと、私は新たな風の始まりの部分を日々全国で実感しているのです」
と結んでいます。
 このブログの運営メンバーは大方70歳前後ですから、2025年までは生きていく可能性があり、他人事では済まされず、残りの人生15年前後、もう一踏ん張りが必要になっていると見定め、どう生きていくかを考え直さなければならなくなっていると思われます。

<生協にとっても未曾有の試練の時代>
 日本の高度成長の時代を背景に急速に成長し、日本経済の低迷と共にここ10数年間停滞を続けてきた日本の生協運動にとっても、過去に経験したことのない「生産年齢人口の急速な減少と高齢者人口の急増が同時に進む時代」を迎えて、未曾有の試練に立たされていることは明らかです。
 これまでの延長線上では、事業経営として存続していくことができなくなっていくことは言うまでもありません。
 今、「2020年ビジョン」の議論がされている中で、この問題がどこまで十分考慮されているのか、特に、首都圏3生協の県域を越えた合併の検討をしているコープネットグループの各生協では、この時代の変化についてどう議論しているのか、気にかかるところです。
 合併したほうが意思決定が早くできると一面強調されていますが、マンモスになればなるほど、変化への対応が遅くなるという教訓を忘れてはなりません。
 トータル規模よりも、一つひとつの単位の質、強さが、これまで以上に決定的に大事な時代になっていくことは間違いありません。
 周辺の地域の組合員及び地域住民から深く信頼され支持されて経営を自立させている一つひとつの事業所、常に組合員のために地域のために役立つことを目指して一人ひとりが生き生きと創造的に力を発揮して働く職員集団、それをバックアップして役立つことを生きがいとする本部(事業連合)、という組織が作れるかどうかがカギとなることでしょう。
 組合員の声に根ざした組合員リーダーの皆さんたちと、現場で組合員と触れ、期待に応えようと日々頑張っている職員たちに希望を託したいと思います。
 そんな問題意識で、これからしばらく、「2020年ビジョン」の検討状況に注目しながら、コープネット3生協の議論も見詰めて行きたいと思っています。

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