コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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「第11次全国生協中期計画」に対する意見

[加藤善正]
  第11次全国生協中期計画(第1次案)が提起され、11・26地連運営委員会での討議が始まった(とはいえ、時間も少なく委員各位にはあまり関心が無いの か、私の発言以外では部分的文句の修正やコープ商品の価格引下げなど、低調な討議内容に終わった)。第10次中計は「日本の生協の2010年ビジョン」の アクションプランとなっていたが、このビジョンそのものも会員生協の参加や論議が不十分なものであったし、私自身は賛同できない内容であり、通常総会においては「反対」の意思表示をしていた。さらに、手づくり餃子事件」の発生とその対処に追われ、10次中計の多くの課題は先送りされ、事業経営結果も厳しいもので終わるという。
 会員生協の経営も元受共済の分離のマイナスも含めて急速に悪化した(経常剰余は3年間で1%以上悪化)中で、日本生協連からの利用 割戻しも出来ないことに対する責任は大きい。
 11次中計を策定する上では、こうした「10次中計そのものまで遡っての評価や謙虚な総括」が求められる。ところがそうした本質的な論調はなく、今後の論議でもどこまで深まるのか、多くを期待することは出来ないのではないか。
そこで、この第1次案に対する運営委員会での私の発言を中心に、今後の日本の生協運動の堅実な発展を願う立場からいくつかの問題点を記すことにする。

 1)「2010年ビジョン」も「第10次中計」も、私が繰り返し指摘し続けたように「組合員の暮らしの現実とその切実な願い、組合員の組織とその運動体としての生協、ICAなどで明らかにされている協同組合としての生協」が軽視され「後景」に追いやられる中で、「ふだんのくらしに最も役立つ事業」を最優先し、株式企業のスー パーなどとの競争原理に没頭し、規模拡大によるコスト削減と事業連帯による構造改革と経営強化の総路線をひた走ってきたといえる。 
 原案は10次中計の結果 が極めて厳しいものであったことを認めながらも、その主な要因を「餃子事故などの一連の商品事故と組合員の信頼の揺らぎ」や「金融危機がもたらした日本経 済の危機や消費不況、少子高齢化・競合他社との比較などによる供給高の低迷」などを上げているが、もっと本質的な要因を解明すべきと考える。
 その中で、やはり「大きくなった組合員組織の弱体化、組合員の生協離れ、日本の生協が協同組合運動としての特質を軽視し、組合員の自覚的購買力の結集としての事業構築の後退」などを、謙虚に総括することが次期中計の出発点になるに違いない。ICAの 「定義・価値・原則」の忠実で継続的な学習・教育・実践が大きく後退している現実、「営業推進部隊」による利用組合員の拡大を優先しても、既存の組合員に 対する「協同組合教育・自覚的消費者(生活者)としての運動展開や不断に高めるべき運営参加とオーナーシップの啓発」などが、どこまで重視され課題化されていたのであろうか。
 巨大メーカーや巨大流通企業がグローバルな商品調達と膨大な宣伝費を使って消費者を取り込み「顧客化」する時代のかなで、組合員も洗脳されマーケットの大き な渦に巻き込まれ浮遊しているのではないか。「自分とって損か得か」「生協もスーパーも同じお店」という意識と存在に押しやっているのは誰の責任なのであ ろうか。
 さらに、最近の日本生協連の方針や計画は極めて「内向き」発想に陥っている。組合員の厳しい暮らしそのものも、生きている人間として幸せを求めている生 活者としての思いや願いをどこまで堀下げているのか、単なる消費者・安く良い品を求めているお客さん、生協の販売事業の業績を上げるターゲットとしての見 方に変質していないか。しかもこうした組合員の日々の暮らしは「地域社会・地域コミュニティ・地域経済」を基盤として成立しており、その地域の厳しい現実 やニーズを協同組合運動体としてどこまで視野に入っているのか。こうした地域の人々の運動や組織と如何に連帯し信頼関係を創造してきたのか。こうしたいわ ば「外向き」の発想や方針がほとんど軽視されてきたことを直視すべきである。
 以上のような、基本的な政策・戦略・総路線の再吟味こそ、昨今の世界的「パラダイム転換期」における「11次中期計画」策定の前提条件ではないか、というのが最初の意見である。原案はこの秋から検討を開始している「長期ビジョン」の中で、こうした論議をするので、「11次中計は10次中計の積み残し課題 とそのビジョンの足元を固めるための中計」といっているが、こうした厳しい結果に終わった10次中計の総括の中でこそ、「長期ビジョン」が会員生協の参加 で現実的な論議になり、その足元を固めるに違いないというリーダーシップが求められる。

