コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

「ヨーロッパの生協からの学び方について思う」

[大友弘巳]

 昨年11月訪欧した視察団の「報告」について 
 日本生協連の部内報「虹流2月号」の巻頭言に、芳賀専務の報告「ヨーロッパの生協を訪問して」が掲載されました。
 昨年11月、日生協長期ビジョン(仮)検討委員会欧州生協視察団が訪欧して学んできたことを伝えているものですので、注目して読んだ次第です。
限られた紙数での報告ですし、芳賀専務自身はICA総会に参加するため途中で分かれ、最後の訪問国スウェーデンには行かれず、スウェーデンの生協の「失敗」の理由や、変更した路線の詳細については調査しきれなかったため、目下再調査中とのことですので、総括的な報告となっていないことは止むを得ないことですが、イギリスとイタリアの生協の成長の状況の紹介のなかで、全国的な合併統合がその共通の要因とされ、読み方によっては合併統合を礼賛しているように受け止められますので、スウェーデンの経験も見極めて、もっと慎重に、総括的に検討した上で、報告をまとめてほしいものと感じました。
 欧州視察については、これまで、とかくの批判の声が聞かれたことがありましたので、今回はそのようなことがないようにと願っています。

 
 芳賀専務自身、「この間、日本の生協は、何度も欧州に視察団を出し、その経験を学び、生かしてきました。しかし、必ずしも欧州の生協の経験や挑戦をタイムリーに掌握して系統的にまとめ生かしてきたとはいえないのが現状です。今回の視察をきっかけに、そうした仕組みを構築することにしたいと思っています」と締めくくりに述べていますので、今後に期待したいものです。

 イギリスの生協の反転攻勢とその要因
 さて、日本生協連の部内報「虹流」を手にする機会を持っている方は少ないと思われますので、芳賀専務の報告の内容を伝えながら、感想を述べてみたいと思います。
 報告では、まず、イギリスの生協について「衰退から反転攻勢に転じている」と小見出しを付けて紹介されています。
 「生活協同組合研究11月号」(これは多くの方が読まれたことと思います)に掲載された藤井晴夫氏からの報告でも伝えられたことでしたが、かつて小売業のシェア20%から2%台まで転落していたのを、昨年、ある中堅スーパーチェーンを買収したことも含めて8~9%まで回復して、流通業グループとして国内第5位の地位を確保するに至っていることが報告されています。
そして、その要因を4点にまとめられていますが、特に注目されるのは以下の2点です。
  ① 店舗戦略の大胆な転換(郊外型大規模店舗から撤退し、住宅地内のスーパーマーケットと100坪以下の小型店に経営資源を集中したこと)
  ② 生協間事業統合の推進(共同仕入れ機構であるCRTGへ商品仕入れと商品開発機能を集中させ、一方でCG=コーペラティブ・グループ生協として、国内生協事業高の90%を占めるようになるまで単位生協合併を推進したこと)

 イタリアの生協の引き続く躍進とその要因
 次に、イタリアの生協について、「国内第1位のシェアを堅持しさらに成長を続ける」との小見出しで紹介され、グロサリーのチェーンストア業界市場で18%シェアを維持し、さらに2009年から3年以内に66店舗(うちハイパーマーケット24店舗)を新設、年間売上高2兆円超へと成長戦略を描いていることが報告されています。
その成長の要因として以下の3点が挙げられています。
  ① 競争相手に先駆けてハイパーマーケットを出店し続け、圧倒的に一番の地位を確保したこと。
  ② 生協間の合併を進行させ、事業の統合を推進したこと。単位生協は9つの拠点生協へ。
   (さらに近年は、9つの拠点生協を3つに統合する議論が開始されている)
  ③ 組合員の参加、民主的運営を徹底したこと(例えば規模第二位の生協では、14の地区で組合員集会を年何回も開催して、決算報告やテーマ別での討議を組織。商品開発に際しては大規模な組合員テストを実施。その結果、支持されない商品は発売しない。テストにかける商品の中で87%は支持が基準に達せず開発をやり直す。だから、「開発しても売れないコープ商品は一つもない」)

