コラボ・コープOB

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組織合同検討委員会「中間報告」への疑問  その2

[大友弘巳]
2、「中間報告」の内容についての疑問
① 合併の検討の前にやるべきことがあります

 「中間報告」を読んでみて、「合併の検討の前にやるべきことがある」ことを痛感しています。
少なくとも二つのこと、事業戦略の抜本的な見直し・転換の検討と実験、及び、差し迫ったコスト構造改革の検討と実践が必要と思われます。
 「中間報告」では、「これまでの到達点と今後の課題」の中で、「新たな課題」として第1に、会員生協の収益構造の大幅悪化と経営の危機が取り上げられていますが、こうした事態を招いたことについての総括、問題点の整理がされておらず、事業革新の具体的な戦略も見えません。
 これまでの流れでの延長線では事業的にも行き詰りが迫っている中、大きな転換が必要になっていると思われますが、そのような議論がされた様子はうかがえません。
 6月の総代会の総代会で配布された「資料集」の中に報告されている「第2期中期計画(2010年~2012年)」を見ても、事業戦略の見直しや抜本的な改革の検討はされておらず、もっぱら「経営構造改革」として業務組織統合、人件費構造改革等スリムで強靭な経営構造の確立が強調されているわけで、従来の戦略の延長線の下での「コスト構造改革」が基調になっていることが分かります。

 しかしそれだけでは、生協が存在価値を高めて役割を発揮しながら持続的に発展を続けることが難しくなっている、と考えなければならない状況ではないかと思われます。
 日本生協連では、「生協の2020年ビジョン」の全国討議を開始しており、そこではビジョンを考える「前提」として「ICA声明」についての再学習を大切にしようと呼びかけており、「レイドロウ報告」や「協同組合の価値・原則」「ベーク報告」に遡って学ぶと共に、日本の生協の40年の歴史も振り返って今後への展望を検討することを提起しています。
 抜本的な見直し検討が必要な時と言う認識に立っているように思われます。
 大きく転換を進める場合は、広域合併ということより、それぞれの地域に根ざして、各生協が組合員との結びつきを深める方向で事業の再構築を進めていく方向を戦略とすることも考えられます(それこそが組合員が望んでいることではないだろうかと思われます)。
 この後は、合併の検討をさらに深める前に、全国的な議論に歩調を合わせて、事業戦略の抜本的な見直し、転換の検討と実験を進めることが必要なのではないでしょうか。

 もう1点、「コスト構造改革」についても、特に多数の組合員や職員の理解を得て進めることが必要なことがらについては、合併の検討の前に、それぞれの生協の責任で進めるべきとだと思います。 
 合併を進めたからといって、事業所段階ではそれほど大きなコスト削減が進むことは考えられませんので、赤字店舗の閉鎖を急ぐとか、人員削減を進めることなどの検討が想定されますが、そうした問題は本来、新生協に持ち込むべきことではありません。なぜなら、それらの問題に取り組むときは、多くの場合、内部での不信や対立を招き、発足したばかりの新生協の運営を困難に陥らせる危険が大きいからです。
 09年度、さいたまコープは辛うじて赤字にならずに済んだというのが経営の実態でした。 今年度の第1四半期も供給の前年割れが続いており、年度の経営見通しは昨年同様、あるいはそれ以上に厳しい状況と思われます。
店舗や宅配の事業革新、思い切った改革や転換が進まない限り、赤字転落が目前に迫っているわけで、コスト構造改革も差し迫った課題であり、店舗閉鎖や、人員削減など痛みを伴う対策も必要かもしれませんが、それならば、さいたまコープの経営の問題はさいたまコープの責任で取り組んで解決すべきと思います。
 合併への合意を求めるためには店舗閉鎖や人員削減を提案することはタイミングが良くないからといって、合併の提案の都合を優先して、店舗閉鎖や人員削減については先送りするような考えは正しいと思えません。
 もし、どこか一つの生協でも赤字に陥れば、組合員の不安や不信が高まって、合併の承認を得ることが困難になることは事実でしょうが、だからといって赤字が表面化する前に急いで合併を進めてしまおうと言う考えも妥当とは思えません。
 合併の検討の前にやるべきことがある。そしてそれぞれの生協の責任でそれらをやりきってこそ、合併を語る資格が得られるのだと考えるべきではないでしょうか。
 かつて県内合併を進めてきたときは、それは常識でした。
 事業戦略の転換の実験、及び、コスト構造改革の検討と実践、いずれも膨大なエネルギーを必要とすることであり、それらに全力を尽くして取り組むべきときであり、今は合併の検討を進めたり、それを承認してもらうことに膨大なエネルギーを費やしていて良いときではないはずです。

