コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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「生協は一つ」を考える

[大友弘巳]

 ギョーザ事件がおきた時、マスコミや有識者はじめ多くの人々から、「生協は一つ」と思っていたのにそうではなかったのかと批判を浴びたことを忘れてはなりませんし、そういう批判を繰り返し招くことのないようにしてほしいと願っていますが、このところ驚くようなことが耳に入ってきます。

 一つは、共済生協連合会分立の動きのことです。
 共済事業は会員生協ごとに元請け事業を持っているのは加入者保護の点で問題があるとのことで、生協法改正の中で元請けを連合会に集約することになり、しかも兼業禁止となったので日本コープ共済生活協同組合連合会まで設立したわけですが、いくつかの事業連合グループでは、それとは別にそれぞれが共済生協連合会を設立する動きになっているようです。
 共済事業は、加入者保護の観点で言えば、一つに大きくまとまったほうが良いことは明確であり、また、商品開発、システム開発、資産運用など、共済事業の根幹はいずれも大きくまとまったほうが有利となることも常識です。

 共済生協連合会をいくつも作って分立することは、お互い様マイナスではないかと思いますし、ましてや競合し合うようなことになれば、さらにマイナスです。共済を利用している組合員との間でどこかの生協がトラブルを起こしたりした場合、またまた、生協の共済は一つではなかったのかと批判を招くことになるものと考えられます。
 地域の中では、県民共済や全労済とも競合していて、コープ共済が必ずしも優位性を確立できているわけでもないのに、あえてベストの体制で望もうとしないのは何故なのか、理解に苦しみます。

 二つめは、宅配事業の手数料半額化の動きのことです。
聞くところによると、関東の某事業連合グループでは、宅配の手数料を半額に引き下げることを準備中だということです。
 それを聞いた他の事業連合が対抗策を検討しているという話も聞こえてきます。そうなると首都圏全体に手数料引き下げ競争が始まることになる可能性があります。
 加入してくれれば数週間は手数料を無料にしますという方式の競争がかねてからエスカレートしてきていましたので、こうしたことに繋がる予兆はあったわけですが、今年の上半期に見られたように宅配事業の伸び悩みと収益性低下が著しく進んできたなかで、なぜ、いまこのようなことをやろうとするのか、これも理解できません。
 手数料が安くなれば助かると喜ぶ組合員もいるかもしれませんが、生協の経営が行き詰まり、赤字になっても喜んでくれる組合員は多くないと思います。
 一般の流通業者の通信販売やネットスーパーなどなら、儲からなくなればその事業を止めれば済むことですが、生協にとっては存続できなくなるかもしれないという問題です。
 生協全体に影響を与えるかもしれない問題で、それぞれのグループが独自の判断で自分のグループの生き残りのことだけを考えて突っ走ることは、「仁義なき闘い」とも見え、世間から見れば、「生協は一つ」どころか、生協同士の対立抗争としか見えないはずと思います。


 三つめは、県域を越えた生協間の組織合同(合併)の検討の動きのことです。
 各都県の拠点的生協同士での組織合併の検討が、いくつかのグループで始められようとしています。コープネットの場合は「(組織合同も選択肢のひとつとして)新たなレベルの協同のあり方を検討します」ということなので、ストレートに合併を目的とするような検討ではないようなニュアンスですが、どんな内容の検討がされるのかが注目されます。
 既に、個人的見解として以下のような考えが聞こえてきています。
 「90年代に県内合併を進めてきたことで日本の生協は発展してきた。県域を越えた合併は生協で規制されていたからできなかったが、ようやく生協法が改正されたのだから今度は県域を越えた合併の検討を始めてよいのではないか」とか、「『生協は一つ』と社会からは見られているのだから、それぞれ地域ごとに分立しているのではなく一本化していくべきだ」とか、「イギリスなど外国の生協で全国的な合併を進めている例に学んで、合併統合を進めていくべきだ」など。
 これらについてはもっと深い内容があるのに、私の受け止め方が表面的だという批判はあるかもしれません。しかし、いずれも、私が聞いてきた限りでは、現在の日本の生協運動の到達点についての深い分析や、問題点の摘出や、今後の方向についての真摯な検討を踏まえての考えとは思えないレベルで語られているように感じます。

