コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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なぜ、「3生協合併」に賛成しないか    ~その4

[大友弘巳]

4、「自立と協同」の事業連帯が力を発揮する時代
①コープネット事業連帯が目指したもの
《「自立と協同」を連帯の理念に》

 東関東5生協が協同して「東関東コープネットワーク」を設立したのは1990年のことでしたが、その連帯のあり方の議論に決定的な影響を及ぼしたのは、1989年のヨーロッパの生協の視察でドイツとフランスの生協の失敗の経験から学んだことでした。    
 ドイツでもフランスでも、連合会主導で統合合併を進めた中で、連合会と会員生協の間に「請負いともたれあい」の関係が深まってしまったことが、会員生協だけではなく全国連合会も合わせて一挙に崩壊する結果をもたらした、という事実の詳細を生々しく聞くことができました。(このことについての詳細は、昨年11月16日のこのブログページに、「生協間の連帯について学んだこと~ベルリンの壁崩壊の年に」で紹介しています。) 
 東関東の5生協は、当時はまだ県内での合併を推進していた最中でしたが、県域を越えた事業連帯に当たっては、ドイツやフランスの失敗を繰り返してはならないと話し合い、「請負ともたれあい」に陥ることのないようにと戒め合い、「自立と協同」を連帯の理念とすることを確認し合いました。

 その後、1997年に日本生協連の場で全国の生協が議論して「生協の21世紀理念」を検討し、「自立した市民の協同の力で人間らしいくらしの創造と持続可能な社会の実現を」と定めることになりました。
 この理念との関係でいえば、「自立と協同=自立した生協同士の事業連帯の力」は、「自立した市民の協同の力で」に整合する連帯の理念として妥当性があったと考えられ、これからも大切にすべきことではないでしょうか。

《「ネットワーク組織」をキーワードとして》
 1988年に発刊された「ネットワーク組織論(今井賢一・金子郁容共著、岩波書店)」は、当時の大きな社会変化、脱工業化社会、高度通信情報システムの発達の下で、複数の企業が集団として提携を広げ、それぞれ自立性を持ちながらも密接な相互依存関係にあるという分業(=ネットワーク分業)の新しい形の登場を取り上げていました。
 事業革新や変化対応などについてネットワーク組織が有効で、強靭さを発揮すること、その根拠が現場発の場面情報の連結と活用にあることなど、「自立と協同」を理念とする生協グループの事業連帯を築いていくことに確信を与えてくれる組織論でした。
 これを学んで、東関東5生協の連帯のあり方を表現するキーワードとして「ネットワーク」がふさわしいという議論になり、連帯組織の名称を、任意団体段階では「東関東コープネットワーク」、1992年、事業連合法人を設立するに当たってはシンプルに「コープネット事業連合」とすることになりました。
 以後に作られた他の事業連合でも、東北や中四国など、「ネット」を名称の中に取り入れたところがあり、コープネットグループと同様に、リージョナル事業連帯組織のあり方としてネットワーク組織がふさわしいと考えられたものと思っています。

《コーペラティブチェーンの成功モデル、「ウェークファン」から学ぶ》
 5生協事業連帯の準備過程で、「自立と協同」の事業連帯の成功事例として、大学生協の事業連合、地域生協の初の事業連合「北関東協同センター」などからも学ぶ点がありましたが、5生協が連帯の重点課題としていた店舗のチェーン作りという点での成功事例として確信を与えてくれたのは、アメリカ東部ニューヨーク大都市圏のニュージャージ州を中心とするエリアで、食料品小売業としてNO1のシェアを確保して発展していたコーペラティブチェーン「ウェークファン・グループ(店名はショップライトで統一)」でした。
 (「ウェークファン・グループ」については、当ブログの1月16日付けのページ、「事業連帯のあり方を考える~機能統合の最適化について」でも紹介しています。ホームページのURLは、http://www.shoprite.com/wakefern/
 独立小売商やローカルチェーンが協力共同し合って、大規模小売業(レギュラーチェーン)の持つ本部機能やボランタリーチェーンを主催する卸売り業者の機能に相当する機能を、事業協同組合組織として構築し、アメリカの名だたるレギュラーチェーンの店舗と激しく競合しながらも発展を持続していたのです。(現在も200店舗以上で発展を持続)
 ウェークファンの幹部が「各会員企業は、大手レギュラーチェーンと同レベルの商品部、物流、情報システムなどのバックアップシステムを活用でき、店舗運営には各会員オーナーがベテランの商人の心と腕を持って顧客サービスに当たる、この二つの組み合わせが最強の競争力となっている」と述べていたことが印象的でした。
 アメリカには「CGCグループ」などほかにもコーペラティブチェーンがあるものの、多くは共同仕入れが主であり、ウェークファン・グループは特別な成功事例かもしれませんが、メンバー企業の結束次第ではそこまでできるということが実証されているのです。
 レギュラーチェーンは強く、コーペラティブチェーンは弱いなどと凝り固まって思い込んでいるのは正しくありませんし、特に変化と競争が激しくなればなるほど、顧客からの信頼、店舗現場の強さが重要なポイントとなっていることを重視すべきと思います。