② 意思決定の一元化は万能か?
 「中間報告」では、「新たな課題」の第2として、コープネットと会員生協がそれぞれ意思決定機能を持っていることを以下のように問題にしています。「日常執行の中で会員間の意見を調整するために多くの時間と労力を費やし、グループ全体としては事業環境の変化に適切かつ迅速に対応できない状況が生まれ、会員生協にとっては政策立案のプロセスや論議などの状況がみえづらく組合員から見たときにわかりにくい組織構造となっています」としています。
 次いで、「新たな課題」の第3として、会員生協とコープネットの間で委託・受託の関係を取っていることを以下のように問題にしています。「組合員・消費者への説明責任を一般の企業以上に果たす努力を会員生協は続けており、組合員への説明責任はコープネットとの委託・受託以上のものが求められる中で、トップマネジメント責任やマネジメントの一元化を、委託・受託関係の範囲でしか対応できない制度的な問題が横たわっています。」
 さらに、「新たな課題」の第4として、コープネットと会員生協の役割分担がされていて連携がうまく行っていないことについて以下のように問題にしています。「コープネットの事業機能と会員生協の機関、参加とネットワークがそれぞれ別々の組織で進められていて、本来は生協の強みである『ともに』の活動が十分でないことです。
 大変分かりにくい文章ですが、現在まで3生協がそれぞれトップを擁して頑張ってきたことの重要性を否定し、生協法や定款に基づいて事業連合と会員生協が役割分担をしていることの意味を否定し、事業連帯の中でもやろうとすればできるはずの事業と組合員活動の連携を連帯組織のせいにして、結局この3点を合わせて、すべてを一人のトップの下に集権化することが必要だという論拠にしています。
 それは、つまるところ巨大化と集権化こそが今後の生き残りのための必要条件というものの見方であり、資本主義的事業経営とまったく同じ価値観といわざるを得ませんが、それで本当に生協としての持続的発展の展望が開けるのか、多数の組合員からの支持が得られるのか、大いに疑問です。
 なぜ、第2、第3、第4のような「新たな課題」として掲げられているようなことが起きているのか、その要因を率直に見詰めて解明し、それを克服するようにしなければ、組合員からの期待に応えられないし、職員からの深い共感を得ることも難しいのではないかと思われます。
 例えば、事業政策を巡る会員生協(現場)とコープネット(本部)の意見の違い、事業連合の定款で定められている役割分担(責任分担)とマッチしていない機能統合の矛盾による責任の不明確、店舗や宅配の事業所現場へのサービス機能としての本部の役割を果たすよりも本部(事業連合)からの上意下達的傾向が強い運営、多様なニーズや競争の変化のスピードに対応できにくくなっている事業所、トップ同士の信頼関係が崩れていると感じられる状況、などなど、本当の問題を率直に議論し、克服して行くことが重要になっていると思われます。
 合併を進めて一人のトップにのもとに集権化すればこれらの問題や矛盾がすべて解決されうまく行くようになると言い立てることは、あまりにも楽観的というか、現実から目をそらすことに他ならないように感じます。
 ヨーロッパの生協の経験も、合併を進めて成功しているイギリス、あるいはさらに進めようとしているイタリアの事例もありますが、フランスやドイツの場合は急速に合併を進めたことが、連合会も含めて全国的に生協が一気に破綻する原因となっており、合併推進による意思決定の一元化が万能ではないということはよく知られていることです。
 日本の生協の場合、店舗事業は依然として赤字続き、共同購入・宅配の事業も成長が止まってきて、このままでは行き詰ることが懸念される状況にあって、これからどう進めるのかを見定め、一定の見通しを立てることなく大型合併に走ることは、危険な賭けとなるといわざるを得ません。にもかかわらず合併を進めたいのであれば、成功させられる可能性が高いと考える根拠を説明する責任があるはずです。

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| | 2010年08月16日(Mon)23:16 [EDIT]


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