コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

試練のときを迎えた生協

[大友弘巳]
 日生協会報に掲載された全国の生協の「09年度上半期の経営概況報告」を見て、日本の生協にいよいよ「経営の危機」が深まってきたことを感じています。
 主要73生協トータルの供給高は、店舗ばかりでなく、無店舗事業も前年を下回っており、その結果、73生協合計の経常剰余は、僅かとはいえ赤字に陥っています。
 ギョーザ事件の影響もまだ残っているでしょうし、昨年来の世界的大不況の下で組合員の家計では収入が落ち込み消費も落ち込んでいること、日本経済のデフレ傾向の下で価格引下げ競争が激しく商品の単価が下がっていること、などを考えれば、供給高の落ち込みは止むを得ない事態であり、総合で前年比99.0%という結果はむしろ健闘しているほうだという見方もできるかもしれません。しかし、08年度もギョーザ事件の影響で前年割れだったことを考え合わせると2年連続前年割れであり、よりシビアな見詰め方が必要と思われます。

 1994年上半期にも、バブル崩壊の後の不況に加えて、米不足で組合員への供給が十分対応できなくなった中で、供給高のダウンと損益悪化を経験しましたが、あの時は突然の急な落ち込みで、下期に入ってからは回復に向かいました。しかし、今回は下半期に入っても供給の落ち込みは続いているようですし、デフレ傾向はまだ当分続くと予想されますので、あの時より環境条件もはるかに厳しいと思われます。
 さらに供給高の内訳を見ると、これまで店舗部門の落ち込みを補ってきた無店舗事業の供給高の伸び率が低下傾向を続けており、今回は一過性の落ち込みではなく、今の取り組み方では今後も続く構造的な落ち込みとなっているように考えられます。
 
 90年代に入って共同購入が伸び悩みとなった中で、 個配(宅配、以下宅配という)が、新たな組合員を広げ、また、共同購入から移行する組合員の受け皿ともなり、90年代後半から昨年まで、宅配が無店舗事業の成長発展の原動力となってきました。
 しかし、加入も多いが脱退や利用休み組合員も増えていくという弱点を克服できないまま宅配事業が大きな規模(2007年度から共同購入より宅配が上回った)に成長した中で、脱退や利用休み組合員の数はその組合員数の規模に応じて増大するため、新規加入組合員の増に比べて、脱退や利用休み組合員を差し引いた実利用人数の増は、年々相対的に僅かでしかなくなってきていました。利用人数で前年を下回らないようにするためには、年々新規組合員の拡大数を上積みして追いかけねばならず、膨大なエネルギーとコストをそのことに集中することが続いていますが、拡大数を上積みし続けることには困難さを増える一方です。
他方では、品目拡大とチラシのページ数の増加(ここでもコストが増加)にも関わらず利用者一人当たり利用高の長期低落傾向が続いており、これまでの取り組み方を続けているレベルでは、この傾向は続くとしか考えられません。

 以上の二つの要因が重なって、宅配の供給の伸び率は2000年代半ばから低下を続け、07年度はついに全国トータルで伸び率が10%を下回る(9.9%)至っており、これは構造的な落ち込みと受け止めるべきと思われます。
 そんなところへ、ギョウーザ事件、不況による収入減、デフレ化が重なって、08年度からはさらに急落し始め、共同購入の落ち込みをカバーしきれなくなってきて、結果としてこの上半期はついに無店舗事業トータルで前年割れとなるに至ったものと思われます。
 だとすれば、宅配の供給高の伸び率をV字型に回復させることはもはや困難と思われ、このままでは共同購入・宅配合わせた無店舗事業トータルでは、今後も、マイナスか、良くても微増しか期待できないのではないかと推定されます。
 しかも、これまでの取り組み方では、コストはどんどん増えていくばかりですから、損益は悪化していくだろうと懸念されます。
 コープネットグループの生協の様子を聞いたところでは、既にこの上半期で、無店舗事業の経常剰余が赤字になってしまった生協もあり、ほとんどの生協が無店舗事業の経常剰余率1%以下になってしまっているとのことですので、このままでは赤字転落が時間の問題になっていると思われます。
 こうした状況は、コープネットグループが最も深刻なのかも知れませんが、全国トータルの経営状況を見ると、他のグループでも似たような状況になっているところが多いのではないかと推察されます。

 過去約40年間近く続いてきた無店舗事業による日本の生協のユニークな発展が、ここへ来てこのような足踏み(ないし後退)状態に陥ったことは、歴史的な「試練のとき」と捉えなければならないのではないでしょうか。
私は、共同購入・宅配がもう古くなった行き詰った事業とは思っていません。しかし、今までの取り組み方ではダメになってきたのではないかということは痛感しています。
 外延的な規模拡大を一面的に追うしかなくなっている現状を改め、組織と事業のあり方、進め方を、質的な充実を目指す方向に転換する以外に道はなくなったことをリアルに見詰め、頭を切り替えることが必要な時だと思っています。
 自分が現役時代に十分取り組みきれなかったことを棚に上げて言うのは心苦しいことですが、組合員の拡大にばかりエネルギーを集中して、脱退や利用休み、1人当たり利用高の低下などには、ほとんど対応しきれずに過してきたツケが回ってきたとも言え、根本的な反省と、見直しが必要なときではないかと感じています。

 一人ひとりの組合員と向き合い、利用しやすい条件をさらに整えていくことなどにより、脱退や利用休みを減らしていただくことで利用人数が増加していくように努めること、組合員の声、ニーズを深く汲み取り、まだ生協を利用していなかった多くの消費を生協に向けていただいて一人当たり利用が高まるように努めることなど、可能性は大いにあるはずですし、これらは、生協として本来当然努めなければならないことであり、役職員が本気で取り組めば、組合員からは支持され、協力が得られるはずだと確信するものです。
 いま大事なことは、生協の原点、生協のありように立ち戻って、この危機、この試練にどう立ち向かうか、組合員からの信頼を回復し、生協離れの広がり傾向から生協のへ理解者、協力者を増やす方向に転換するにはどうするか、経営の建て直しのための各生協毎に役職員の自助努力、自立の姿勢をどう強めるかなどを検討することに全力を尽くすことだと思います。そのことに全力を集中して数年間取り組んでこそ、試練を乗り越える可能性が出てくるのではないでしょうか。

 21世紀の社会が、人々の「協同」、生協の組合員のくらしへの役立ちと共に社会的役割発揮を必要としているいま、生協はこの試練を何としても乗り越え、信頼の危機、経営の危機を克服して再生を果たすことが求められていると思います。
 衆知を結集して、真摯な議論が展開されることを切に期待するものです。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。