 2) 次に「情勢認識」が記載されているが、この内容はきわめてお粗末なものである。当たり障りのない「特徴的な現象」を並べているが、その原因や背景、協同 組合としての理念や理論を視座にした分析も問題解決の方向性も皆無である。すでに国内外の「論壇」や経済学・社会科学・政治学などの学者・研究者におい て、「新自由主義・市場競争原理・行過ぎた規制緩和や構造改革」などの弊害と犯罪的結果に対する評価が行なわれていることは明らかである。そして、歴史 的・理論的・実践的にもこうした「弱肉強食の資本の論理」に対抗する「人間の論理、共生・協同・連帯・相互扶助の論理」に基づく「協同組合運動の新しい価 値とミッション」が国内外で強調されている。国連では「2012年を協同組合年」として、人々の新しい価値観の創造、世界の貧富の拡大や環境・食料危機問 題に対する協同組合の役割を大きく発揮することに希望を託している。
 こうした中で、11次中計の策定において、協同組合としての「情勢分析」を精密かつ詳しく展開し、新しいパラダイム転換期における「協同組合運動のア イデンティティとミッション」に対する、全国の会員生協とその組合員・常勤者の明確な確信と元気の出る中期計画が導き出されなければならない。また、 2500万名組合員の人間としての叫び、不安、希望が「同感」を持って共有化できるような「視座」から、日本の「生協運動」の「運動と事業の一体的展開課 題」が浮き彫りにされる「分析」が求められる。

 3)11 次中計策定の「基調」が述べられている。その「基調」として「組合員のくらしを支える確かな存在であるために、危機意識を持ち、事業経営の構造改革を進 め、事業連帯を強めます」が明記されている。そして「視点」として、①生協への信頼再形成、 ②経済・くらし・事業経営の危機への対処、 ③危機を克服し て未来への展望を開く、が挙げられている。そして、「事業」「経営」「連帯」「組織」「社会的役割」の柱ごとに重点課題が設定されている。
 こうした内容は10次中計とほとんど同じもので、すでに述べた「10次中計」の総括と計画そのものの見直しがないこと、新しい情勢分析不足と協同組合 の今日的アイデンティティ・ミッションの曖昧さ、内向き志向と組合員=顧客視の発想、日本生協連を中心とした事業連帯・合同化路線、などからはある意味で 当然の「基調・視点」とさえいえよう。
 しかし、ここにはわが国の生協運動が求められている新しい社会的ミッションの姿はない。事業連合参加の大きな購買生協以外のさまざまな生協とその組合 員の力、エネルギーを引き出し、連帯と団結を強める視点は完全に欠落しているのではないか。大友氏の「“生協はひとつ”に思う」に書かれている全国の生協 の連帯と信頼を何を「土台・基点」に構築するのであろうか。 
 私は、これまでの日本生協連の路線・政策そのものが、こうした視点で分析されることが不可欠と考える。それは、加入している生協の違いがあっても「生きた人間としての組合員」という共通の視座が貫かれていること、ICAの 定義・価値・原則の徹底した尊重・実践、とりわけ「組合員教育」「協同組合間協同」「地域社会への配慮」の原則を共通の実践課題とする中で、連帯と団結が 必ず強まるに違いないと考える。内向きで、我が生協の事業経営に焦点を当てる政策や方針からは、「違いの主張と拡大」「生協間競争」「人間より効率優先」 の実態がつくられる。
 岩手の生協は、「“生協運動”は運動と事業を一体的に展開する」、「事業経営は組合員の願いと生協運動のロマン・理念の具体化」、「“運動”を“活動”などと矮小化しない」、生協はいくら大きくなっても古くなっても「組合員自身のものである」、「ICAメッセージと生協の歴史を中心に協同組合教育・広報を不断に重視する」、「地域に根ざし役立ち・信用され・サポートされる生協」、「ICAメッセージの忠実な実践なくして生協も資本の餌食になる」、「資本主義システムの中の生協はいつも思想の危機に直面している」などを、繰り返し強調してきた。

 私は50年近い岩手における生協運動の中で、日本生協連の指導と支援の大きさと作用力を痛感してきた。したがって、その総路線がより多くの会員生協とその組 合員・常勤者にとって、大きな励ましと正しい方向性を示してほしいと念じ続けてきた。こうした立ち位置から、「第11次中期計画」が充実したものになるよ うに、一層努力をしたいと考えている。


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