コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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なぜ、「3生協合併」に賛成しないか、   ~その2

[大友弘巳]

2、組合員からの信頼と支持を回復することこそが根本課題
―― 合併は、それをより困難にする


①後退を続けている出資・利用・運営参加

<90年代から始まっていた後退>

 生協が他の企業との競争の中でも発展を続けるためには、「組合員の力」、「役職員の力」、そして「連帯の力」の三つがそれぞれ強まることが必要ですが、とりわけ他の企業には真似できないのが組合員の力であり、生協の事業や活動に賛同して組合員自ら協力共同しあうのが生協にとっての生命力であることは、ロッチデールの先駆者以来の伝統です。
 日本の生協の強みは、組合員の出資、利用、運営参加の三位一体の活動が積み上げられてきたことによる「組合員の力」の強さにありました。
 近年のヨーロッパの生協と比較してみると、日本の生協がここまで発展する上で、いかに組合員の三位一体の協同の力に支えられてきたかを強く感じます。
 しかし、組合員が増え、生協への加入率が高まってきた中で、組合員の中に組合員意識が薄い人たちも増え、生協の理事会や役職員の側でもそのことに慣れっこになったり、生協が多数者の組織になる中では組合員の力が薄まるのは仕方がないと言う考えに陥ったり、考えはそうではないにしても、実践的には組合員からの生協への理解や信頼を高める努力をおろそかにしている傾向が広がってきたように思われます。

 さいたまコープの歩みを振り返ってみると、創業の時期の70年代はもとより、県内統合を進めて今日のさいたまコープとなった80年代も、組合員が急速に増えただけではなく、一人ひとりの出資も増え、利用も増え、運営参加も広がって行った時代でした。
 しかし、90年代の10年になると、組合員は90年初の29万人から00年度末51万人へと1.74倍に増え、出資金は76億円から158億円へ2.07倍に増えたものの、供給高は720億円から999億円へと1.4倍弱にとどまり、組合員一人当たりで見ると、出資金はまだ117%に伸びていたものの、一人当たり利用高は80%弱ほどに落ち込みました。
 出資金は積み立て増資の定着などで協力が続いていたのですが、肝心の利用については、少なからず落ち込んでおり、今思えばもっと深刻に危機と捉えることが必要な事態でした。

<00年代は後退が急加速>
09年度の組合員数は82.4万人、出資金は229億円、供給高は1,032億円弱と、00年初及や00年度との対比ではそれぞれ161%、145%、103.3%となっており、組合員一人当たりで見ると出資金は90%、利用高は何と約64%に落ち込んでいます。
10年スパンで見ると、組合員からの信頼と支持の後退や希薄化が著しく、特に利用については危機的な状況にあることが痛感されます。
 さまざまな要因が考えられますが、いまは、組合員一人ひとりの出資や利用のデーターが共同購入・宅配、店舗を合わせて集積されているはずですから、詳細な分析が可能なのではないかと思われますが、そのような分析や、それに基づく戦略の見直しなどの動きは残念ながら聞こえてきません。
 信頼と支持を低下させた原因として大きかったのは、商品の偽装や表示の問題を度重ねたことやギョーザ事件など、生協自身の失態ですが、それだけではなく、生協が努力してきたことを他の流通業者も取り入れてきたことにより生協の優位性が薄れていること、組合員を生協の主人公としてではなく単なる顧客としてしまっている傾向、役職員の日常の対応の不十分さなど、さまざまな要因が積み重なっているように思えます。
 そうしたことの結果として、この間、多数の新店を開店し、宅配のセンターや物流施設等にも巨額の投資をしてきたにも関わらず、組合員一人当たりの利用が大幅に落ち込んだことにより、事業経営の構造は高コスト体質となり、それをカバーするために高GP率化が進んで価格競争力を失っており、閉塞状態に陥りつつあります。
 こんな状況で、この次の10年の見通しをどのように描くことができるのでしょうか。
 これは、さいたまコープだけの特殊な事例ではなく、多少の差はあれコープネットグループの会員生協に共通した状況と思われます。
 これからますます変化や競争が激しくなる中で、数値での長期計画や目標を立てることは難しい時代になっており、かくありたいという方向性を的確に見極めることが大事になっています。
 合併を進めて規模拡大によるメリットを追求することが適切なのか、組合員からの信頼と支持を回復することに全力をあげ、一人当たり利用高を高め、個々の事業所、個々の生協を強めることを大切にする方向へ転換することが適切なのか、を検討することが必要になっている、いままさに岐路に立っているのではないかと思うのです。

