コラボ・コープOB

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首都圏3生協 組織統合検討委員会「中間報告」への疑問 その3 

[大友弘巳]

「中間報告」の内容についての疑問 続き

③「合併の理由」に、組合員や職員にとっての意義も切実さも乏しい

 「中間報告」の「3章 今後の組織のあり方について」の中に(1)組織合同をめざす理由として以下の4点が挙げられていますが、なるほどと納得できるような内容が乏しいと言わざるを得ません。
 、組合員が将来にわたって継続的に利用・参加する生協づくり(事業と組織)が必要です。
 、組合員への利便性を高め、経営組織の効率化と合理化が必要です。 
 、組合員により身近なコープとして貢献度を高めるため、参加とネットワークと事業連合の場で進めてきた事業を実質的にひとつの組織として運営することが必要です。
 、地域の多様性を認識し、社会性発揮と地域貢献をより積極的に進めていくことが重要です。
 「新たな課題」の内容の繰り返しが多く、いずれもそれだけ見れば当たり前の事柄であり、連帯のままでも、合併を進める場合でも共通して必要なことなので、なぜ合併でなければならないかとか、合併のほうがベターであるという理由等が、組合員や職員にとって明瞭であることが求められますが、「中間報告」の文章からはそうした意義も切実さもあまり感じられません。

 「」では、3生協が合併することによって「コープネットとの緊密な運営」ができるとし、マネジメントの一元化をはかることで、「事業と参加とネットワークの連動や組合員への説明責任のレベルを上げることになります」としています。事業革新も進め、事業と参加とネットワークの「ともに」を進め、地域の中で信頼を広げるとしています。
 合併した生協の代表理事とコープネットの代表理事を兼務とすることでそれらができると考えられているようです。
 しかし、もし合併して大きな会員生協ができたとしても、コープネット事業連合が存在し続けるのであれば二段階の組織構造は変わらないわけですし、本部機能の一元化にこだわり、事業運営部機能も含めてあらかたの機能をコープネットへ委託し続けるのであれば、事業運営も会員生協主導とはなりません。
 兼任の代表理事は、両方の組織への責任を負わなければならない立場とはなりますが、仮に強力なパワーを持った人材が得られたとしても、両方の組織へのマネジメント力を発揮することは非常に困難なことと考えられます。20年前、同じような体制をとったユーコープ事業連合で失敗した経験があるのに、なぜ同じ轍を踏もうとするのか理解できません。
 会員生協と事業連合の役割分担を見直し、会員生協側に事業運営部機能を中心とした本部体制を確立し、会員生協が主体性を発揮できるようにしない限り、結局はコープネット本部集団のペースで現状とさして変らぬ運営が続くことになるのではないかと思われます。

 「」では、合併することで3生協が有している資産(資産、人材、ブランド力)を有効活用することができるとしており、これが合併を進めたい理由として大きいように感じます。
 しかし、事業連合においても、会員生協が莫大な出資金を拠出し合っており(さいたまコープだけで約33億円)、物流施設等への投資は資金の共同化による有効活用が実質的に進んでいますし、人事交流も随分進んでおり、事業連帯でも共同での有効活用の可能性がまだまだあると思われ、合併でなければ困るような状況になっているとは思えません。
 また、3生協が有している資産といっても、それは多数の組合員と職員の長年の協力と努力で蓄えてきたものであり、それを統合することについてはすべての組合員と職員の理解と納得を得て進めていくことが必要ですし、そのためには組合員や職員にとっての相応のメリットや必要性が理解されるような内容が伴っていることが求められます。
 ところが、その内容として書かれている事柄の冒頭には、首都圏内では引越ししても加入の手続きが不要となることを掲げている等、組合員にとってのメリットは、一部の組合員にしか該当しないことや、僅かなものでしかないことを改めて感じさせられます。
 さらに言えば、現状では、ポイント制や宅配手数料の制度、地区毎のコーププラザの施設の配置などが違っており、これらを組合員にとって良いほうに合わせるとすると大きなコスト増となることが予想されるなど、必ずしも効率化と合理化につながらない点があるはずで、いろいろ心配する声が聞こえてきますが、それらがどこまで精査され検討されているのかも不明です。
 こうしたことを見詰めてみると、合併が組合員から歓迎されるような価値ある内容を持っているとは思えませんし、切実な課題となっているとも思えません。