 県内で合併を進めてきたことが今日の発展につながっていることは事実ですが、その中でよかったことばかりではなく、困難や問題を抱えてきた側面もあることも見ておく必要があると思います。
 また、県域を越えた合併ができなかった代わりに、大きな地方単位(リージョナル)で事業連合を結成して、事業はまとまって「クリティカルマス」を実現してきた経過があります。合併を進めても商品事業では事業連合で実現していたメリット以上のものを獲得できるとは思えません。
 事業連合での連帯では限界があるとか、問題が出てきているということであれば、それらのことをきちんと検討することこそが実践的であり、大事なことのはずです。
 合併を進めて事業連合は解体したほうが良いと考えるのであれば、事業連合についてのきちんとした総括と、事業連合よりも合併したほうが良くなることについて、なるほどと思える理由があってしかるべきですが、そんな風に問題意識が整理され、煮詰まっているようにも思えません。

 「生協は一つではなかったの」と見られているという中身は、各都県にそれぞれ独立した生協があること自体がおかしいと思われているということではないはずです。
 「うちの生協はあのギョーザは扱っていません」と宣伝する生協があったり、日本生協連と各地の事業連合と単協との連携に弱さがあったり、責任分担が不明確だったりしていたことが批判されたのだと思います。
 「生協は一つ」を本気に実現していこうと考えるのであれば、全国連、事業連合、単協の間の連携や責任関係を確立すると共に、異生協グループ間の不団結や、対立抗争を克服していくために努力することこそが大事な課題のはずです。
 拠点的な生協同士だけで県域を越えた合併を進めようとするのであれば、その他の生協に対して迷惑をかけないように配慮し、そのことに理解を得ながら進めるのでなければ、大手生協だけのエゴイスティックな生き残り作戦と捉えられたり、脅威と受け止められ、不安や不信を招いたり、不団結や対立抗争を一段と拡大する要因ともなりかねません。

 外国の生協から学ぶという点でも、合併を進めることに都合の良い話ばかりを集めてくるような学び方では困りものです。
 この「コラボ・コープOB」への11月16日付けの記事で紹介している通り、ドイツやフランスでは合併統合を進めてきたなかで「請負ともたれあい」の関係に陥り、連合会も含めてあらかたの生協が一瞬のうちに崩壊したという事例もあります。
 スイスのミグロス生協は、もともとは一つの事業体だったのを、1940年に生協組織に切り替える時に、あの小さい国土(コープネットグループのリージョナルエリアとほぼ同じ面積)の中で、州毎に地域に根ざしての発展を考慮して分割し、8つの生協(現在は12生協に増)を設立して、組合員自治を大事にする組織とし、以来今日まで70年近くの間、スイス国民にとってなくてはならない生協として発展を続けているという事例もあります。

 日本の生協は、世界的に見ても競争の激しい日本の流通業界の中で、共同購入という独特の事業を成功させ、 そのインフラの上に宅配事業成功させ、合わせて店舗事業、共済事業などを成功させたことで今日に至りました。
 その成功の秘訣は、組合員との結びつきが強いことだったと考えられ、昨今、足踏み傾向に陥っている大きな要因の一つは、 この秘訣をおろそかにしてきたことにあるのではないかと思われます。
 経営戦略的な発想のもとに、大規模生協同士だけで、県域を越えて合併を急ぐようなことが、組合員からの生協への支持を強めることに繋がるとは到底思えません。
 地域に根ざした組合員の協同の力を強めていくこと、常勤役職員の請け負い的頑張りだけではなく、組合員との結びつきを強めていくなかでこそ新たな展望を切り開けるのではないでしょうか。
 また、今は競合しあっている異グループの生協間の連帯について、過去の行きがかりにとらわれ続けることなく、真摯な交流と協議を重ねて、連帯関係を構築することが進めば、それこそ地域ごとに「生協は一つ」の大きな力を築くことに繋がるはずと考えるものです。


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