②福井県民生協やコープみやざきの実践に注目
 日本生協連が発行している「生協運営資料252号、2010年3月号」では、「今あらためて問う! 生協の価値・理念・意義とは?」と特集を組み、4つの生協(福井県民生協、エフコープ生協、大阪いずみ市民生協、コープみやざき)の実践を紹介しています。
 全国的にコープネットグループの生協と似た状況で供給ダウン、経営困難化が広がっている中で、この4生協は、組合員からの信頼と支持を高めて、事業経営の強化を着実に進めている事例として取り上げられています。
 特に、福井県民生協とコープみやざきは、過疎地で人口減が進んでいる県で、すでにそれぞれ県民世帯の45.4%、49%が生協に加入しており、地域の中での存在感やシェアは全国的に見ても上位の水準に到達しています。
 両生協とも、組合員数や供給高の規模では中位にあり目立ちませんが、共同購入・宅配だけではなくSM店舗作りも着々と進めており、事業経営の内容は大手の生協より立派なレベルに到達しているように思われます。

 福井県民生協の活動で注目されるのは、利用の高い組合員を「コア組合員」と捉え、その人数を増やしていくことを目標とし、利用人数全体の中での「コア組合員」の構成比を高めること、供給高全体の中での「コア組合員」の利用高の構成比を高めることまでデータを出して、組合員一人ひとりへの役立ち度を高めるための努力への評価と受け止めて日常ふだんに意識し続けるようにしていること、組合員の運営参加、活動参加についても地区ごとに、変化を把握するようにしていることなど、ユニークな工夫がされています。
 こうした努力の総体を「経営品質」活動として取り組み、福井県民生協の総力を挙げて、長期間粘り強く取り組んできたことで、着実に力をつけて確信を深めているように感じます。

 コープみやざきは、職員全体で組合員の声を「聴いて」「生かし」「返す」活動を長年にわたって積み重ね、組合員との強い信頼関係を築いてきた生協として知られています。
( 販売者ではなく)買う側の視点に立って、求められる商品を一つひとつ丁寧に品揃えし、開発し続けることを地味にやり続けることに徹し、組合員からの信頼と支持を高める努力を積み重ねてきています。
 「『組合員さんも職員もお取引先も満足が得られるすごい組織』『生協の思想を堅持しながら、環境変化にも柔軟に即応できるすごい組織』をコープみやざきは目指したいと思う」という考えで長年実践し続けてきた結果が、県民世帯数対比共同購入利用人数で、ならコープ20%に続く全国第2位(18.2%)、店舗は13店舗を運営して黒字経営を維持、などの実績に繋がっています。
 生協労連の調査結果では、コープみやざきの職員の「展望あり、働き続ける」への回答が51.2%(コープネット労組では22.5%)と全国一高いことも、こうした取り組みの結果と考えられ注目されます。