 「」では、会員生協とコープネットの連携が上手くいっていないことが「ともに」の活動が十分に進まない原因とされ、合併すれば、事業と組織、組合員活動との連携が大きく前進するとしていますが、この点は「」で触れた点と同じことで、三つが一つになって巨大化しても、事業連合との二重構造が続く中では、会員生協の主体性を強めない限り、現状と程度の違いくらいのことしか実現できないと思われます。
 その程度なら、事業連帯のなかでも、会員生協が主体性を持って頑張る体制を作ることで事業連合の協力を得ながら実現できるはずであり、3生協が合併する理由としては薄弱といわざるを得ません。

 「」では、「地域の多様性を認識し、社会性発揮と地域貢献をより積極的に進めていくことが重要です」としていますが、これがなぜ合併を進める理由に挙げられるのか理解に苦しみます。
 3生協合わせると260万世帯にのぼる消費者パワーを生かした活動を首都圏の中で取り組むことの意義が強調されていますが、それは日本生協連や中央地連の下でもっと大きな力で共に進める活動と重複することも考えられますし、首都圏3生協が協同して取り組むことが必要な課題は、事業連帯の中でも「ともに」進めることも可能なはずです。
 これまで進めてきている社会性発揮や地域貢献の活動は、それぞれの都県で、自治体や多くの多様な団体との連携の積み重ねの中でこそ実現できたものであり、人的なネットワークが大事な財産であることは言うまでもありません。こうした活動は、合併を進めるよりも、現在の3生協がそれぞれさらに地域に根ざして活動を進めることのほうがはるかに効果的に役割を発揮できることになるはずであり、合併をしないほうが良い理由として挙げるならともかく、合併する理由として挙げることが妥当だとは思えません。

 以上の通り、4点をトータルしても、合併をめざす理由としては納得できるような内容が乏しいといわざるをえません。「」や「」は、合併をめざす理由というよりも、合併を進める場合でも、このように努力しますという釈明のような文章と感じます。
 機能統合を進めてきたゴールとして組織統合(合併)があるという思い込みと、生協法が変わったという環境変化の下で、さしたる意義もなく、切実さも感じられないのに、常勤トップたちが合併したがっているとしか思えず、本当に疑問です。

④「新しい生協のありたい姿」を実現していく力は、合併を進めることで得られるのだろうか?
 
 「住民と自治9月号」に、東京都生協連が進めている「地域生協と医療生協の協同による「福祉のまちづくり」のことが3ページにわたって掲載されています。当面は杉並区、練馬区、北区をモデル地域に設定し、杉並区から取り組みを始めたようですが、将来は全都で展開することを展望しているようです。
 医療生協は東京西部保険生協一つですが、地域生協は四つの生協が日ごろは競合し合っているなかで、どのように連携するのか注目されますが、より地域に根ざして誠実に取り組む生協が支持されることになるものと思われ、最大の地域生協として、コープとうきょうにとっては率先して積極的に取り組むことが重要な課題となるものと思われます。
 さいたまコープの場合は、昨年秋から理事会の諮問を受けて、地域福祉検討会で検討を進めて、先ごろまとめられた「“地域福祉”充実に向けて」の内容に沿ったモデル事業(「弁当宅配事業」、団地商店街等の空きスパースを活用したステーション・ふれあい広場、暮らしの助け合いの新たなとりくみなど)を、慎重に実験しながらも、大切に実践していくことが求められていると思われます。
 それぞれ活動内容は違っても地域社会に根ざして地域福祉活動を進めることが課題となりますし、組合員によるボランティア活動だけではなく、事業として、職員の仕事として取り組むことになりますので、事業運営の中でそれぞれの生協の主体的な取り組みを強めることが必要です。こうした活動は、合併を進めるよりも、現在の3生協がそれぞれこれまでの地域との連携の蓄積を生かして創造的に取り組んだほうが地域社会からの期待により力強く応えられるはずではないでしょうか。
 