②機能統合の高度化の下で生じてきた問題について
《「自立」と「協同」の両立には、自覚的な努力が必要》

 「自由」と「平等」の関係がそうであるように、「自立」と「協同」は、相克しあう関係があります。
 「自由」が行き過ぎると「平等」を突き崩す原因となることがあり、「平等」を徹底化すると「自由」を制約する原因となることがあるように、「自立」を強調しすぎると「協同」を軽視する原因となることがあり、「協同」を最優先にすると「自立」を妨げる原因になることがあるからです。
 十分な知識と情報の共有化、及び、会員生協と事業連合事務局の信頼関係を築きながら、「自立」と「協同」のバランスについて的確な判断の一致を見出すことが、コープネット準備段階以来の重要な課題でした。
 コープネットの創業期において、会員生協によっては「自立」志向が強く、共同化の拡大に消極的だった時期があり、共同化が進まないことに他の会員が困ってしまうというような事態を生じたことがありました。 「いいとこどり」だけでは、連帯による成果も限られ、事業連合の維持も難しいわけで、会員生協には「自立」と「協同」を両立させることへの自覚的な努力が常に求められることを忘れてはならないと思います。 
 コープとうきょうがコープネットへ加入するに当たっては、とうきょう、さいたまの2生協は合併を進めるくらいの決意で本部機能の共同化を進めることが話し合われました。(10年前のことですから「合併」を検討したわけではありません)
 それまでさいたまコープが中心になって作ってきたコープネットのチェーンシステムと、コープとうきょうが独自に作ってきたチェーンシステムとを統合し一元化することでしたから、諸々の機能を総合的にすり合わせ、一本化することが当然のこととして必要でした。
 商品部や物流や加工のセンター、情報システムなどの共同化・一本化は、機能のレベルアップや効率向上、コスト削減に大きく貢献したと思われます。
 経理や総務の事務処理サービスなどでも、共同化したメリットがあったと言えます。
 問題は、店舗事業と共同購入・宅配事業の運営部機能まで統合を進めたことです。
 運営部は、それぞれの事業に対するトップマネジメントを補佐する機能であり、当然、事業経営の結果責任を負う人の指揮に従って職務を果たさなければならない機能です。
 それを事業連合に委託してしまってよいものかどうか、「自立と協同」の理念に照らしても、「自立」と「協同」の両立のバランスからしても問題があると思います。
 この機能を事業連合に集約して共同化したことが、会員生協のマネジメント力を弱め、自立性を損なうことにつながっている様子が感じられます。 また、このことが組合員との関係でも、会員生協トップの対応力を弱める要因になっているように思われ、生協として深刻な問題になっていると見詰めています。

《マトリックス組織にしてしまったことによる困難性》
 運営部機能を事業連合に集約したことにより、結果として現在は事業連合と会員生協のマネジメントの関係が、職能別と地域別の二つの軸で構成されるマトリックス組織の構造になっています。
 事業連合の店舗事業担当役員、宅配・デリ担当役員と3生協の専務理事がそれぞれ店舗や宅配・デリセンターに関わって、現場情報を把握し、トータルで遺漏のないようにマネジメントやサポートをできるようにしているはずですが、このようなマトリックス組織の大きな問題点は、事業連合の担当役員と会員生協の専務理事という二人のトップが現場をマネジメントするために、しばしば両トップの意見が異なることにより、コンフリクト(不一致、対立)が生じるという「マトリックス問題」が起きています。
 一番困るのは現場で働く人たちですし、両方のトップも悩んでいるのかもしれませんが、結果として業績が上がらないということになっているのではないでしょうか。
 70年代80年代に多くの企業でマトリックス組織導入がブームになったことがあったようですが、近年はほとんどすたれてしまっており、企業のダウンサイジングや分社化が進められ、企業グループや企業間の戦略的提携などで、役割分担をしながらネットワーク組織として再編する方向に進んでいると言われています。(「ネットワーク組織」若林直樹著、有斐閣刊参照) 店舗の業態統一とか、宅配・デリの仕組みの統一の時期など、混乱を避けるために短期間プロジェクトチーム的に運用するのならともかくとして、恒常的にこのような組織を続けることは適切とは思えません。

