コラボ・コープOB

生協のOB同士で、交流と意見交換を進める場とします。  自分のこと、お互いのこと、生協のこと、世の中のこと、―-協同・平和をめざして。

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世界の協同組合運動の現況―JJCセミナーから

寄稿 岡本好廣

大手町の合同庁舎跡に建設中の新JAビルが4月に完成しました。37階建ての一際高いJAビルを中心に左右に経団連会館、日経ビルが並び、低層階は連結されていて大ホールが設けられており、現在完成記念の各種公演が行われています。地下1階はアーケードになっていて、東京メトロと都営地下鉄の大手町駅に直結しています。このビルの披露を兼ねて6月1日から3日までICAのグローバル理事会とアジア太平洋理事会が開催されました。また1日には日本協同組合連絡協議会(JJC)の主催で「協同組合と世界的経済危機」というテーマでセミナーが開催されました。その中の[ICA基調報告]をイワン・マクドナルド事務総長の講演草稿を抜粋して報告することにします。時間の制約があって、マクドナルド事務総長は元になった英文の草稿を忠実に読み上げて報告されました。なお文中の見出しは適宜筆者が付けたものです。

<ICA基調報告>
協同組合と世界的金融危機-協同組合にとっての好機-
    ICA事務総長 イアン・マクドナルド

逆境の中で強みを発揮した協同組合
 協同組合は産業革命期の厳しい時代に誕生し、1930年代の大恐慌の時期を生き残り、発展しました。現在の「厳しい時代」にも、協同組合が発展しさらに多くの組合の誕生が予想されるという証拠もそろいつつあります。(中略)
国際協同組合同盟(ICA)の最近の委託調査では、危機に対する抵抗力について協同組合型企業モデルが他の形態の企業よりも優れているということを示しています。金融協同組合は財務的に健全です。世界各地の農業協同組合は黒字を計上しています。消費者協同組合の売上高は増加しています。労働者協同組合は成長しています。そのため、人々は協同組合という形態を選択して経済の新たな現実に対処しようとしているのです。

したがって、協同組合運動にとって今は本当にチャンスなのです。利益中心ではなく、人間中心で協同組合の価値と原則に基づいて事業を運営する別のビジネスモデルが存在するということを示せる好機です。

協同組合員にとっては、これはまさに協同組合そのものであり、協同組合の行っているものにすぎません。しかし、多くの人々にとっては、非常に革命的な概念のように思われるのです。すなわち、経済的な発展のみならず、経済的・政治的民主主義と社会的責任を推進しようというモデルです。(中略)

金融を始め各分野とも着実に発展
世界各地の貯蓄信用協同組合、信用組合、SACCOs、住宅金融組合、協同組合銀行は、事業のほとんど全ての面で上昇がみられました。たとえば、資産及び預金の増加、貸し出し資金量の増加、組合員の増加、金利の上昇、安定性の向上などです。協同組合運動の大きさを考えると、これは重要な事実です。世界信用組合評議会に加盟している信用組合は49,000組合で、96カ国に1億7,700万人の組合員がいます。
実際のところ、金融協同組合は他の金融機関よりリスク回避的である、投資家の利益や経営者へのボーナスのために利益を出そうという誘因が少ない、などという金融協同組合に対する批判は、いまや本物の強みになっています。

たとえば、「金融危機の結果、政府から資本注入を受けた信用組合は世界中に1つもなく、みな資本を十分確保している」ということがわかっています。また世界最大の農業系銀行であるラボバンク(オランダ)は2008年、世界で3番目に安全な銀行であると評価されました。

その他のセクターの協同組合も、この危機のなか順調な業績をあげています。消費者協同組合では新規組合員と消費者の流入がみられます。多くが2008年に高売上げを計上したのに加え、2009年も業績は好調で、これは値上げを抑え、しかも品質は犠牲にしないことを消費者に保証しているからです。(中略)

世界各地からの報告によると、2008年、農業協同組合は、特に富裕国や新興市場国、また一部の途上国において記録的な黒字になりました。2008年が商品価格や原油価格、また投資市場において変動性が高い年であったにもかかわらずです。

日本の協同組合は例外なのか?
(マクドナルド事務総長はこのように世界の協同組合の実績に基づく優位性を評価しつつ、日本の農林中金や韓国の農業協同組合中央会が大きな損出を出して配当ができなくなり、農協、漁協、森林組合の安定性に影響を与えた、と指摘しています。事実農林中金は5,721億円の損失を計上し、危機を乗り切るために系統の県信連、全共連等から1兆9千億円の増資を得て資本増強を行っています)

基調報告の後、日本協同組合連絡協議会を構成するJA全中、日生協、全漁連、全労済、労協連、大学生協連の各組織が現状報告を行いました。ICAの基調報告と違って厳しさは強調されましたが、その中でもこのように前進したという内容は乏しいように思われました。どの分野でも成長が見られず、安定性が損なわれつつある日本の協同組合の状況をどのようにみるべきなのでしょうか。報告を聞いていて率直に感じたところです。

優位性を発揮する協同組合モデル
それでは、何故協同組合は危機を生き残り、危機の間とその後も成長できるのでしょうか。
それはモデルにあります。協同組合は、ひとりではほとんどまたは何もできない人々の市場の力をひとつにまとめます。またそうすることで貧困や無力から抜け出すことになります。(中略)
協同組合の相対的な強みは組合員組織であることに由来します。協同組合の特徴は、組合員が所有し、組合員が支配し、利益のためでなく組合員のために存在していることで、このことはビジネス上の意志決定に影響を与えます。事業の目的が投資家であると同時に消費者でもある組合員の目的と一致する場合、その結果は忠誠であり、専心であり、知識の共有であり、組合員の参加となり、またそれは強力な経済的誘因に基づいています。(中略)

協同組合の可能性を認めているのはわれわれだけではありません。この1年ほどの間に再発見がありました。協同組合運動のルネッサンスと呼ぶ人もいます。世界銀行や国際通貨基金(IMF)、国際労働機関(ILO)、国連は、国際的な企業やエコノミスト、ウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズ、ル・モンド、エル・パイス、ニューヨーク・タイムズといった各国を代表する報道機関その他多くとともに、協同組合のモデルに注目し始め、その成功を認めつつあります。ただし、不承不承ではありますが。

彼らは同様に協同組合が不況の影響を軽減できると認めています。それは協同組合が生き残って事業を継続しているという事実があるからです。事業を拡大するため、協同組合は銀行からの借入でなく組合員の資本が使えます。またリスク回避の強い組合員にサービスを提供します。さらに具体的にいうと、労働者協同組合は、協同組合をとおした雇用の創出や従業員による企業買収や従業員の救済に集中でき、生産者協同組合は組合員企業の生産性向上に集中できるのです。(中略)

長年に亘り、協同組合は地域主体で人間中心の事業を運営し成功してきましたが、一方、社会的な組織や結束の触媒としての働きも担ってきました。組合員や地域社会に配慮した協同組合は、民主的、人間的価値や環境への配慮を高く評価する経済的企業のひとつのモデルです。今日、世界が不安定な金融システムや不安定さを増す食料供給、世界的な格差の広がり、急激な気候変動、環境悪化の進行に直面するなか、協同組合が提示する経済的企業のモデルについて検討することはますます必要になっています。

協同組合は優位性のあるビジネスモデルです。

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