 「中間報告」の「4章 新しい生協(組織合同)のありたい姿」では、以下の4点をめざすとしています。
(1) 組合員へのサービス向上を進め、「ともに」の活動をより進めます。
(2) 組合員の多彩な参加を推進し、私の生協と感じる参加感を高めます。
(3) 地域のネットワークへの参加が活発になり、地域貢献をさらに推進します。
(4) 協同連帯の輪を広げます。
 うがった見方かもしれませんが、これ以上急速に大規模化を進めることに対して、組合員から出されるであろう心配や懸念に対応するために検討された内容が、「新しい生協のありたい姿」としてまとめられたのではないかと感じています。こういう当たり前のことをやろうとしているのですから、心配せずに任せてください、合併を認めてくださいと。
 しかし、問題は、「新しい生協のありたい姿」を実現していく力が合併を進めることにあるのか、合併することが本当に「より可能性が広がる」ことなのか、にあります。
 現状ではこれらの点が不十分な原因は、会員生協と事業連合の二重構造の下で、事業と組織のマネジメントが一元化されていないことにあるとされており、だから合併を進め、マネジメントの一元化を進めれば問題が解決され、これらの点が進むようになると論じられているわけですが、そのことへの疑問は、「合併の理由」の「」との関係で先にも述べていますので、ここでは繰り返しません。

 より根本的な疑問は、合併して260万世帯に及ぶ巨大組織となった場合、組合員が現在以上に活力を持って活動を継続することが本当にできるのだろうかという問題です。
 「ありたい姿」の中に、「機関・組織運営のあり方」が提示されています。
 組織の形は都県毎に現状をできるだけ継承することが配慮されているように思われます。
 都県本部を置く、「都県別地域ネットワーク推進協議会」を定例化する、エリア・ブロックを地区の基礎単位として活動の推進をはかるなどです。しかし、行政区ごと、コミュニティごと、事業所ごと、活動分野ごとなどの組織やその運営についてはどう検討されたのか不明です。
 また、都県本部やエリアのそれぞれにどれだけの人員や人材を配置するのかについてはいっさい表現されていません。
 例えば「県本部」を考えてみれば、現在さいたまコープでは理事長、専務、常勤理事、執行役員複数まで擁している体制に比べれば、スタッフを加えても格段に力が減少することが予想されますし、総代や理事の定数も大幅減になるでしょうし、エリアに1名の組合員理事という体制も維持できず、いくつかのエリアで1人の組合員理事ということになるものと思われます。そうなると行政区ごと、コミュニティごと、事業所ごとなどの活動を、組合員活動としてサポートすることができるのか、誠に心許なく感じます。
 組合員活動は人の活動です。当然数も力です。形だけ継承しても、リーダーやサポーターの数が減れば、組合員活動の力を維持することは困難です。
 その分を常勤や半常勤の職員でカバーすることも、これから効率化や合理化を進めていく中では困難と思われます。
 そうした体制の下では、「ありたい姿」を実現する力が持続できるとは到底思えず、合併を進めることで、「ありたい姿」は、絵に描いた餅でしかなくなるものと懸念されます。
 県域を越えて大規模合併を進めることは、多数の組合員の自主的な活動参加という視点で考えると、極めて困難な条件を作り出すことであることをリアルに見詰めるべきです。
 県単位の生協である現状でも、組合員の活動参加が著しく弱まってきていることが現実であり、それをどう立て直すかということこそが3生協それぞれの最重要の課題のはずです。
 本当に「ありたい姿」を実現したいと考えるのであれば、現在の事業連帯の中での弱点を克服していくことにまず全力を尽くすことこそが必要なのではないでしょうか。

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