 二つの国の生協の経験からどう学ぶか、
 二つの国の生協に共通しているのは、全国的な合併統合を進めたことですが、店舗事業戦略についてはまったく反対の方向を採っており、日本の生協としてどう学ぶのか、この間の店舗事業の不振についての徹底的な総括と合わせて、大いに論議を深めることが必要と思われます。
 また、組合員の参加、民主的運営について、イタリアの経験は学ぶべき点が多いと感じますが、ではイギリスではどうなっているのかが芳賀専務報告では触れられていず、気にかかるところです。
 その点、先に紹介した藤井氏の報告では、イギリスの生協(CG)における組合員組織の状況が報告されており、推定組合員数170万人(日本の地域生協は1,800万人超)と、日本に比べてあまりにも少ないことに驚ろかされます。多分、組合員組織も多くは崩壊状況となって、今、再建の取り組みがされている途上にあるということなではないかと推測されます。

 スウェーデンの失敗の経験からもさらに学びたい
 今回の視察のテーマだったと思われる「全国的な合併統合」について、藤井氏の報告では、スウェーデンの経験も紹介されていました。(このブログの1月16日付の記事、「事業連帯のあり方を考える~機能統合の最適化について」でも少し触れています)
 スウェーデン国内の生協の店舗事業のあらかたを全国的に統合した上で、ノルウェー、デンマークとコープノルデンを設立して国境を越えた事業統合を進めたものの、小売業のコーペラティブチェーン「イーカ」に圧されていたスウェーデンの生協が、結局劣勢を跳ね返せなかったことが主たる原因で「コープノルデン」の解散に至ったようです。
そこまで統合を進めたのも関わらず、なぜ「イーカ」に適わなかったのか、今後どうするのか、などを今回調査されるべきだったと思いますが、その大事な点が調査不十分なまま帰国されたことはくれぐれも惜しまれます。

 合併統合の学び方については慎重に
 このブログ「コラボ・コープOB」の昨年12月13日のページ「『生協は一つ』を考える」でも紹介した通り、ヨーロッパでは、フランスやドイツをはじめ、全国的事業統合や合併を急いで進めた中で、会員生協も連合会も共に崩壊した例が多くあり、統合合併は決して発展のための特効薬ではなく、イギリスやイタリアのこの間の成功が珍しい事例であることを見詰めたうえで、成功と失敗の経験から深く学ぶことが大事と思います。
 事業連合での機能統合ならば、やってみてうまく行かない点は軌道修正することは可能ですが、合併は、やってみた結果がまずかったからといって、元に引き返すことはまず考えられないことですので、慎重の上にも慎重に検討されるべきことです。
 イギリスではなぜ全国的な合併が可能となったのか、どのように検討されたのかなども慎重に深く学ぶことが求められます。
 イタリアの生協も、9つの拠点生協だけではなく、9つの拠点生協も含めて124の生協が事業連合に結集して事業連帯に参加していると聞いていますので、それはなぜなのか、9つの拠点生協への統合が進んだのはどのような検討がされたのか、9つの拠点生協がさらに3つずつまとまって3つの拠点生協にまとまろうとしているのは何故なのか(なぜイギリスのように1つではなく3つなのか)など、知りたいことがたくさん出てきます。

 学び方の改善へ期待
 よその国の経験を学ぶことは大切ですが、成功体験をそのまま、形だけ、上辺だけ真似してうまく行くことはほとんどないと思います。歴史的な積み重ねや、社会的背景や、成功の真の要因を探ってこそ、本当に参考になることにたどりつく可能性があるということではないでしょうか。
 反対に、失敗の経験は参考にすべきことが多く、貴重なのですが、当事者から失敗の原因を聞く機会を作ることが難しく、よほど熱心に機会を求めなければたどりつくことができないのが難点と思われます。(その点では、1989年の視察団が、ドイツとフランスで失敗の当事者に近いところにいた人々から率直なお話を伺えたことは、貴重な経験でした)
 ということで、ヨーロッパの経験に学ぶことは大切ですが、学び方は難しいことを踏まえ、慎重に深く学ぶことを願うものです。
 私も、共済事業を含めると4度ほどヨーロッパの生協視察団に参加させていただきましたが、一度の短時日での視察では、ともすると「群盲像をなでる」ようなことで終わってしまいがちで、部分的には事実から学ぶことができるにしても、それが全体像として正確な認識かどうかは分からないことが多いことを感じてきました。
 初めに芳賀専務が述べていた通り、学び方を改善されることに期待し、同時に、伝え方も改善されるよう願って止みません。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。