③組合員からの信頼と支持の回復と向上に総力を
 既に生協への加入率が高くなっている先進生協では、加入拡大を急いでも難しく、必然的に支持を高めることに目が向くものと考えられますが、福井県民生協やコープみやざきでは、組合員からの支持を高める努力を早くから始めたことによって、結果として、加入率を高め、店舗を増やすこともできたということなのではないかと考えられます。
 福井県民生協が進めている「コア組合員」を増やす努力という視点で考えてみると、さいたまコープは、「組合員自身が進める組合員活動」が活発に広く取り組まれてきた長い伝統を持っており、食料品や日用雑貨の大半は生協を利用することで賄っているという「コア組合員」の比率は、90年代までは相当高かったはずと思っています。
 しかし、組合員からの信頼を裏切るようなことが続いてきたことにより、「コア組合員」の中ですら生協離れが進んでいることも考えられますし、「コア組合員」の高齢化、家族人数の減少、などの変化が進んでいるにもかかわらず、商品企画提案が不十分なことにより、利用高が以前より低下していることが考えられ、まずコア組合員からの、信頼と支持の「回復」のための真摯な取り組みが重要な課題になっていると思います。
 古くからの「コア組合員」の皆さんが、このような事態の下で3生協合併を進めるような道を歓迎してくれるとは思えず、むしろ心配や失望を深められるのではないかと懸念されます。

 また、新たに組合員を増やす取り組みがあまりにも粗雑だったり、顧客としての対応しかできていないことなどにより、新組合員の利用が低いままの状態が続き、「コア組合員」を増やすことが停滞しており、新組合員を増やせば増やすほど、結果として組合員一人当たり利用高の平均値をどんどん引き下げる要因となっていることについて、新組合員からの信頼と支持を高め、「コア組合員」になっていただけるように、一人ひとりの組合員と向き合った新たな創造的な取り組みが待ったなしの課題になっていると思われます。
 これまでのような進め方ではもう行き詰ることが目前に迫っているはずです。
 新年度に入っても供給高の低下は続いているようです。もう茹で蛙状態になっていることをリアルに見詰めるべきではないでしょうか。
 事業連帯のあり方の見直しだけでなく、いまこそ生協のあり方の抜本的な見直し、転換をこそ検討すべきです。
 これから3年がかりで3生協合併を進めようとする姿勢や発想では、転換に立ち遅れてしまうのではないかと危機を感じます。
 今の3生協のトップや理事会がそれぞれ懸命の努力を迅速に開始したとしても容易なことではないと思われるのに、寄り合い所帯の巨大な生協になってからでは、転換はもっともっと難しくなるばかりではないかと懸念されます。
 合併の検討に、貴重な頭脳と時間を使っていて良い事態とは到底思えません。

追記
 以上のところまで書いたところへ、コープネットから部内報「コープル5月号」を送ってくれたのが届きました。
 「コンパス」欄(赤松理事長からの指針提起)を見ると、大見出しが「流れを変えよう、数字を変えよう」となっており、小見出しでは「流れを変えて供給を確保」「組合員の立場に立って」となっており、以前とは提起の内容が変わってきたことを感じます。
 現場が元気に頑張って供給を確保しようと努力することを大事にし、本部も一緒になってそれをサポートするという方向に変わってきたのかなと感じますし、バロメーターは「利用人数(客数)と買い上げ点数」(単なる組合員数拡大ではない)としており、前向きの変化として受け止められます。
 しかし、それは競争で戦っている世の中のスーパーの経営者なら当たり前のこととしてやっていることであり、それだけでは生協らしい強みを作り出すための指針提起としては不十分ではないかと感じます。
 「本部も現場も、迷ったら、他チェーン、外食などを見ること、良いことをまねすること、食べてみること」だけでは、スーパーなどの後追いの同質化競争であり、相手の変化が激しいなか、追いつくことも難しいし、振り回されるだけで終わりになりかねません。
 「組合員さん、職員(特にパート職員)、お取引先も含めた全員で食卓の知恵を集めた売り場を作ることです」という提起は、上記より生協らしい価値創造の可能性を感じますが、抽象的で、具体的にはどうするのかが読み取れませんでした。
 「組合員の立場に立って」と本気で考えるなら、福井県民生協やコープみやざきなどの経験に学び、生協として組合員から親密感をもたれ、信頼され、支持を高められるように、仕事への取り組み方を抜本的に具体的に変化させることを提起すべきと思います。
 もっと根本から流れを変えること期待したいものです。

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