《事業連合による行き過ぎた「請負い」になっているのでは?》
 3生協の店舗運営部と共同購入・宅配運営部の機能がコープネットに集約されたことにより、コープネット事業連合事務局は、擬似レギュラーチェーン本部のような機能とそれに伴う権限を持つに至っています。
 同時に、3生協の本部には組合員組織への対応の機能以外には、僅かな人数の役員とそのスタッフしか残っていない状態となり、独立した生協の本部機能としてあまりにも脆弱になってしまい、事業所長や職員に対する指揮命令を十分に行き届かせることが難しくなってしまっているように見受けられます。
 一方では、例えばさいたまコープは、この間SMを5店舗出店して、内3店舗は投資回収のめどが立たない状況と思われますが、店舗開発から商品部、運営部までコープネットへ委託しているにも関わらず、応分の経営責任をコープネットに求めることはできません。
 コープネットの定款では、事業の範囲は一般の卸売り事業者ができる事業の範囲に準じており、会員生協の事業の運営指導機能まではコープネットの事業の範囲になっていませんので、実態としては担っているとしても、結果責任を負うことはできません。もし、何らか保障しようとしても公認会計士からは否認されるはずだからです。
 (このように定款に定められている事業以上のことを受託していることは行き過ぎた請負いであり、現状はコンプライアンス上も問題となることではないかと思っています)
 つまるところ、店舗や共同購入・宅配の事業の経営責任は、会員生協がすべて追わなければならないのですから、それができる体制を会員生協毎に築くべきです。
 店舗事業を成功させるためには商品部と運営部が一体でなければ難しいという意見も聞いていますが、それは、本当にそうなのか、供給企画やスーパーバイジング機能などであれば、それは商品部機能の一部とすることで対応できることだと思われます。
 他のスーパーマーケットのコーペラティブチェーンではできていることが、コープネットではできないということはありえないはずです。
 ましてや共同購入・宅配の場合は、商品部と運営部が一体でなければ難しいなどという理屈はまったくないはずです。

《合併は成り行きで進めてよいことではない》
 せっかくここまで統合を進めてきたのだから、見直すことよりもいっそのこと合併を進めた方が良いのではないかとの発想があるかもしれませんが、合併という大事を常勤トップたちが進めてきた機能統合の成り行きで進めてよいとは到底思えません。
 東京都生協連の60周年記念事業の一つとして取り組まれている「東京の生協運動史」の講演会で、先日、前日本生協連副会長、元コープとうきょう理事長の田中尚四さんから、以下のようなお話がありました。「県域を越えた合併ということは良く考える必要がある。事業連合でもやれていることが多い。合併すればなんでもうまく行くのか。合併できることになったのだからということで、成り行きで進めてよいことか。店舗は首都圏単位での共同が必要だが、宅配事業は都県内での共同化が大事だと思われる。」
 私もまったく同感です。
 生協法が変わって合併できることになったのだからとか、ここまで統合を進めてきたのだからという成り行きで合併を進めて行ってよいとは到底思えません。
 創業時から関わってきた者から見ると、大型合併には懸念が多く、さしたるメリットも感じられず、慎重に考えるべきとしか言いようがありません。
 創業世代の人々の多くが同様に感じ、心配していることを真摯に受け止めてほしいものです。
コープネット事業連合は、日本の地域生協の事業連合として最大の規模であるばかりではなく、先駆的な実践を進めてきたと言えます。
 これからますます変化と競合が激しくなる時代に対応していくためにも、当面の困難を乗り切るためにも、この間の試行錯誤を総括して、「自立と協同」の事業連帯の前進を急ぐことを期待しています。

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コメント


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『生協の持続的発展を願って』を読み終わりました

こちらのブログで読み落としている記事もあり、著書としてまとめられた『生協の持続的発展を願って』を読ませていただき、あらためて大友さんの主張に筋が通っていると共感を強めました。
中でも、こちらの記事にある以下のくだりにあらためて驚かされました。
>前日本生協連副会長、元コープとうきょう理事長の田中尚四さんから、以下のようなお話がありました。「県域を越えた合併ということは良く考える必要がある。事業連合でもやれていることが多い。合併すればなんでもうまく行くのか。合併できることになったのだからということで、成り行きで進めてよいことか。店舗は首都圏単位での共同が必要だが、宅配事業は都県内での共同化が大事だと思われる。」
こちらのコラボ・コープOBで3生協の合併についての記事の記憶をたぐってみて、かつて日本生協連の副会長、専務理事、常務理事だった方々(それも地域生協のトップ経験者)が今のようなすすめ方に異議を唱えられているということの異常さが浮かび上がっていると思いました。
今の3生協のトップの方々は、先輩方の支持も得られないような合併をしゃにむにすすめていることをどのように思っているのか、聞いてみたいです。

3生協合併に憂慮する者 | URL | 2012年04月03日(Tue)22:12 [EDIT]


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